F+(エフプラス)
ほんとに来たね、ジャック・ロビンソン。

あの優勝する人が持ってる独特な感じというか、ひたひた来てるよねー、みたいなのは現地で実物見てないとわからない特別な感じなんだよね。ペースというかオーラというか。昔のケリーぐらいずば抜けてると話は別だけど、爆発のまんま走り抜けて優勝ってウイナーはそんなにいない。ジャックみたいにひたひたと静かに着実に近づいてくる感じか、カノアみたいに危ないところをすり抜けてくる感じかなんだけど、どっちにしても、試合全体の中でのペース配分のようなものかなぁ。そのすり抜けるほうは運の場合も多いけど、今回のカノアのは運というより自身が持つ対応力。ありとあらゆるコンディションとその変化に合わせて、相手に合わせていろんな作戦をとってくる感じ。モーガンとのあんなに波の来ないヒートでも、あの手この手で何とかしてポイントにつなげようとして、最終的にはつなげてしまうのはさすが。このイベントでの大物だったイーサン・ユーイング、モーガン・シビリック倒しての2位。

しっかし今年のベルズは引っ張りまわされたな。
あの過酷な階段とか坂とかでやられっぱなしだし、待ちも長いし、基本寒いし、波もイマイチだったし……でも、それでもやっぱりあのヘルズベルズの出だしの「ゴ~ン」聞いちゃうと、いいねぇ~ベルズ、って感じちゃうわけで、ベルズを特別なイベントにしているのはその長い歴史とAC/DCだな。鐘の音ひとつでビーチの空気一変(笑)。
ファイナルデーも潮4時間待ち。潮待たないとやれないぐらいの微妙なコンディション。朝の引きの時間帯はけっこう波も来ててよかったんだけど、そのあと待ちの間に上げいっぱいから引きで、エクスプレッションセッションとかやってて、最後のエクスプレッションセッションでは爆弾セットがけっこう来てて、そうか、これ待ちなのか、って感じではあったけど、試合スタートしたとたんにぱったりセットは止まり、えぇ~まじっすかぁ、みたいな。モーガン・シビリック超食らったな。結局ちょっと前まで来てた爆弾セットはひとつも来なかったし。

どのヒートもあまり深追いしないで、さっさとミドルでアベレージとかグッドとか集めてセット待つ作戦のほうが結果的には正解だった。プライオリティ握って待ってるほうより、アンダープライオリティだからどんどん乗って出たらラッキーでしょ、みたいなほうが勝ち上がっていった印象。でもジャック・ロビンソンだけ別で、狙ってる波をただひたすら待って2本で決める感じの繰り返し。ファイナルもずっとカノアペースだったけど、終盤にひっくり返した。それが待てる精神力と集中力と自信、そこでミスしない実力が優勝のオーラとして出るのかな。同じ待っても波が来なかったモーガンとの差は、神様としか言いようがないというか……。

グリフィン・コラピントとジャック・ロビンソンのセミが事実上のファイナルといえたかもしれない。サーフィン的には一番見ごたえのあったヒートかと思う。スプレーの大きさだけでなく、厚さとか見るとこのふたりはすごかったな。テールエリアで回すのではなく、レールでえぐっていく感じ。不運続きのグリフィンもこれでようやくハーフカットメイク圏内に入った。

女子のほうも淡々と、そんなに目立たないけどしっかり点を積み重ねてた感じのイザベラ・ニコルスが優勝した。
今回かなりセットのきついところに攻め込んでいたルアナ・シルバが2位。同じ2位でも最後に逆転負けしたカノアはちょっと悔しそうだったけど、ルアナは2位大喜びな感じ。超ハッピーだった。
男女ともオーストラリア勢優勝でギャラリー大盛り上がりだったけど、全体的にもっと普通に波数があればまるで違ったかな、と思う。
次はゴールドコースト、バーレーヘッズ。ゴールドコーストが地元のフィルマーによると、予報では序盤がいいみたいで、最初の3日で終わるかも、って話だったけど。