ジュニア時代から日本の女子サーフィンのトップを走り続け、2020年東京オリンピックでサーフィンが追加種目に決定した時も「波乗りジャパン」の代表として大野修聖と共に公の席にいた大村奈央。
9月15日〜22日に愛知県田原市で開催される『2018 ISA World Surfing Games』にも代表選手女子の3名の枠に入っている。
彼女が初めてサーフィンをしたハワイは特別な場所。
そのハワイのニュースサイト『Star Advertiser』で大村奈央が大々的に紹介された。
彼女の言葉にはサーフィンに対する愛情がたっぷりと感じられる。
きっと出会ったのも運命だったのだろう。
サーファー、大村奈央は、いつか愛しているスポーツがオリンピックの競技となることを夢見ていた。
2年後の東京オリンピックでサーフィンが初めて採用されることになり、彼女の夢は現実のものとなった。
「自分がまだアスリートとして活動している時にサーフィンがオリンピックの競技となり、日本で開催されることになった。本当に素晴らしいことだし、まだ信じられないわ。日本でのサーフィン、それはまだ娯楽の一部として考えられている。東京オリンピックでのサーフィンの競技によって多くの人がその魅力に気付くと思う。それはエキサイティングだわ」
現在25歳の彼女は13歳でワールドジュニアに参加して以来、世界の舞台で競技を続け、『ISA World Surfing Games』では2013年、2014年に5位、2017年は7位という結果を残した。
海外でのQSに参加している彼女が日本で過ごすのは毎年3ヶ月ほどしか無い。
今年は東京オリンピックでのメダル獲得を目標にトレーニングのベースをオーストラリアに移した。
「オーストラリア人のコーチの元で技術的、戦略的なことを学んでいる。そして、オーストラリア人のサーファーと一緒に練習して様々な種類の波で経験を積んでいるの。学ぶことが沢山あり、自分自身のセンスも変えることが可能よ」
大村奈央の家族は神奈川県藤沢に住んでいる。
まだ10歳の頃、家族旅行で訪れたハワイで初めて体験したサーフィンに魅了された。
「サーフボードに立って海の上を移動している。それがとても面白かったの。今でもその瞬間を覚えているわ」
家族は翌年もハワイを訪れ、このスポーツへの愛を深めた。
そして、帰国後には父親の知り合いからサーフボードを授かり、両親にビーチで見守られながらサーフィンを始めたのだ。
彼女はすぐにローカルサーファーの存在に気付き、一緒にサーフィンをしたり、多くのサーフィンDVDを見てマニューバーを試すようになった。
12歳になり、周囲のサーファー達が地元のコンテストへの参加を提案した。
それまでサーフィンにコンテストがあることさえ知らなかった彼女は最初のラウンドで敗退したが、敢闘賞を受賞。
初めてのコンテストで他の人と競い、賞を貰う喜びを学んだ彼女は積極的にコンテストに参加するようになった。
そして、1年後にはワールドジュニアの日本代表に選ばれ、ブラジル、フランス、アメリカなど外国のサーファーと初めて戦うのだ。
「他国の選手はレベルが高く、格好良く見えたの。このレベルのサーフィンで戦い続けたいと思ったわ」
高校を卒業後、コストを抑えて航空券や宿泊施設を確保する方法を学び、それまでより更に頻繁に世界中を旅するようになった。
「言葉に関しては学校で学んだ英語の文法を組み合わせ、困った時は誰かに質問することを習慣にした。コンテストで友人を作ることも重要ね」
彼女はこのスポーツの魅力をライバルとの競争だけでは無く、自然との戦いにあると考えている。
「サーファーは波を選ぶ、でもその波は全て違う。そこがサーフィンの難しさでもあり、面白い部分よ。海のコンディションを把握する能力は重要。そして、時に賭けをしなければいけない」
サーフィンのコンテストでは’スピード、パワー、フロー’の3つと共にマニューバーのバリエーション、難易度がスコアを上げて勝利が決まる。
「とてもシンプル。最も格好良いパフォーマンスをしたサーファーが勝つのよ」
153センチの彼女は海外の選手に比べて小さいが、身体を大きく見せるためのパフォーマンス、テクニックを持っており、それはハンデにはならないと考えている。
オリンピック選手として有力候補となっている彼女のサーフィンはパワフルでダイナミック。
更に自信を持った大きなターンでは美しいスプレーを上げる。
今シーズンの彼女の目標は世界のツアーで安定したパフォーマンスをすることや、9月に愛知県田原市で開催される『2018 ISA World Surfing Games』でメダルを獲得することだ。
「もっと経験を積んで自信をつけてから東京オリンピックに参加したい」
サーフィンを始める前、海が好きではなかった彼女が人生の大半をこのスポーツに費やしている。
「波で遊ぶ楽しみを経験したことがなかった以前はプールで泳ぐ方が良いと思っていた。でも、今はサーフィンを通して日の出、日の入りの美しさ、宵のうちに最初の星を見つける喜びを知った。その他にも多くのことをサーフィンで学んだの」
参考記事
Surfer Omura aims to make Olympic splash
(空海)