4月のバリ島のクラマスで始まり、伊豆、伊良湖、新島、種子島、大洗、志田下、仙台新港と全8戦で争われた2018年のJPSA(日本プロサーフィン連盟)ショートボードシリーズ。
11月18日に最終戦が終了し、加藤嵐(25)と野中美波(17)がグランドチャンピオンを獲得した。2018年のJPSAショートボード各戦を振り返る。
バリ島の『ガルーダ・インドネシア/旅工房 ムラサキプロ』では加藤嵐、辻裕次郎、大澤伸幸、3名のグランドチャンピオン経験者と若い安井拓海が対戦。波、選手ともに初戦に相応しいファイナルとなり2018年シーズンの幕を開けた。
3ヶ月の長いインターバルが開いた7月の伊豆での第2戦『伊豆下田CHAMPION PRO』はメイン会場の白浜、最終日は多々戸で行われ、ローカルの大野修聖が3年連続ファイナル進出。
その他、小林桂、辻裕次郎、 西修司と強豪が揃いデットヒートだったが、小林桂が得意のエアリアルで終了間際にトップに立って優勝。
2016年、トライアルから勝ち上がって優勝したバリ戦以来のJPSA優勝を飾った。
台風の当り年となった今年、7月後半の第3戦『夢屋サーフィンゲームス 田原オープン』は伊良湖・ロコポイントで開催されたものの、台風12号の影響で危険なコンディションとなり、延期が決定。
8月の新島、第4戦『ALL JAPAN PRO 新島』は3年連続優勝の村上舜が欠場。オンショアで難しいコンディションとなったファイナル。カレントリーダーの辻裕次郎とローシードでR2から勝ち上がってきた大橋海人がマンオンマンで対戦。
髪の毛を切り、イメージチェンジした大橋海人が海外でのコンテストの不調を吹き飛ばすように快勝。
今年で23回目を迎えた茨城・大洗での第5戦『I.S.U茨城サーフィンクラシック さわかみ杯』
風の影響が入った難しいスモールコンディションの中で行われたこのイベント、伊豆と新島で2位、バリ島の開幕戦で3位と全てファイナルをメイクしてカレントリーダーの座を維持していた辻裕次郎がR5で早々と敗退した一方、2010年のグランドチャンピオン、大澤伸幸がダークホースの川俣海徳とファイナルを戦い、2015年の鴨川戦以来の優勝を決めた。
この時点でランキングでは辻裕次郎がトップ、加藤嵐が2位、優勝した大澤伸幸が3位に浮上。
ポイント差は僅かだった。
昨年からJPSAショートボードのイベントに加わった種子島が第6戦の舞台。
『サーフアイランド種子島プロ』はポイントと賞金が2倍になるダブルグレード。
台風24号接近の中で行われ、進路を考慮して会場を最南端竹崎海岸、通称「ホテル前」からウネリをかわす北西部の「よきの海水浴場」に移動して足早に進行した。
カレントリーダーの辻裕次郎がQF、2位の加藤嵐がSFで敗退した一方、若い選手の活躍が目立ち、河谷佐助、小笠原由織、松本コア、塚本勇太とファイナリストは全て初の選手という珍しい展開となり、河谷佐助が逃げ切り、JPSA初優勝を決めた。
この優勝で4,000ポイントを獲得した河谷佐助は9位から一気にトップに立ち、2位は辻裕次郎、3位は加藤嵐。
ポイント差からこの3名でのタイトルレースが濃厚になってきた。
第7戦の舞台は千葉県の志田下。
『CHIBA ICHINOMIYA PRO supported by 湾岸画廊』は10月に開催され、千葉勢が強さを発揮。
高橋健人、田中英義、加藤嵐、大原洋人がファイナルに残り、唯一のグーフィーフッター高橋健人がJPSA初優勝。
数年前に足の怪我でコンテストに出場出来ない厳しい時期を乗り越えた。
クオリファイの道筋が見えてきた大原洋人の参加や今シーズン限りの引退を表明して地元で最後の試合となる田中樹の応援のためなどで通常のJPSAよりも多くの観客が集まり、盛り上がっていた。
ランキングでは河谷佐助が早々と敗退して3位に転落、ファイナルに残った加藤嵐が今シーズン初のトップに立ち、辻裕次郎が僅か60ポイント差で2位。
3年連続グランドチャンピオン 加藤嵐
最終戦の仙台新港、『なみある?仙台プロ supported by やまや』は台風の影響で中断されていた第3戦『夢屋サーフィンゲームス 田原オープン』の残りヒートも併催される予定だったが、スモールコンディションを考慮して先に『夢屋サーフィンゲームス 田原オープン』を優先させて大野修聖が優勝。
途中ヒートからファイナルまでが11月17日〜18日に再び仙台新港で行われた。
加藤嵐、辻裕次郎、河谷佐助のトップ3がグランドチャンピオン獲得の可能性を残したファイナルデイ。
鍵となったQFで加藤嵐が勝ち上がった一方、辻裕次郎、河谷佐助が敗退したため、この時点で加藤嵐のグランドチャンピオンが確定。
「率直に嬉しい思いと今回獲れたことによってほっとして気持ちが落ち着いた感じがあります。応援してくれた皆様やスポンサーを含め、コーチ、家族、全員が僕のためにやってくれて成し遂げられたことなので、本当に皆さんに感謝したいです。ありがとうございます」
加藤嵐
グランドチャンピオン獲得のために’つのだゆき’さんのコーチの元で毎日のようにサーフィンしていたという加藤嵐。
優勝こそなかったものの、誰よりも安定した強さや、ここ一番の爆発力で2016年から3年連続グランドチャンピオンという偉業を成し遂げた。
最終戦の仙台新港は村上舜が2連覇
ファイナルはSFで加藤嵐を破った田中大貴と、ディフェンディングチャンピオンであり、『ISAワールドサーフィンゲームス』で4位に入り、日本の団体金メダル獲得に大きく貢献した村上舜とのマンオンマン。
両親が見守る中、村上舜が圧倒的な強さで最終戦を制して2018年JPSAショートボードシリーズは幕を閉じた。
女子グランドチャンピオンは17歳の野中美波
川合美乃里、西元梨乃ジュリと10代の選手が次々とグランドチャンピオンを獲得している女子。
今年も17歳の野中美波が伊豆の優勝を皮切りに4戦連続でファイナル進出とコンスタントに結果を残し、初のグランドチャンピオンを獲得。
カリフォルニア・ハンティントンビーチで開催された『2018 ISA世界ジュニアサーフィン選手権』ではU18で3位に入り、日本の団体金メダル獲得に大きく貢献。
川合美乃里や脇田紗良、その他、世界の舞台で戦っている若い日本人サーファーの活躍に期待しよう!
2018年JPSAショートボード最終ランキング トップ5
男子
1位 加藤嵐
2位 辻裕次郎
3位 河谷佐助
4位 大野修聖
5位 田中英義
女子
1位 野中美波
2位 野呂玲花
3位 庵原美穂
4位 鈴木姫七
5位 高橋みなと
photo: 日本プロサーフィン連盟(JPSA)
(空海)