9月15日(土)に開幕する『2018アーバンリサーチISAワールドサーフィンゲームス(通称:ISA世界サーフィン選手権)』
2019年及び2020年の『ISAワールドサーフィンゲームス』への参加は五輪出場の必須条件となっており、その前哨戦となる今年は、各国が例年以上に強豪を揃えて参戦する予定。
サーフィンが初めてオリンピック競技となる2020年にむけて、ますます世界中から注目のあつまる本大会の見どころを解説。
▼目次 1.【要注目】日本代表とライバル国 2.【要注目】出場国大集合の開幕式&パレード 3.【要注目】ピースフルな団体戦アロハカップ 4.【更に詳しく】ISA世界選手権とオリンピック 5.【更に詳しく】試合形式/評価方法/国別ランク 6.【更に詳しく】参加国と注目選手 7.大会の様子はライブ配信でチェック |
【要注目】日本代表とライバル国
■日本代表は過去最強のメンバーでメダル獲得を目指す
3年連続WSLのCT[チャンピオンシップツアー]に参戦中の五十嵐カノアを筆頭に、CT出場経験のある大原洋人、昨年のISAジュニアで6位と健闘をみせた川合美乃里など、メダル獲得が大いに期待できる過去最強の布陣。
■ライバル国
強豪国のオーストラリア・ブラジル・アメリカは、CT選手やQS優勝者などの精鋭メンバーを出してきている。
その他にも、CT選手が出場する南アフリカ・ニュージーランドや、昨年の国別TOP3であるフランス・ポルトガル・スペインなどは、手ごわい相手。
しかしながら、今回の日本代表メンバーは、十分にメダル獲得の実力がある。
【要注目】出場国が一斉に集まる開幕式&パレード
大会初日の15日(土)には、開幕式(オープニングセレモニー)や、各国の選手団がマーチングバンドとともに行進する「パレード・オブ・ネイションズ」が行われる。
オープニングセレモニーでは、国歌斉唱や選手宣誓のほか、毎回、各国から持ち寄った海の砂を一つの箱におさめる「サンド・オブ・ザ・ワールドセレモニー」という、サーフィンを愛する参加国の選手の絆を象徴する儀式が行われる。
様々な国の選手が一同に介して国旗を掲げる光景は、本大会が単なるサーフィンの試合ではなく、世界中のサーフィンを愛する人々が国境も宗教も人種も越え一つの場所に集まっているのだということを改めて実感する瞬間でもある。
【要注目】ピースフルな団体リレー「アロハカップ」
各国の代表選手がリレー形式で演技を行う団体戦のスペシャルティイベント「Aloha Cup(アロハカップ)」。
各国のチームは男女各2名の計4名で構成され、一人が最大3本の波に乗って、岸のスタートラインまで戻り、次の選手にバトンタッチするルール。
1ヒート40~60分程度で、4名のライディング合計スコアがカウントされる。制限時間内で良い波をセレクトする技術が鍵だが、選び過ぎても次の選手の時間を奪うことになり、悪い波に乗るとスコアが伸びずという難しい勝負でもある。
また、次の選手がライディング開始するためには、前の選手が基地となるテントまで戻ってくることが条件となるため、ライディング前後のビーチダッシュも勝負の肝になる。
ISAの公式ルール上は、その他の試合を全て実施の上で時間に余裕があれば、このアロハカップを開催することになっているが、これまで殆どの回で実施されている。
なお、アロハカップに参加できるのは、原則前大会の上位7カ国+ホスト国のみだが、日本は前大会で団体5位のため今回も参加できる見込み。
別名「フレンドリーマッチ」と呼ばれるほど、個人戦と比べてピースフルな雰囲気が漂うこのイベントは、通常のヒートとはまた異なる面白さがある。
【更に詳しく】「ISAワールドサーフィンゲームス」と「東京2020オリンピック」
本大会を主催するISA[国際サーフィン連盟]は、世界のアマチュアサーフィンを統括する団体で、現在5大陸104カ国が加盟している。
ISAは、IOC[国際オリンピック委員会]のIF[国際競技連盟]に所属しており、今年3月に東京2020オリンピックの選考基準を発表。
その選考基準では、2019年及び2020年の『ISAワールドサーフィンゲームス』への参加が五輪出場の必須条件」と定められている。
ISAに加えて、世界的に権威のあるもう一つのサーフィン団体がWSL[ワールド・サーフ・リーグ]。世界のプロサーフィンを統括する団体で、毎年世界トップレベルのプロサーファー34名が参戦するチャンピオンシップツアーを実施している。WSLには、世界の有名プロサーファーが数多く在籍し、年間チャンピオンの賞金は3500万円超にものぼる(2017年 ジョンジョンフローレンスの賞金額 $322,500)。
