Photo: ISA/Jersson Barboz

『2024 ISA World Surfing Games』はブラジルが制覇!

現地時間3月3日、プエルトリコを舞台にパリ五輪の選手選考を兼ねた『2024 ISA World Surfing Games』が終了!

55カ国266名の頂点に立ったのはブラジルのガブリエル・メディナとオーストラリアのサリー・フィッツギボンズ。
ブラジルはタティアナ・ウェストン・ウェブも2位に入り、団体では総合、パリ五輪の追加1枠を得ることができる男女別でもブラジルが金メダルを獲得と完全制覇を成し遂げた。

ファイナルデイは公式4-6ftレンジのラストリアルで進行。
風の影響が入りながらもパワフルな見応えある波で2024WSGはクライマックスを迎えた。

最強の男、ギャビーが帰ってきた!

(ガブリエル・メディナ)
Photo: ISA/Jersson Barboza

ファイナルデイのメンズサイドはリパチャージR11から始まり、メインラウンドR7。
リパチャージR12を経てファイナルが行われた。

リパチャージR11でヤゴ・ドラ(BRA)が敗退したため、ブラジルがパリ五輪の追加1枠を得るにはガブリエルが優勝。
ラムジ・ブキアム(MAR)が2位に入る必要があり、それ以外だと追加1枠はフランスの手に渡るシナリオだった。

ファイナルはガブリエルの他、ラムジとフランスのカウリ・ヴァースト、ジョアン・ドゥルーが残り、これ以上ない面白いクライマックスを迎えた。
ここまで全てのヒートで驚異的なライディングでメインラウンドを進んできたガブリエルはファイナルで更に爆発。フロントサイドでの巨大なエアーリバースからスタートして9.00をスコアした。バックアップスコアが低かったガブリエルは2位に留まり、8.17と7.17を出したラムジが主導権を握っていたが、ラスト5分を切ってから再びエアーリバースからのスタートでフィニッシュまでメイクして6.60を出してトップに立つとスイッチが入り、更にスコアを伸ばして優勝。
カウリも後半追い上げてきたが、ラムジが2位を維持してガブリエルのシナリオ通りの展開になった。

Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Pablo Franco

「凄い試合だった。感情的になっているよ。ヒートの途中で、もう1本スコアが必要かもしれないと思ったんだ。ラムジは2本決めていて、自分は神様からのサプライズを待っていた。カウリかジョアンが2位を狙わないわけがないからね。自分は開き直った。神様を信仰しているし、導いてくれると信じて楽しもうと思ったんだ。だからヒート中は気にせず、楽しむように努めた。これは自分との戦いであり、ただサーフィンしただけだよ」

CTでは2014年にブラジリアンとして初のワールドタイトルを獲得。2018年に2度目、2021年に3度目のタイトルを獲得して最強の男と呼ばれていたガブリエルだったが、その後は私生活の問題などもあり、失速。
タイトル争いから遠ざかり、東京五輪でも金メダルを獲得したイタロ・フェレイラの陰に隠れてしまった…。
しかし、今イベントではブラジルチームの先頭に立ち、初日から全くスピードを落とさずに容赦なく本気で優勝を狙い、見事に追加1枠も手に入れてしまった。
パリ五輪の2枠はフィリッペ・トレド、ジョアオ・チアンカ(怪我で不透明)、今回の追加1枠はまだ未定だが、ガブリエルが濃厚。
ガブリエルはチョープーでの金メダルもすでに視野に入っているのかもしれない。

ISAの女王サリー

(サリー・フィッツギボンズ)
Photo: ISA/Jersson Barboza

ウィメンズサイドはリパチャージR9から始まり、メインラウンドR6。
リパチャージR10を経てファイナルが行われた。

ファイナリストはサリー・フィッツギボンズ(AUS)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、ジョアン・ディファイ(FRA)、ナディア・エロスタルベ(ESP)とサリー以外はすでにパリ五輪出場のチケットを獲得した選手。
サリーを含め、全ての選手に追加1枠を手にいれるチャンスがあり、特にオーストラリアはタイラー・ライト、モリー・ピックラムで2枠が埋まっているため、サリーは自らの2大会連続五輪出場をかけての戦いになった。

ファイナルは6.00を出したジョアンが序盤をリードしたが、バックハンドで強烈な2ターンを決めたタティアナが6.77、サリーが6.83を出して勝負は振り出しに戻った。
ラスト5分、サリーはバックハンドでターンを重ね、フィニッシュまでメイク。ニード5.41のシチュエーションで6.27をスコアして3位から一気にトップに立ち、そのまま優勝を決めた。

「信じられないわ。一週間、チャレンジングな波に苦しんできた。自分の実力や存在感を見せながら全てのヒートを乗り越えてファイナルに辿り着くしかないと考えていたの。リラックスしてサーフィンして、大きなセクションを探したわ。派手なサーフィンがファイナルを制するからね」

(WSGはスポーツマンシップ溢れる大会でもある)
Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Jersson Barboza
Photo: ISA/Pablo Franco

メインラウンドを勝ち進み、最後にリパチャージ行きから復活してファイナルに辿り着いたサリー。
ISAではジュニアで1度、WSGで3度も金メダルを獲得。今回4度目の金メダル獲得と記録を更新してまさにISAの女王として歴史に名を刻むことになった。

「私のストーリーには何度もニアミスがあった。私は何が起こっているのかを見て、できる限りのことをした。自国のために金メダルを獲得する。今はその瞬間であり、私がコントロールできる全てよ。困難な状況や変化にも美しい側面があり、それを理解して感じることができたわ。失望もあるけど、その一方で嬉しくて興奮している」

