韓国の抗議によってジャック・ロビンソンの「旭日旗」デザインのサーフボードが真っ赤に染まった理由

パリ五輪のサーフィン競技で選手が使用するサーフボードには厳しい規則がある。

例えば、サーフボードに最初から入っているサーフボードブランドのロゴ以外にロゴ(例えばウェットスーツブランド)を入れてはいけないため、東京五輪では金メダルを獲得したイタロが最初からBILLABONGのロゴが入ったモデルをわざわざ発売してそれを使用したという秘話もある。
そして、東京五輪終了後にそのモデルが売れずに在庫を大量に抱えて大変なことになったという更なる秘話もある。

だからこそ、選手は個性を出すためにサーフボードデザインに凝るのだが、これにもルールがある。

オーストラリア代表のロボことジャック・ロビンソンが亡きアンディ・アイアンズにインスパイアされた「旭日旗」デザインのサーフボードを五輪前に公表。
これが韓国の抗議によって使用を撤回したという話がサーフィン業界以外でも大きな話題になっている。

(最終日に残っているロボ)
Photo: ISA/Tim Mckenna

政治的な面を考慮しなければ、今も多くのサーファーのヒーローであるアンディ・アイアンズが生前に愛用して普通にトランクスまで発売されている「旭日旗」デザインを同じエリック・アラカワのボードに乗るロボがインスパイアされて使用するのは、サーファーとして心温まる話。
それも完成したボードをアンディの弟、ブルースに見せたところ、感動してくれたと言う。

そもそもアンディは当時エリック・アラカワと相談して太陽が昇るシンプルなデザインをと考えて採用しただけで、政治的な意味は考えていなかったと話している。
加えて、エリックの息子の「オリンピックは普通のコンテストじゃない。国家主義的だよ。オーストラリア人が日本の帝国旗をボードのボトムにデザインしていたら、議論を引き起こすかもしれない」との指摘により、太陽自体を描かずにレールから放射状のラインだけに変更していたのだ。

つまり、完全な「旭日旗」ではないのだが、韓国側は違う見解だった。
具体的には韓国の放送局MBCがオーストラリアのオリンピック委員会に正式に抗議した結果、このデザインのサーフボードのボトムは真っ赤に塗られることになった。

ちなみにロボのケースの他、ジョアオ・チアンカはブラジルのキリスト像を宗教的な理由から削除。
ジョーディ・スミスもオニールのロゴをテープで隠すように求められたそうだ…。

(結構雑だが、写真左のボードが赤のスプレーで塗り潰されているのが分かる)
Photo: ISA/Pablo Franco

(空海)

▼パリ五輪サーフィン特設ページ

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