『Vans US Open of Surfing』でローカルヒーロー、ブレット・シンプソンに並ぶ2連覇を約10年振りに成し遂げた五十嵐カノア
文字通り夢にまで見た瞬間が現実のものとなり、まるで狂ったように感情を露わにした。
まだ20歳のカノア(カリフォルニアではお酒は21歳から)は昨年も今年も勝利の美酒を味わえず、パーティーで二日酔いになることはなかったが…。
そんなカノアにStabMagが7つの質問を投げかけた。
同年代のグリフィンやセスとの勝負やこれからのツアーのこと。
そして、憧れのブレットからの信じられないようなお祝い。
ライブ中継では見られなかった感動的な裏話も。
■どんな優勝だった?
正直、色々な場所が痛い…。
精神的にも肉体的にもそうだし、目が疲れ、声も枯れてしまった。
でも、肝臓は大丈夫さ。
今回はただの優勝ではない。
昨年はクレイジーだったけど、今年はこの街にタイトルを保持させるプレッシャーがあった。
皆が自分を見に来ていたのさ。
今年は始まる前から過大に宣伝されていた。
自分自身も皆が昨年と同じような気分を味わいたいかを確かめたかったよ。
正直言ってそのプレッシャーがもっと興奮させたんだ。
■夢を見ているんじゃないかと自分自身を平手打ちをしたとか…
最後の3日間はコンテストで優勝した夢を見ていたんだ。
だから、実際に優勝した時はこれも夢なんじゃないかと思ってしまったよ。
それほど本当にリアルな夢を見続けていたし、怖いほど現実的だった。
実際にウェブキャストを見てスコアが出た時、強く自分を平手打ちしたのさ。
3〜4回もね。
目が覚めるように自分に伝え、やっと夢ではないと実感した。
最後の3日間に見た夢の時は目を覚ましてから現実では無かったのかと残念に思ったから、今回は平手打ちして確かめたんだ。
今はより実感し始めている。
自分にとってただの優勝を越えているよ。
最後の波のクレーム(アピール)は、ただ自分の感情を表現しただけなんだ。
別にスコアを出してと訴えた訳ではなかったよ。
■淡々と勝ち続けていたよね
コンテストの間は自分を抑え、淡々とやり続けていた
ハードにやり過ぎて自分を見失いたくなかったのさ。
長いコンテストになるだろうと自分に言い聞かせ、最後の興奮する場面まで出来る限りセーブするつもりだった。
最終日、ビッグショ−の’US Open’でサーファーはショーマンになる。
私達は大観衆の前で主張しようとするんだ。
■グリフィンとの勝負は?
ヒートの組み合わせの反対側にグリフィンを見つけた時、ファイナルで当たれば最高だなと思った。
私達は2015年に’US Open’のジュニアのファイナルで対戦(その時はグリフィンが優勝)したことがあるし、二人には歴史がある。
だから、ファイナルで対戦したいと願った。
私達の対戦はそんな感じで、飛び勝負になると思ったね。
スロースタートで、ヒートの最後に両者が大きなチャンスを得ることになった。
私達は互いに得るものがある間柄さ。
グリフィンがクオリファイを果たした時は、私のルーキーイヤーを参考にしたに違いない。
私は最初の年に’Pipe Masters’でファイナル進出を果たした。
それが’彼が出来るならオレも出来るよ’っていう自信になるのだと思う。
今はセス(モニーツ)がツアー入りを果たすことを願っているし、彼も’奴らと同じくらい上手くサーフィンしているから、俺だって出来るよ’って思っているだろうね。
コロヘがツアーに入った時はとても若く、最初は苦労した。
彼は決して悪くないのに、それだけツアーは厳しい場所なんだ。
でも、今は世代交代を感じている。
私達は勢い良く突っ走っているよ。
■セス・モニーツは凄いサーファーだよね?
セスは親友なんだ。
だから、彼のクオリファイを本当に心待ちしている。
あの対戦(SF)は私が勝ったけど、彼にとっても良い結果になった。
QSのランキングトップに立ち、今年のクオリファイは確実だろう。
ツアーに同年代の選手が入るのは嬉しい、自分は17歳でクオリファイを果たし、寂しい思いをしたからね。
あの頃は相手にされなかったり、区別されているような感じだった。
ツアーとは関係無い’よそ者’のようでもあったよ。
来年セスがツアーに入り、若い選手が増えるのは良いこと。
私もグリフィンも残ることが出来れば、彼にとっても同年代の選手がいてやりやすいだろうし、結果にも繋がると思う。
コンテストの最終日、私達はライバル関係になって競争したと同時に観客を興奮させ、このスポーツを盛り上げることが出来た。
彼がツアーで十分な力が発揮出来れば私達を刺激してサーフィンのレベルも上げていくだろう。
そんなことは言わなくても分かるよね?
■あなた達はまだ子供なの?
そうだね。
まだ子供だね。
私もグリフィンもセスも20歳。
私達はケリー・スレーターがワールドタイトルを獲得するのを見て育ったんだ。
ケリーは私達が生まれた時までにすでに3度もワールドタイトルを獲得していた。
私はグリフィンとセスの素晴らしいサーフィンを誇りに思う。
確実に彼らは自分の限界を引き出させてくれるのさ。
彼らとは比較しやすいから、年上のサーファーを見るよりもモチベーションに繋がる。
例えば、ケリーやパーコを見ても、’長い経験があるから出来るんだ’と言い訳してしまう。
でも、グリフィンとセスとはずっと一緒にやっているからね。
彼らがクレイジーなエアーをやったら、自分も同じことが出来るはずって感じさ。
私達はお互いに上手くやっているし、このスポーツにとってそれは理想的な形。
自分のサーフィンはまだ成長段階にあり、改善したいことが山ほどある。
彼らが刺激してくれると同時に自分でもするべきことは理解しているんだ。
最大の評論家は自分自身。
まだ20歳で時間はたっぷりある。
一方でフィリッペのようにツアーを支配したいので、常に今よりも上手くなるための努力をしているのさ。
■やはり、ブレットは凄い人だった?
ファイナルの直後、ブレットが来てハイタッチをしてくれたんだ。
それは自分にとって大きな意味があるよ。
何千人もの観客がいる中、波打ち際まで彼が来たということは、誰よりも早くお祝いをしてくれようと思ったんだよね。
ビックリして数秒固まってしまったくらいさ。
周囲がどう見たか分からないけど、仲間の一人が教えてくれたんだ。
あの瞬間は衝撃的だったね。
ブレットが自分の頭から私の頭に王冠を渡すようなジェスチャーをしたのさ。
本当に信じられなくて、自分自身をつねったよ。
その時に出血した跡が3つ残っている。
これを見るとあの日がどんな日だったかが分かるね。
参考記事
Seven Takeaways from the King of the 714
(空海)
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