すでにSNSで話題になっている通り、Volcom、Billabong、Quiksilverなどのアクションスポーツブランドを展開するLiberated Brandsが、Chapter 11(連邦破産法第11条)の適用を申請。
プレスリリースでは、「事業の計画的な資産の換金および処分を実施するために破産申請を行った」と発表。
これに伴い、すでに米国内にあるVolcom、Billabong、Quiksilverの約124店舗の閉鎖が決定している。
破産申請において、資産の評価額を1億ドルから5億ドルの範囲と見積もっており、負債も同様の範囲にあると報告。
米国内の店舗について「閉鎖プロセスを開始する間は営業を継続するが、最終的には清算セールの終了後に閉店する」と説明。
また、ハワイにある9店舗については「現在交渉中」であると述べた。
Liberated BrandsのCEOであるトッド・ハイメル氏は裁判所への提出書類の中で、「急激かつ劇的な金利上昇、持続的なインフレ、サプライチェーンの遅延、歴史的なトレンドを大幅に下回る顧客需要の減少、消費者の嗜好の変化、多額の固定費」などのマクロ経済的要因が、同社の財務に大きな負担をかけた」と述べている。
3つの会社の関係性
今回の破産申請において、関係する3つの会社がある。
・Authentic Brands Group(ABG)
・Boardriders
・Liberated Brands
まず、この中でトップに立つAuthentic Brands Group(ABG)は、グローバルなブランド管理会社で、2023年にBoardridersを買収。
これによりQuiksilver、Billabong、Roxy、RVCAなどのブランドを所有するようになった。
ABGは今回問題になったサーフブランドの他にもReebok、Forever 21、Nautica、Brooks Brothersなどのブランドを所有。
主に破綻したブランドを買収した後、直接運営するのではなく、商標を所有し、運営会社にライセンスを付与することで収益を得るビジネルモデルを採用している。
Boardridersは元々、Quiksilverを中心とした企業で、後にBillabongを買収して拡大したアクションスポーツ系ブランドの会社。
Roxy、RVCA、DC Shoes、Elementなども傘下に持っていたが、2023年にABGに買収された。
今回問題になっているLiberated BrandsはVolcomの長年の運営会社で、2023年からABGの一部ブランド(Quiksilver、Billabong、Roxy、RVCAなど)のライセンスを取得して北米で小売およびEC事業を運営。
Billabong、RVCA、Honoluaについては卸売ライセンスの権利も持っていた。
しかし、2024年12月にライセンス契約の一部が経営難によって契約上の義務を果たせなかったとしてABGによって打ち切られ、資金繰りが悪化とのことだ。
今後のブランドの維持は?
それでは、Volcom、Billabong、Quiksilverなどの今後は?
Liberated Brandsの破産手続きは進行しているが、これらのブランドはABGが所有しているため、破産によってブランドが失われることはない。
今回はLiberated Brandsの経営方針が悪かっただけで、ブランドとしての価値は維持している。
CT選手を多数抱え、イベントのスポンサーになっている大会社でもあり、サーフィン業界の中心としての地位は揺るぎない。
Liberated Brandsが破綻した後、これらのブランドのライセンスは新たな運営者に移管される予定で、すでに引き継ぎも行われている。
とはいえ、例えば日本でもアウトレットにあるようなQuiksilver、Billabongのショップは閑古鳥が鳴いていると言われている。
サーファーがサーフブランドを着ない今の時代、かつてのような盛況ぶりは見られず、今後も同様の問題が繰り返される可能性は高い。
Liberated Brands
https://www.liberatedbrands.com/
(空海)