1971年からの古い歴史を持ち、サーフィンコンテストの中では最も権威あるタイトルと言われている「パイプマスターズ」がWSLを離れ、Vans主催の招待制イベントになって今年で3回目を迎える。
WSL側は「パイプマスターズ」とは別にCTイベントを開催しているが、「パイプマスターズ」、「パイプラインマスターズ」はVANSの知的財産権のため、「マスターズ」という言葉は使用せず、ただのCTの1イベントに収まってしまった。
もちろん、パイプラインで行われる最も大きなイベントであることは変わりないので、優勝にはただのCTの1イベント以上の名誉があるが、サーフィン界の一つの歴史が終わったことは間違いない。
一方、『Vans Pipe Masters』として開催している「パイプマスターズ」はWSL時代とフォーマットを一新。
中でもエアーや革新的なマニューバーにハイスコアが出ることには賛否両論あり、それに伴う招待選手にも異論が唱えられているのが事実だ。
すでに招待選手の一部が発表され、正式なリストが揃う11月末を前にハワイを代表するサーフィン一家の一人であるジョシュア・モニーツが声を上げた。
“普段は自分の意見をあまり言わない方だけど、誰かが声を上げないなら話さなければと思った。
これは私が招待を求めているわけではない。
この話題は、パイプライン・マスターズがサーフィンにとって何を象徴しているのか、そしてこの波やイベントが持つべき敬意についての話だよ。
例えこの発言で、今後二度とパイプライン・マスターズに出場できなくなっても構わない。
これまでパイプで勝利した瞬間を経験し、それに感謝している。そして、この声が、現行のシステムの元ではチャンスを得られないかもしれない誰かを助けることに繋がるなら、それは価値のあることだと思う。
子供の頃、最高のパイプラインスペシャリストとワールドツアーのサーファーたちが正面から対決する姿を見て育った。
それがこのイベントを特別なものにしていたのさ。なのに、Vansが権利を取得して以降、短期間でパイプライン・マスターズの意味がほとんど失われてしまったことにショックを受けているよ。
このイベントの最近の運営方法は、サーフィン史上最も象徴的な波とイベントへの敬意を欠いているように感じる。
ここはハワイという私たちのホームなんだ。
長年ローカルや国際的なサーファーたちが、ラインアップでの権利を得るために努力してきたのに、多くの人々が排除されているのを見ると、納得いかないね。
特に、ジェイミーが補欠枠に入ったと聞いたときは、声を上げる必要を感じた。
パイプライン史上最高のサーファーの一人とも言われる彼が、このイベントに出場する資格がないとされるなんて、全く理解できないね。
このイベントを象徴する存在である彼が外される一方で、パイプをほとんど経験していないサーファーたちに枠を与えるのは、長年努力を積み重ねてきたローカルや国際的なサーファーたちへの侮辱のように感じるんだ。
もちろん、これはそういったサーファー個人に対する批判ではない。誰だってこのようなチャンスがあれば受けるだろう。
しかし、こうした決定の仕方は、本当にその場所を得るべき人々にとって不公平だと思う。
招待制のイベントでは、全員を満足させることは難しいのは理解している。
でも、少なくとも、権利を得るに値する人々に枠を与えるのが最低限のルールでは?
それだけを望んでいるんだ。”
パイプマスターも賛同
このジョシュアの意見に賛同するサーファーも続々と声を上げ始めている。
その中にはジュリアン・ウィルソン、ケリー・スレーターなどパイプマスターも含まれている。
果たしてVansが行った改革は間違っているのか?
あなたの意見は?
「その通り、ジョシュ。声を上げてくれてありがとう。私もパイプライン・マスターズが冗談のようになってしまった現状を整理しているところさ。この大会への出場者を決定している人たちは、明らかに毎日パイプで何が起きているのかを理解していないように思える。このような権威あるイベントがこれほどまでに誤って運営されているのを見るのは、とても悲しいことだよ。自分自身だけでなく、全てのスウェルでパイプラインに時間を費やしている数少ない人たちに対しても、非常に不敬だと感じている」
JOB
「正直、私が招待されなかったことに驚いているわ。私は女子ロングボードの世界チャンピオン。パイプではまだサーフィンをしたことがない。シングルフィンに乗っている。条件に完璧に合っているように思えるけど、一体どういうことなの。ジョシュ、なぜこの話に私を加えてくれないのよ?」
ケリア・モニーツ
「まさにその通り。本当のことを言ってくれてありがとう。あなたの行動は、正直で真摯な模範を示してくれている。Vansは私たちが育った頃に「パイプライン・マスターズ」が意味していた全てを奪い去ってしまったね」
ビリー・ケンパー
「WSLはパイプラインマスターズを絶対に手放すべきではなかった。ゴルフがマスターズ、テニスがウィンブルドンを手放して何か新しいことを試みるようなものだよ。積み上げられた歴史が簡単に引き渡され、都合の良いように使われるなんて、最初から良いアイデアではなかった」
ジュリアン・ウィルソン
「完全に同意します。歴史を忘れてはいけない」
松岡慧斗
「アーメン(その通り)」
ケリー・スレーター
(空海)