日本のプロサーフィンツアーの賞金額は低いのか?

日本のプロサーフィンツアーが42年の歴史があるJPSAからS.LEAGUEに生まれ変わった2024年。

茨城県大洗で無事に終わった開幕戦の後、SNSで男女の賞金額の差が話題になっていた。

S.LEAGUEの大きなビジョンとして日本だけではなく、アジアまで広げてのツアー開催を準備している。
ゆくゆくは日本のチャンピオンではなく、アジアのチャンピオンをS.LEAGUEで決めるような構想を発表しているのだ。

そんな中で浮上した男女の賞金額の差の話題。

賞金額自体に関してはS.LEAGUEに変わって増加している。
例えば、ショートボード男子の優勝賞金が740,000円から1,000,000円に上がるなど大きな変化があった。

確かに他のプロスポーツと比較するとこれでも賞金額は低いのかもしれない。
同じ個人競技のゴルフでは日本ツアーの優勝賞金が30,000,000円と桁が違う。

しかし、サーフィンだけに絞ると、例えば2024年WSLのQS5,000『Nias Pro』
QSの最もグレードが高いイベントの優勝賞金は6,627ドル(約960,000円)とS.LEAGUEよりも低い。
(他リージョナルのQS5,000は優勝賞金10,000ドル(約1,448,000円)と高いが…。)

ロングボードに関しては、S.LEAGUE開幕戦の男子の優勝賞金が500,000円。
CTに相当するロングボードツアー、通称LTの2024年第2戦『Huntington Beach Longboard Classic』の優勝賞金は5,000ドル(約722,000円)なので、大会規模の差から考えるとS.LEAGUEの男子の賞金額は高いとも言える。

つまり、日本のプロサーフィンツアーの賞金額は世界的に見ても高いと言える。

男女平等の流れ

(WSLが賞金額を男女平等にした2019年に4度目のワールドタイトルを獲得したカリッサ・ムーア。WSLではここから更に男女平等の動きが加速した)
Photo: WSL / Cait Miers

WSLは2019年から世界的なプロスポーツ団体では初となる賞金金額の男女平等化を決めている。
CT、CS、QSとLTを除く全てのカテゴリーで参加人数が男女で異なるにも関わらず、現在全て賞金額が同額になっている。

S.LEAGUEが掲げるビジョンは、単なる金銭的な価値を超えた素晴らしいものである。
同時に注目度も上がっているからこそ、SNSで男女の賞金額の差が話題になったのかもしれない。

S.LEAGUEが目指すのは、単なる賞金だけでなく、アジア全体に広がるサーフィンコミュニティの発展と、世界でのさらなる競争力の強化。
アジアのサーフィン界を牽引する存在として、世界的な男女平等の流れも考慮しつつ、今後どのような成長を遂げるのか、注目したい。

サーフィン競技賞金額の違い

2024年 S.LEAGUE開幕戦の賞金額

ショートボード男子
1位 1,000,000円
2位 400,000円
3位 225,000円

ショートボード女子
1位 300,000円
2位 130,000円
3位 65,000円

マスターズ
1位 200,000円
2位 150,000円
3位 100,000円
4位 50,000円

ロングボード男子
1位 500,000円
2位 250,000円
3位 150,000円
4位 100,000円

ロングボード女子
1位 150,000円
2位 70,000円
3位 50,000円
4位 30,000円

2023年JPSAショートボード「第27回茨城サーフィンクラシック さわかみ杯」賞金額

ショートボード男子
1位 740,000円
2位 360,000円
3位 210,000円

ショートボード女子
1位 320,000円
2位 150,000円
3位 85,000円

2023年JPSAロングボード「クリオマンション 茅ヶ崎ロングボードプロ」賞金額

ロングボード男子
1位 300,000円
2位 150,000円
3位 100,000円
4位 70,000円

ロングボード女子
1位 80,000円
2位 50,000円
3位 40,000円
4位 30,000円

世界のサーフィンコンテストの賞金額

CT最終戦『Corona Fiji Pro』賞金額(男女平等)
1位 100,000ドル(約14,456,000円)
2位 63,000ドル(約9,106,000円)
3位 40,000ドル(約5,782,000円)

CS第4戦『Lexus US Open of Surfing』賞金額(男女平等)
1位 20,000ドル(約2,897,000円)
2位 10,000ドル(約1,448,000円)
3位 5,000ドル(約722,000円)

QS5,000『Nias Pro』賞金額(男女平等)
1位 6,627ドル(約960,000円)
2位 3,313ドル(約480,000円)
3位 1,656ドル(239,000円)

LT第2戦『Huntington Beach Longboard Classic』賞金額(男女平等)
1位 5,000ドル(約722,000円)
2位 2,500ドル(約361,000円)
3位 1,300ドル(187,000円)

LQS『Baler International Pro』賞金額(男女平等)
1位 2,000ドル(約289,000円)
2位 1,000ドル(約144,000円)
3位 600ドル(約86,000円)

(空海)

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