2023年リオ大会から半年後に開催されたエルサルバドルでのWJSCこと『ISA World Junior Surfing Championship』が現地時間5月12日に9日間に渡る長い戦いを終えた。
サーフシティを掲げてから7度目のISAイベントとなる今回も期間中ウネリが途切れることはなく、U18ボーイズ&ガールズ、U16ボーイズ&ガールズの4部門。54カ国441人のアスリートが国と自らのプライドをかけて全力を出し切った。
もちろん、その中には日本も含まれ、U18ボーイズで渡邉壱孔が念願のファイナル進出を果たし、4位でカッパーメダルを手に入れた。
初出場のU16ボーイズ、足立海世もリパチャージラウンドを戦い抜き、6位でフィニッシュ。
国別では5位となった。
U18ボーイズを15年ぶりに制覇したオーストラリア
渡邉壱孔も争ったU18ボーイズのファイナルはオーストラリアのデイン・ヘンリーが序盤に7.17と9.23を出してトータル16.80でリードを固めていた。
チームメイトのフレッチャー・ケレハーも後半に追い上げて2位に浮上。そのままオーストラリアがワンツーフィニッシュを決めた。
17歳のデインはイベントで唯一のパーフェクト10を出して優勝候補の筆頭と言われていたが、メインラウンドR6ではバックアップスコアが足りず、リパチャージ行きになっていた。
この失敗をバネにした彼は多くの波をキャッチして挽回に成功、見事に金メダルを獲得したのだ。
ファイナルデイ前日に2位のハワイに約2500ポイント差をつけていたオーストラリアはU18ガールズのミラ・ブラウンのリパチャージR9の勝利の時点でWJSCでは10年ぶりとなる国別金メダルを確定させていた。
「これは私の人生で最高の瞬間だね。準決勝の前に金メダルを獲得したという情報を聞き、公式の確認を受けてから大きな円陣を組んだんだ。10年間金メダルを獲得していなかった私たちが一つになった。信じられないほど嬉しくて言葉が出ないよ。人生で最高の経験であり、この素晴らしいオーストラリアチームのキャプテンを務められたことに感謝している」
U18ガールズはハワイが11個目の金メダルを獲得
U18ガールズはWJSCで最も多くの金メダルを獲得しているハワイのヴァイヒティ・インソがラ・ボカナのレフトでスタイリッシュなフロントサイドのカービングを披露。ファイナルで8.50と8.17をまとめ、トータル16.67で圧勝した。
「言葉が出ないわ。正直、結果よりも良いパフォーマンスをすることが一番の目標で、それが達成できたと思う。サーフィンが大好きよ。今までなかったレフトが突然入るようになった。波をくれた海の女神マハロ ケ アクアと、すべてを与えてくれた神様に感謝するわ」
また、銀メダルを獲得したフランスのティヤ・ゼブロウスキは13歳にして両部門でファイナルデイに残る活躍を見せた。
U16ガールズではファイナル手前のリパチャージR10で敗退したが、フランスの国別銅メダルに大きく貢献した。
U16ボーイズはスペインが2連覇
U16ボーイズはスペインのディラン・ドネガンが序盤にバックハンドでのビッグターンとフィニッシュまで綺麗にメイクして8.17を出してリード。後半に7.13のバックアップスコアを重ねてトータル15.30で金メダルを獲得。
U16ボーイズは2023年リオ大会で今回も出場しているハンス・オドリオゾラが金メダルを獲得していたため、スペインの2連覇。
また、イングランドのルーカス・スキナーは2年連続で銀メダルを手に入れた。
「本当に本当に嬉しいよ。信じられない。スペインのチームに選ばれるだけでも本当に大変だった。まだ実感できてないけど、この瞬間を楽しんで、きっと気が狂うように喜ぶだろうね」
なお、銅メダルのティアゴ・パセリはアルゼンチンのU16ボーイズで初のメダル獲得の快挙。カッパーメダルのアレクシス・オーウェンはニュージーランドで2007年以来のメダル。リカルド・クリスティとマット・ヒューイットと並ぶことになった。
U16ガールズもオージーが制した
U16ガールズは2023年リオ大会のメダリスト、アメリカのエデン・ウォーラとフランスのクレマンス・ショルシュを含むカード。
ラスト10分を切って上位3名がトータル10ポイント台で非常に僅差のゲームとなった。
終盤、クレマンスがリードする場面もあったが、6.83を出したオーストラリアのジギー・マッケンジーがトップに立ち、最後まで逃げ切った。
ジギーはオーストラリアの国別金メダルに大きく貢献したと共にISAイベントの歴史でステファニー・ギルモア、タイラー・ライトという偉大なサーファーに並ぶことになった。
「凄く興奮しているわ。これまでの全ての努力と、オーストラリアチームからの全てのサポートが実を結んだように感じる。このイベントに参加する前、みんなとても興奮していたけど、同時に緊張もしていたの。私たちはとても強いチームだし、とにかく最後まで全力を尽くしたいと思った。 優勝できて本当にチーム全員が喜んでいるわ」
なお、銅メダル獲得のルイーズ・ル・プロンは東京五輪の銀メダリストでもあるビアンカ・ブイテンダグが2011年に銀メダルを獲得した以来の南アフリカの選手となる。
ISA会長 フェルナンド・アギーレ氏のメッセージ
エルサルバドルでのISAイベント史上、最高クラスの波に恵まれた素晴らしい1週間となりました。
エルサルバドルでは数多くの大会が行われてきましたが、今回の波は本当に最高でした。
エルサルバドル政府との素晴らしいパートナーシップ、ブケレ大統領を始め、エルサルバドルの人々に心から感謝いたします。
いつも温かく迎えていただき、ありがとうございます。
全てのメダリストの皆さん、おめでとうございます。
ジュニア部門の世界チャンピオンとして、栄冠を手にして帰国することになります。
75日後にタヒチで開催されるオリンピックに出場する選手もこの中にいます。
残念ながら出場が叶わなかった選手もいますが、多くの選手に2028年ロサンゼルスオリンピックに出場するチャンスがあります。
『ISA World Junior Surfing Championship』結果
国別団体結果
1位 オーストラリア
2位 ハワイ
3位 フランス
4位 アメリカ
5位 日本
U18ボーイズ
1位 デイン・ヘンリー(AUS)
2位 フレッチャー・ケレハー(AUS)
3位 リクソン・ファルカン(BRA)
4位 渡邉壱孔(JPN)
…33位 長沢侑磨(JPN)
…65位 小野里弦(JPN)
U18ガールズ
1位 ヴァイヒティ・インソ(HAW)
2位 ティヤ・ゼブロウスキ(FRA)
3位 サラ・フレイレ(USA)
4位 ミラ・ブラウン(AUS)
…9位 松野杏莉(JPN)
…13位 池田美来(JPN)
…13位 清水ひなの(JPN)
U16ボーイズ
1位 ディラン・ドネガン(ESP)
2位 ルーカス・スキナー(ENG)
3位 ティアゴ・パッセリ(ARG)
4位 アレクシス・オーウェン(NZL)
…6位 足立海世(JPN)
…29位 岡野漣(JPN)
…33位 髙井汰朗(JPN)
U16ガールズ
1位 ジギー・マッケンジー(AUS)
2位 クレマンス・ショルシュ(FRA)
3位 ルイーズ・ル・プロン(RSA)
4位 エデン・ウォーラ(USA)
…9位 石井有沙(JPN)
…33位 高橋花音(JPN)
…49位 森舞果(JPN)
ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/
(空海)