2024年よりも2戦多く、開催地やミッドシーズンカットのタイミングなど大幅に変更された2025年のCT。
まずは開幕戦『Lexus Pipe Pro』がオアフ島・ノースショアのパイプラインで開催され、現地時間2月8日のウェイティングピリオド最終日にファイナルデイを迎えた。
この日のコンディションは前日に入った北西ウネリがピークを過ぎてしまい、公式4-6ftレンジ。
フェイスはクリーンだったものの、全体に波数が少なく、バックドアメインでパイプラインが時折入る波でメンズ、ウィメンズ共にQFから再開された。
なお、2月11日に53歳を迎えるケリー・スレーター(USA)は前日の神がかったサーフィンが影を潜め、勢いがあったイアン・ゴーベイア(BRA)に完敗。
イアンの父、ファビオは20年以上前に8シーズンに渡ってケリーとCTを戦い、ヒート勝利数では上回るケリーキラーだった。
パイプラインで数々の記録を持つケリーがQFを突破できなかったのは、27回の内の2度目。息子のイアンは2世代に渡ってケリーキラーの称号を与えられることになりそうだ。
敗退しても会場でのケリー人気は相変わらずで、ファンからのサイン攻めは絶えず。きっと、来年もWSLからワイルドカード出場のオファーが来ることだろう。
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タイラーが2度目の制覇
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ウィメンズサイドはディフェンディングチャンピオンのケイトリン・シマーズ(USA)とパイプラインで3度目のファイナルとなるベテランのタイラー・ライト(AUS)がファイナルに残った。
二人は2023年のブラジル戦で対戦したことがあり、その時はケイトリンが優勝していたが、今回は序盤から細かくスコアを重ねていったタイラーの戦略勝ち。残念ながらファイナルはポテンシャルがある波が少なく、ケイトリンは波を待ち過ぎてしまった。
「本当に特別な勝利よ。何度も怪我をしてきたから、サーフィンを愛するのが少し怖いこともある。今回は本当に素晴らしい感じだったわ。去年は、皆が思っている以上に怪我をしていたの。それでもこの舞台に戻り、妻と素晴らしいオフシーズンを過ごせたことが本当に特別だった」
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2021年にシャークアタックがあったマウイ島から移動したウィメンズ初開催のパイプラインで優勝していたタイラー。
2023年にもファイナルでカリッサと争い、2位と相性の良い波でもある。
今回の優勝でCT通算17勝目。
3度目のワールドタイトル獲得に向けて最高のシーズンスタートを切った。
「もっと楽しんでサーフィンをしようと思い、それが実感できた。シマーズとのファイナルは凄く面白かったわ。彼女は私にとってパイプラインの女王みたいな存在よ。SFのモリーとシマーズのバトルはバックドアシュートアウトみたいで面白かった」
ケイトリンとモリーの『Backdoor Shootout』
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ファイナルでケイトリンが波を待ち過ぎたのは、昨年ファイナルを共有した親友のモリー・ピックラム(AUS)とのSFで『Backdoor Shootout』を彷彿させるようなバレル勝負をしたことが頭に残っていたからか…。
ケイトリンとモリーのカードは互いに8ポイント台からスタート。ケイトリンは2本目で更に長いバレルをメイクしてからグラブレールでのカービングターンを綺麗に決めて9.50をスコア。
更にモリーもストールからバレルイン、抜けてからのセクションも無駄にせず、ねじり込むようなターンを決めるなど最高のショーとなった。
二人のトータルスコアは17.67 vs 16.13とウィメンズの中では事実上のファイナルと呼べれるようなベストヒートになった。
「バレルの中からでも、ビーチから見ていても、本当に美しい波だと思うわ。ファイナルがバレル勝負になれば良かったなと思うけど、時々波は眠るし、私たちのヒートでは海が完全に寝ていわ。でも、タイラーは本当に賢いコンペティターで、しっかり良い波を掴んでいたわ。おめでとう!」
バロンがアンディ・アイアンズに並ぶ記録を達成
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メンズサイドは前日にパーフェクト10を出してジョン・ジョンとのクロスゲームを制していたバロン・マミヤ(HAW)がファイナルデイも勢いを維持。
SFではイタロ・フェレイラ(BRA)を相手に2本の9ポイント、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)とのファイナルでも9.80を出し、パイプラインでの2連覇を達成した。
2連覇は史上6人目で、ハワイアンでは2005年と2006年に優勝したアンディ・アイアンズ以来。
その前のローリー・ラッセルと並び、ハワイアンでは3人目と歴史に名を刻んだ。
2022年にリプレイスメントで出場したサンセットビーチでも優勝しているバロンはCT通算3勝目。
全てホームのノースショアで勝利している。
「本当に信じられない。凄い感謝してるよ。優勝するだけでも凄いことだけど、連覇を達成することは、歴史に名を刻むことだと思う。それがこの大会での目標だったし、達成できたよ」
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レオとのファイナルは開始直後にコンパクトなパイプラインとディープなバックドアで8.17、9.80。あっという間に17.97をまとめて勝負を決めてしまったように見えたが、後半のレオの追い上げも凄まじかった。
まず、バックドアのテクニカルなバレルライドで8.87で流れを変え、バックドアで更に長いバレルをメイク。ニード9.11のシチュエーションでジャッジが出した数字は9.10(アメリカとブラジルのジャッジのスコアが極端に低かったのが引っかかったが…)とトータルでは17.97とタイスコアになった。
タイスコアの場合、シングルスコアが上回る選手の勝利になるため、9.80を持っていたバロンが優勢となり、レオの追い上げ虚しくCT初優勝はお預けとなった。
「レオとのファイナルは壮絶だったね。あの巻き返しはクレイジーだったよ。昨日のジョンとのヒートもそうだけど、凄い展開だった」
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2023年に続く2度目のファイナル進出となったレオは、「自分に誇りを持っている。この舞台に立てて嬉しいよ。バロンにはコンボに追い込まれたけど、『バックドアの波2本でいける』って思った。9.11が必要で、9.10しか出なかった。でも、立ち直ってチャンスを掴んだ自分を本当に誇りに思う。バロン、おめでとう。彼はパイプラインで最も偉大なサーファーの一人だと思うよ」とインタビューで答えていた。
次の第2戦は2024年にオープンしたばかりのケリーのウェーブプールのシステムを利用したサーフアブダビを舞台にした『Surf Abu Dhabi Pro』
2月14日〜16日に開催される。
『Lexus Pipe Pro』結果
1位 バロン・マミヤ(HAW)
2位 レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
3位 イタロ・フェレイラ(BRA)、イアン・ゴーベイア(BRA)
5位 ミゲル・プーポ(BRA)、ジェイク・マーシャル(USA)、ケリー・スレーター(USA)、ジョージ・ピッター(AUS)
ウィメンズ
1位 タイラー・ライト(AUS)
2位 ケイトリン・シマーズ(USA)
3位 レイキー・ピーターソン(USA)、モリー・ピックラム(AUS)
5位 イザベラ・ニコルス(AUS)、キャロライン・マークス(USA)、ソーヤ・リンドブラッド(USA)、ブリッサ・ヘネシー(CRI)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)