Photo: ISA/Pablo Jimenez

パリ五輪前に知っておくべき10の知識

ISAがイベント前恒例の「知っておくべき10の知識」のパリ五輪版を公開!

会場のタヒチについて、競技内容や歴史、注目選手など、有益な情報が満載。
ぜひこれを見て10日後に迫ったパリ五輪サーフィン競技を楽しもう!

タヒチが選ばれた理由とは?

パリ五輪の主催者がサーフィンの開催地を検討した際、海外領土も含めて全ての可能性を検討した。
その結果、ISAはサーフィンのパフォーマンスの観点から、世界最高のサーファーたちに最もエキサイティングで最も劇的で最も挑戦的な舞台を提供するべきと考えた。
それはフランスのビーチブレイクでもウェーブプールでもなく、タヒチのチョープーだった。

タヒチでのオリンピックサーフィンは、地元のファンや国際的な観客にとって、本物の体験となるだろう。
想像力をかき立てる美しい映像が世界中に配信されることになる。

タヒチは世界で最も象徴的なサーフスポットの一つとして、サーフィンの文化と遺産に敬意を表している。

チョープーの美しさ

チョープーは世界で最も特別な場所の一つであり、サーファーにとって最大の挑戦の一つ。

完璧で畏敬の念を抱かせる波を生み出すことで知られ、世界最高のサーファーたちがどの場所よりも敬愛する場所。劇的な山々が深い青の澄んだ海を囲み、岸辺にはヤシの木が並ぶ。どの角度から見ても、チョープーは驚くほど美しい。

山から流れ込む新鮮な水が海に注ぎ、サンゴ礁の一部を削って形成されたパスと深い地形により、ヘビーで完璧なレフトのバレルが生まれるのだ。
大きな波がこのパスに入ると、海底の地形が波のエネルギーを圧縮して加速させるため、リーフに近づくに連れて波の高さと速度が急激に増すことになる。

チョープーの村は舗装された道路の終点に位置しており、そこから先は未舗装の道が続いている。
歴史的に「道の終わり」として指定されている。
チョープーという言葉自体は「頭蓋骨の壁」と訳されることが多い。

競技スケジュール

パリ五輪のサーフィンの競技期間は2024年7月27日から8月5日。
この期間中の4日間が競技日となる。

競技期間の開始前には、選手たちが専用に使用できる6日間(2024年7月21日~26日)のトレーニング期間が設けられる。
また、2024年7月26日には、タヒチで伝統的な踊りとパリでの開会式に出場する選手の紹介、公式の開会式が行われる。

強豪選手と対戦するダークホース&地元の強豪選手

パリ五輪の女子選手には、5度のワールドチャンピオンであり東京五輪の金メダリスト、カリッサ・ムーア(USA)を筆頭に、パイプラインのチャンピオンであるケイトリン・シマーズ(USA)や、モリー・ピクラム(AUS)、2023年のCTタヒチ戦のチャンピオンであり、ワールドチャンピオンでもあるキャロライン・マークス(USA)などが出場する。
また、2024年のCTタヒチ戦で優勝したばかりの地元のヴァヒネ・フィエロはフランスに初のサーフィン競技のメダルをもたらす好材料となっている。

年初に競技サーフィンからの引退を発表したカリッサは、パリ五輪が競技ジャージを着る最後の機会となる予定。
31歳の彼女はすべてのトレーニングを一つの目標に集中させており、最高の形で引退を迎えることを目指している。

一方、オリンピアンや五輪初参加のサラ・バウム(RSA)、ヨランダ・ホプキンス・セケイラ(POR)、サノア・デンプフル=オリン(CAN)、アナット・レリオール(ISR)、スーチー・ヤン(CHN)などが波乱を起こす可能性もある。
パリ五輪に出場する最年少サーファーであり、中国初のオリンピックサーファーであるスーチーはビッグウェーブに対する恐れがほとんどなく、オリンピックのサーフィン競技で大きな印象を残すことを目指している。

長年のライバル&新星と対決するガブリエルの決意

3度のワールドチャンピオン、ブラジルのガブリエル・メディナは、CTのタヒチ戦で最も数字を揃えている選手。
総合成績が最も優れ、平均波スコアとヒート勝率が最も高く、出場した10回中6回ファイナルに進出して2回優勝している。
ケリー・スレーターの5勝が最多で、2勝は他にアンディ・アイアンズとボビー・マルティネスのみ。
30歳の彼は2024年のWSGで驚異的な強さを見せ、パリ五輪の最終出場枠を自力で手に入れた。東京五輪では銅メダルマッチでオーウェン・ライトに敗退して4位。今の彼の頭の中にあるのはそれ以上の金メダルだけだろう。

