公共交通機関を利用してのサーフトリップにおいて、最も厄介な存在となるのがサーフィンには欠かせないサーフボード。
サイズがスーツケースと言った一般的な荷物よりも大きいため、大型荷物としてサーフボードチャージを課せられる点は手痛いものの受け入れるしかありません。
サーフボードチャージよりも厳しいのは、そもそもサーフボードの持ち込み禁止となっているケースで、そうなるとサーフトリップが成り立たなくなります。
そんな問題を解消してしまうのが、フランスのサーフボードブランド「NOTOX(ノトックス)」が発表した折り畳み式サーフボード。
折り畳みボードの歴史は意外にも深く、初めて市場で販売されるようになったのは1965年のこと。
仕掛け人の一人であったのが、後にブギーボードとキャッチサーフの生みの親となったトム・モリー。
1966年に実際にメキシコトリップで折り畳みボードを持ち込み、ライディングしている様子は以下となります。
時代背景を考えると、1967~1970年のショートボード革命前のロングボード時代の事なので、二分割ではなく三分割(トライセクト)という点が強烈です。
ロングボードという事は重量も相当になるのは容易に想像でき、実際の重さはおよそ40ポンド(約18キロ)だったそうです。
現在の一般的なショートボードが3キロほどと考えると、たとえ長さがコンパクトになっても旅のお供としては相当なハードモードではないでしょうか。
そのように折り畳みボードが誕生後、折り畳みを追求するものがいなくなったわけではないものの、かなりのマイノリティといった存在となることに。
その理由として挙げられるのが、ハイパフォーマンスショートボードを追求すると言うコンセプトを満たすことができないため。
折り畳みボードだと繋ぎ目によって水流が阻害されたり、シンプルに重量が増したりといった弊害を伴うためです。
そんなデメリットを解消したというのがノトックスの折り畳みボード。
ノトックスによると、繋ぎ目となるレールは、エアバスA380の廃棄物から採取した剛性の高い航空用カーボンファブリックを使いバキューム成形しているとのこと。
そしてボード表面にピッタリとフィットするので、水流を阻害したりといったデメリットは解消しているそうです。
また、重量が増してしまう問題については、軽量なカーボン素材の使用という事で500~700グラムほどの増量に抑えたと言います。
そして実際のライディング映像を見ると、十分にパフォーマンス性能をキープしていることが分かる事でしょう。
そもそも、なぜ折り畳みボードにこだわったかと言うと「時代はスローツーリズムに移り変わって行ってるから」とのこと。
「スローツーリズム」とは従来の飛行機を使ったメジャー観光地巡りとは対極となり、観光地の訪問数といった「量」ではなく、一つのエリアを深く知る「質」を追求する旅のスタイル。
そのために欠かせないのが列車移動なので、折り畳みボードにこだわったそうです。
おそらく日本人サーファーだと理解できないと思いますが、その理由は日本では電車にサーフボードを持ち込むのが基本的に問題ないためです。
なのですが、海外ではリムジンバスや長距離バスでのサーフボード預けは問題ないけど、電車は持ち込み禁止と言う国が多いためです。
そしてフランスもそんな国の一つなのでしょう。
そんな日本とは異なるバックグランドから生まれた折り畳みボードと言う選択肢が、今後広まっているのかどうか気になるところです。
公式サイト「NOTOX」
(World Surf Movies)