いよいよ10月1日からウェイティングピリオドがスタートとなる今季BWT(ビッグウェイブツアー)。今季は南半球イベントがなくなったので北半球イベントのみ開催予定となっていて、注目は初のウイメンズ部門開催予定となっているマーヴェリックスチャレンジ。
なのですが、マーヴェリックスチャレンジが開催の危機に晒されているとか。その理由は、イベント開催許可を下す組織の一つ「カリフォルニア州有地管理委員会(California State Lands Commission)」がリリースしたレポートにあります。
同レポートによると「男女の賞金格差が解消された場合、WSL(ワールドサーフリーグ)へとマーヴェリックスチャレンジ開催の許可を与える」といった内容が含まれていました。つまり、賞金格差が存在していたことを意味します。
その内容が直接の原因となったのかは不明ですが、WSLは同レポートのリリース同日に開催許可申請をいったん取り消すことに。
この取り消しは当初のスケジュールに影響を与える事となります。マーヴェリックスチャレンジのウェイティングピリオドのスタートは10月1日ですが、次に開催許可の再申請が可能となる日付が10月18日であるためです。
ここで、BWTですでに男女同時開催されたピアヒチャレンジの昨年の賞金を確認してみましょう。
■2017 BWT ピアヒチャレンジの賞金
・メンズ
優勝:2.5万ドル
準優勝:1.6万ドル
3位:1万ドル
・ウイメンズ
優勝:1万ドル
準優勝:6千ドル
3位:5千ドル
男女共に同じコンディションでのイベント開催ではあったものの、メンズは24名出場、ウイメンズは6名出場の1ヒートのみといったフォーマットの違いも影響しているのでしょう。
ただ、ピアヒチャレンジは賞金格差がありながらも開催でき、マーヴェリックスチャレンジは格差解消なくして開催許可を得られないのには一人の女性の存在がありました。
その人物とは、サンマテオ郡の港湾コミッショナーを務めるサブリナ・ブレナン。サブリナはウイメンズサーフィンの賞金格差解消を推進する団体「Committee for Equity in Women’s Surfing」の共同創業者でもあります。
WSLがマーヴェリックスチャレンジ開催のためのライセンス契約をしたのがサンマテオ郡港湾地区ということで、7月にサブリナやWSLサイドを交え、フォーマットや賞金などに関するミーティングが行われたそうです。
その際にWSLが提出した賞金リストは、WSL流の賞金格差是正方法である賞金総額を出場サーファー数で割った平均が男女同額という内容だったとのこと(世界的な流れにおける男女賞金格差の解消は、優勝賞金を男女同額にするという動きなのですが)。
また、男女での優勝賞金の違いについて、WSLのソフィー・ゴールドシュミットCEOから女性サーファーのレベルを軽視するような発言が目立った事も一端となり、開催許可が合意に至らなかったとサブリナは言います。
少し考えてみると、ウイメンズBWTイベントの出場者数は少ないので、賞金をメンズと同じにする事はさほど大きな問題ではないはず。
ただし、メンズと同額にするということは男女格差に対するWSL理論を否定する事に繋がり、CTやQSイベントの賞金是正も求められることから、今回のような事態になったのだと思います。
アスリート第一を掲げるWSLなので開催に向けて動いてくれると思いますが、どのような着地点を迎えることになるのか注目です。
参照記事:
CA Officials May Demand Equal Prize Money For Women at Mavericks Surf Event
On The Path To Equality, Is The WSL Pitting Men and Women Against Each Other?