このガブリエルのメダル獲得には多くの強敵が立ちはだかる。

2度のワールドチャンピオン、ジョン・ジョン・フローレンス(USA)は優勝こそないものの、今年のタヒチ戦では素晴らしいサーフィンを披露していた。カウリ・ヴァーストは、チョープーの近くで生まれ育ち、自国に対する誇りも高い。世界で最も優れたバレルライダーの一人であるジャック・ロビンソン(AUS)も強力なライバルの一人だろう。

また、タヒチでの競技経験がないとはいえ、アラン・クリーランド・ジュニア(MEX)、アロンソ・コレア(PER)、ティム・エルター(GER)、エルサルバドル英雄のブライアン・ペレスなどはビッグウェーブに定評があり、脅威になる可能性がある。

東京五輪の出場資格を逃していたブライアン・ペレスはオリンピックで自国を代表する初のサーファーとして国際舞台でさらに名を刻むことを目指している。

(チョープーの波に乗るペルーのアロンソ・コレア) Photo: ISA/Pablo Jimenez

競技の詳細

パリ五輪のサーフィン競技は、まずR1の3人ヒートが8ヒート行われる。
1位のみR3に進み、2位と3位はR2の敗者復活戦を戦う。
R2以降は全てマンオンマンで、ヒートの長さは条件に応じて25分から40分の間で変更される。

国際的な5人の審査員による波ごとの採点で評価され、その上に1人のヘッドジャッジが監督する。
各審査員は1から10の間で波のスコアを出し、最も高いスコアと最も低いスコアが除外され、中央の3つのスコアが平均されて最終スコアとなる。
各ヒートのベスト2スコアがカウントされ、ヒート終了時のトータルスコアで勝者が決まる。

サーフィン競技において審査員のスコアリングの重点は、場所とブレイクによって異る。

世界中の多くの場所では、攻撃的なターンやエアリアルマニューバーが高く評価されるが、チョープー では「バレル」または「チューブ」にほぼ完全に焦点が当てられる。
バレルライディングの重要な要素は、バレルの内部の深さ。内部に留まる時間の長さに基づくコミットメントと難易度の度合いになる。

サーフィンがオリンピック競技になるまでの道のり

パリ五輪を見る前にぜひ視聴して欲しいドキュメンタリー、『The Impossible Wave』はサーフィンをオリンピック競技にするために27年間にわたって努力してきたISAと会長のフェルナンド・アギーレ氏の物語だ。

フェルナンド・アギーレ氏は世界最大のスポーツイベントであるオリンピックにサーフィンを加えるために、膨大な時間、財政、そしてサーフィンする時間を犠牲にしてきた。

この作品には、、IOC(国際オリンピック委員会)会長トーマス・バッハや、クイックシルバーの創設者で元CEOのボブ・マクナイト。
オリンピック金メダリストのカリッサ・ムーア、イタロ・フェレイラなど業界のリーダーたちが登場する。

不可能な夢と考えられていたスポーツをオリンピック競技にするために人生を捧げた姿を興味深く描いている。

オリンピック出場資格の取得プロセス

選手は、ISAのWSG、WSLのCT、『Santiago 2023 Pan American Games』などさまざまな方法でパリ五輪の出場資格を得た。
また、代表が少ない国の優れた選手に競技の機会を与えるオリンピックの取り組みでユニバーサリティ枠を用意。
この枠には女子がニカラグア出身で8歳からISAイベントに参加してきたカンデラリア・レサノ、男子がISAイベントで活躍したエルサルバドルのブライアン・ペレスが選ばれている。

国別代表

パリ五輪には48名のサーファーが参加する。
24名の女子、24名の男子は21の異なる国を代表しており、これはサーフィンが世界中で成長していることを強く反映している。

カナダ、中国、エルサルバドル、メキシコ、ニカラグア、スペインは、パリ五輪で初めてオリンピックのサーフィン代表を送り出し、オーストラリア、ブラジル、日本、アメリカ合衆国などのより伝統的な強豪国のサーファーと対戦することになる。

ポリネシア:サーフィンのルーツとオリンピックのつながり

サーフィンのルーツを辿ると、その旅はポリネシアの海に始まる。
この地域はハワイ、タヒチ、サモアなど多くの島々を含む太平洋の一部。ここで、キャプテン・ジェームズ・クックなどのヨーロッパの探検家が1760年代に木の板で波に乗る先住民の姿を記録した。
更に時を遡ると、12世紀の洞窟壁画には、古代のサーフィンの姿がはっきりと描かれているのだ。

伝説的なポリネシア人であり、現代サーフィンの父とされるデューク・カハナモクは、ハワイ出身であり、オリンピック競泳の3度の金メダリストである。
1924年パリオリンピックでは銀メダリストだった。
デュークはオリンピックでのサーフィンの夢を最初に抱き、サーフィンとアロハの世界初のグローバルアンバサダーだった。

ISAパリ2024公式サイト:https://isasurf.org/event/paris-2024/

(空海)

▼パリ五輪サーフィン特設ページ

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