五輪出場の必須条件となる来年・再来年の「ISAワールドサーフィンゲームス」には、通常は所属団体の異なるWSLのプロサーファーも数多く参戦し、各国が強豪を揃えてくるとみられている。今年もその前哨戦として、例年以上に高レベルな戦いが予想される。
また、五輪での試合形式もISAの試合フォーマット▼に近いものになるといわれており、五輪のプレビューイベントとして位置づけられている本大会には、サーフィン業界のみならず世間からも注目が集まっている。
【更に詳しく】試合形式・評価方法・国別ランク
■試合フォーマット
細かなヒート組みは、全エントリー〆切後、コンテストディレクターによって決められるが、概要は以下の通り。
・ダブル・エリミネーション方式 本戦とリパチャージ[敗者復活戦]。
・原則、各ヒート最大4名ずつ(ラウンド1とリパチャージは状況に応じて5名になる場合もあり)。
・各ヒートは15~30分。
・本戦はRound1からRound5、セミファイナル、ファイナルと、全7ラウンド。
・各ラウンドで半数が上位ラウンドに進み、残りがリパチャージに進む。
・グランドファイナルでは、本戦の上位2名と、リパチャージの上位2名が戦う。
■評価方法
各ヒートでベスト2本のライディングが評価対象。以下基準で採点される。
・波のスピード・パワー・フローを含めた的確なセクションで、マニューバーが決められているか
・技の革新性・コンビネーション・レパートリーの多さ
・上記を満たし、技の難易度と波へのコミットメントを見せたものが、スコアを最大化する
■国別ランク
各選手には進んだラウンドに応じて、0~1000ポイントが割り振られる。各国に所属する全選手のポイント合計点で、国ランクが決まる。(Aloha Cup▲の結果は含まれない)
詳細は、ISA公式ルールブック(英語)で確認できる。
【更に詳しく】参加国と注目選手
■全大会の金メダリスト
昨年の個人優勝者、Jhony Corzo(メキシコ)とPauline Ado(フランス)は今年も出場。2大会連続の優勝を目指す。
また、昨年の団体優勝はフランス。昨年から引き続き出場するのはポーリン・アドゥとジャスティン・デュポンのみだが、新しいチームメンバーで2大会連続団体優勝を目指す。
■強豪国のオーストラリア・ブラジル・アメリカ
元CTサーファーのビート・ダービッジがコーチを務めるチームオーストラリア。注目の選手は、WSLのウィメンズCT選手であり、2008大会の優勝者でもあるサリー・フィッツギボンズ。
意外にもナショナルチームからの出場はサリー・フィッツギボンズ1名のみで、男子は若手選手を揃えてきており、将来を見据えた人選か。
ブラジルは、CTサーファーのイアン・ゴウベイアが参戦。
アメリカは、QSで活躍するケビン・シュルツに加え、昨年のISAジュニア選手権(U16)で準優勝した渡辺太郎や、今年のWSLジュニアで2位のSummer Macedoなど経験豊富な若手選手を揃えてきている。
■そのほか
南アフリカはビアンカ・ベイタンタグ、ニュージーランドはペイジ・ハレブと、それぞれウィメンズCTサーファーが出場。
また、ポルトガルチームは、過去に伊良湖で開催されたQS6000(当時はQS最高グレード)で3位入賞の経験があるペドロ・ヘンリケや、五十嵐カノアのガールフレンドであるテレサ・ボンバロも登場する。
その他にも、過去にISAワールドサーフィンゲームスの優勝経験があるアルゼンチンのサンティアゴ・ムニーツとレンドロ・ウスナ、ペルーのソフィア・ムラノヴィッチとアナリ・ゴメス、インドネシアの和井田理央にも注目だ。
■5大陸42カ国202名の選手が参加
伝統的なサーフィン大国以外も、多くの国が登場するのがISA世界サーフィン選手権の一つの特徴でもある。
今年はイランとハンガリー、フィリピンが初登場。昨年初登場した、アフガニスタン・中国・台湾・ギリシャ・セネガル・韓国の6カ国とも、今年も出場。
フルメンバーはISA公式サイトで確認可能。
大会の様子はライブ配信でチェック
2020年の東京オリンピックに向け、世界中から注目の集まる「ISAワールドサーフィンゲームス」が、28年ぶりに日本で開催される。
現地に行ける方は会場に足を運び、ぜひその臨場感を肌で感じて欲しい。もちろんビーチでの観戦は無料。
現地に行けない方は、以下からライブ配信やリアルタイムスコアを確認可能だ。
▼「2018 UR ISAワールドサーフィンゲームス」のライブ中継(日本語実況あり)
(THE SURF NEWS編集部)
ISA ワールドサーフィンゲームス
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