ウィメンズ追加1枠はブラジル

(タティアナとルアーナ)
Photo: ISA/Sean Evans

オーストラリアが国別女子で優勝してパリ五輪出場の追加1枠を手に入れるのには、サリーの優勝とナディアの2位が条件だった。
タティアナは2位か3位、ジョアンは優勝が追加1枠の条件であり、今回は2位になったタティアナがブラジルを優勝に導き、追加1枠を手に入れた。

「五輪のスポットを手に入れるという目標を達成したわ。チームは1週間集中してお互いを励まし合っていたの。それがブラジルよ」

WSGのディフェンディングチャンピオンでもあったタティアナもISAでは強い選手の一人。
そして、チョープーでも強い一人であり、メダル候補と言えるだろう。

ISA会長のフェルナンド・アギーレ氏のスピーチ

(フェルナンド・アギーレ氏)
Photo: ISA/Jersson Barboza

なんて素晴らしい日、1週間、そして、選手権だったでしょう。
プエルトリコを忘れることはありません、最高のWSGでした。
私たちはプエルトリコのアンバサダーとして帰国して再びこの場所に戻ってくることを望んでいます。
全てのアスリート、全ての代表団を称えます。
7月、パリ2024オリンピックのチョープーで会いましょう!

【2024パリ五輪出場選手一覧】

パリ五輪出場は男女共に24名
各国男女2枠が上限(条件によって追加1枠もあり)

・2023CT枠
メンズ
フィリッペ・トレド(BRA)
グリフィン・コラピント(USA)
イーサン・ユーイング(AUS)
ジョアオ・チアンカ(BRA)
ジャック・ロビンソン(AUS)
ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
五十嵐カノア(JPN)
ジョーディ・スミス(RSA)
マシュー・マクギリヴレイ(RSA)

ウィメンズ
カリッサ・ムーア(HAW)
タイラー・ライト(AUS)
モリー・ピックラム(AUS)
タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
ジョアン・ディファイ(FRA)
ブリッサ・ヘネシー(CRI)
テレッサ・ボンバロ(PRT)
キャロライン・マークス(USA)

・2023WSG枠
メンズ
ビリー・ステアマンド(NZL) 
稲葉玲王(JPN) ★五十嵐カノアがCT枠のために繰り上げ
カウリ・ヴァースト(FRA)
アラン・クリーランド・ジュニア(MEX)

ウィメンズ
松田詩野(JPN)
サラ・バウム(RSA)
サフィ・ヴェット(NZ)
ヴァヒネ・フィエロ(FRA)

・2023年パンアメリカンゲームス枠
メンズ
ルーカ・メシナス(PER)

ウィメンズ
サノア・デンプフル=オリン(CAN)

(パリ五輪出場者)
Photo: ISA/Jersson Barboza

・2024WSG枠
メンズ
アロンソ・コレア(PER)
ラムジ・ブキアム(MAR)
アンディ・クリエール(ESP)
和井田理央(IDN)
ティム・エルター(GER)
ジョアン・ドゥルー(FRA)

ウィメンズ
ナディア・エロスタルベ(ESP)
ソル・アギレ(PER)
タヒナ・ヒンクル(BRA)
ヨランダ・セケイラ(POR)
アナット・レリオール(ISR)
カミラ・ケンプ(GER)
ハニレ・ゴンザレス・エチャバリ(ESP)
スーチー・ヤン(CHN)

以上、男女21名

残りの3名は以下。

・2022WSG男女別の優勝チーム追加1枠

それぞれの国が決めた1名が出場権を得る。
男子は日本でコナー・オレアリーが内定。
アメリカは未定。

・2024WSG男女別の優勝チーム追加1枠
それぞれの国が決めた1名が出場権を得る。
男女共にブラジルで未定。

・ユニバーサリティ枠
今回初めて資格を有する国に男女各1名の出場枠が与えられる。
出場枠の資格基準については、チョープーの波の性質が特別に考慮される。
このカテゴリーに適格なサーファーがいないと判断された場合、選手枠は2024WSGから最高ランクの適格なサーファーに再配分される。
この枠の完全なプロセスと選考基準は、後日IOCによって通知される。

★開催国男女1枠は今回フランスだが、すでに男女2枠が埋まっているため、2024WSG枠への追加となった。

『2024 ISA World Surfing Games』結果

Photo: ISA/Pablo Jimenez

団体総合結果
1位 ブラジル
2位 フランス
3位 スペイン
4位 フランス
…11位 日本

(男子ファイナリスト)
Photo: ISA/Jersson Barboza

団体男子結果
1位 ブラジル
2位 フランス
3位 スペイン
4位 ペルー
…20位 日本

(女子ファイナリスト)
Photo: ISA/Jersson Barboza

団体女子結果
1位 ブラジル
2位 オーストラリア
3位 スペイン
4位 フランス
…9位 日本

男子個人結果
1位 ガブリエル・メディナ(BRA)
2位 ラムジ・ブキアム(MAR)
3位 カウリ・ヴァースト(FRA)
4位 ジョアン・ドゥルー(FRA)
…37位 コナー・オレアリー
…46位 稲葉玲王
…64位 五十嵐カノア

女子個人結果
1位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)
2位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
3位 ジョアン・ディファイ(FRA)
4位 ナディア・エロスタルベ(ESP)
…15位 都筑有夢路
…25位 松田詩野
…33位 前田マヒナ

ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/

(空海)

Photo: ISA/Pablo Franco
Photo: ISA/Pablo Franco

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