三重県志摩市阿児町に、新たな本格派サーフィン用ウェーブプールの建設が決定した。
2024年3月13日、本施設の運営会社である「伊勢志摩文化開発株式会社」が会見を開き、施設の概要と今後の展望等を発表。
開業予定は2026年夏、造波装置は静波サーフスタジアムと同じ「PerfectSwell(パーフェクトスウェル)」を用いるが、プールサイズなどが拡張され、同テクノロジーのプールで世界最大規模となる。
場所は志摩市の海近く、施設名称は「パーフェクトスウェル志摩」
建設予定地は「三重県志摩市阿児町志島」。海からほど近く、志摩市内のメジャーなサーフポイント、「国府の浜」と「市後浜」の中間あたり。
総工費はおおよそ40億円。プールサイズは左右220m×奥行100m、付帯施設を入れると総面積は3万坪に及ぶ。
現在は開発予定地の取得手続き中で、準備が整い次第で着工する見込み。
開業時はプールおよび敷地内の飲食施設のみの予定だが、道路向かいの土地利用も含めた付帯施設も検討されている。
造波装置はブラジル施設と同等の「パーフェクトスウェル」
造波装置はアメリカンウェーブマシン社製の「パーフェクトスウェル」となるが、これは現在、同テクノロジーのプールで世界最大規模を誇るブラジルの施設と同じモデルを採用。他施設よりもライディング距離が長く、波質によっては8回以上のターンも可能で、初級者向けからプロ仕様まで200種類以上の波質に対応する。
また、ライディング距離が長くなることで波待ち時間が減り、一回のセッションで20名ほどのサーファーが参加できるほか、インサイドにかけてリフォームする波でビギナーの練習も可能。計算上は、ナイター営業も含め1日に420名、1か月で1.6万人の来場者数を見込んでいるという。
施設運営は「伊勢志摩文化開発株式会社」
パーフェクトスウェル志摩の運営会社として新たに設立された「伊勢志摩文化開発株式会社」の代表を務めるのは、不動産会社を経営する三戸敬稔氏。プール建設の構想は数年前から挙がっていたがこれまで折り合いがつかず、今回はサーファー同士の縁あって、事業化を決断したという。
「豊かな自然、美しい海岸線を持つ志摩市には、サーフィンへの想いや文化が根付いている。ウェーブプール建設に必要な環境が揃っていて、この場所でやりたいと考えた。
私たちが目指すものは、スポーツによる地方創成をテーマに、フェアな競技が行える自由なサーフィン市場。新たな才能の発掘や、国際交流の促進も期待しており、地元の方々と協力して地域経済の発展と雇用に寄与したい」
「パーフェクトスウェル志摩」の4つの展望
また、ISAの理事でもあり、同社で運営ディレクターを務める井本公文氏からは、以下4つの展望が語られた。
1)あらゆるサーファーが満足できる多彩な波で、プレミアムな施設を運営
初級者のいち早い上達と、中級者がステップアップできる反復練習、そして上級者~プロサーファーが楽しめて、トレーニングができる施設。子供から年配の方まで、幅広いサーファーが楽しめる波を作り出すことが使命。
2)競技大会の開催
天候等に左右されず、時間通りに進行ができる環境にて、視聴者目線で楽しめる大会作りを検討。世界大会誘致のほか、地元伊勢志摩をはじめとしたアマチュア大会や、市や県と連携したパラサーフィン競技大会も誘致。
海で行われるサーフィン大会の面白さ、重要さを理解したうえで、人工施設の強み活かしての安全かつ安定した大会を開催する。
3)教育施設としてのサーフィンアカデミーの開催
多彩な波を提供できる特徴を活かし、反復練習や映像分析など、サーフィンの技術向上を目的とした教育プログラムの確立と、地元大学や医科学者と連携し、身体作りと最新スポーツ知識を学ぶ講義も併設。ロス五輪、ブリスベン五輪を目指すジュニアサーファーも育成。
4)独自トーナメントリーグの発足
地元、全国、海外のサーファーも参加できる、独自ツアー開催も検討。選手の活躍の場を増やし、賞金を高額にするなどで、世界大会出場への道を作り出す環境を作り上げたい。
また、会見には志摩市サーフィン活用推進協議会会長の濱村昭雄氏、地元プロサーファーの仲村拓久未プロ、濵村海斗プロも参加し、プール建設への期待の声を寄せた。
プール運営においては、地元の雇用機会創出も掲げており、開業当初は3~40人想定。将来的には100人以上の新規雇用も見込んでおり、地元を離れる若い世代や、Uターンを考える地元出身者の雇用も期待されている。
(THE SURF NEWS編集部)