川合美乃里&西慶司郎のタイトル獲得で終了した2023年JPSAショートボードシリーズ。
最終戦の舞台は宮崎のお倉ヶ浜。
併催されたロングボード最終戦『さわかみ 日向プロ』が10月26日〜28日に開催され、白熱したタイトル争いに決着。
波に恵まれたこともあり、ファイナルも含めて見応えあるクライマックスを迎えた。
浜瀬海 vs 秋本祥坪の軍配
秋本祥坪が地元宮崎で初タイトルなるか?
それとも浜瀬海が参加した全ての大会を優勝してグランドスラム達成で4度目のタイトルとなるか?
注目の争いは両者共にハイスコアを出して順調に勝ち上がり、秋本祥坪はR4でキャリア初の10ポイントを出して絶好調。
タイトル争いはファイナルまで持ち越されるかと思われたが、浜瀬海の弟子である伏兵・武川慎の活躍により、秋本祥坪がSFを負けた時点で浜瀬海のグランドチャンピオンが確定した。
浜瀬海が10ポイントを出してグランドスラム達成
ファイナルは秋本祥坪を倒した武川慎と浜瀬海のマンオンマン。
オンショアながら形良いブレイクのお倉ヶ浜は9ポイントが当たり前のJPSA史上に残るようなデッドヒートになった。
ファイナルは序盤から浜瀬海が9.00、8.33でトータル17.33。
更に9.10とハイスコアを伸ばして早くも勝利を固めていたが、一本目で8.50を出していた武川慎がニード9.60に追い込まれた後半にフェイドからのハング5から10に繋げて更に引っ張り、メイクして9.43。逆転にニード8.67までスコアを縮めることに成功。
ここで弟子の武川慎にヒートハイエストを奪われた浜瀬海は目の色が変わり、ポテンシャルのある波を選び、ノーズライドだけではなく、ソウルアーチからフィニッシュにレイバックを披露してシーズン2度目の10ポイントを出してトータル19.10でハイスコア量産の素晴らしいファイナルを制した。
「慎君とのヒートは海の中でヒューとか言って、二人共おかしくなり、凄い楽しかったです。今までで一番楽しい試合でした。慎君も超楽しんでいました。ヒートハイエストを出された後はもうやり合いとなり、出すぞ出すぞが強くなって、慎君も出したかったと思うんですよ。でも、やっぱりここは負けられないなと思っていました。慎君もメチャクチャレベルアップしているし、これから来ると思います。作戦は特に何もなかったです。慎君よりも先に一本目を乗ってというのはありましたが、その後は特になかったです。入る前にマンオンマンは実力の出し合いだからと言ったんですが、その通りになりました」
浜瀬海はこの後、WSLのLTクオリファイを目指し、11月に韓国のウェーブプールで開催される初戦に参加するそうだ。
また、ロングボードが競技に採用されそうなロス五輪の出場も視野に入れているとのこと。
まだ26歳の浜瀬海、ぜひ日本を飛び出して世界でトップを目指して欲しい。
17歳の武川慎
冒頭でもお伝えした通り、浜瀬海と武川慎は師弟関係にある。
まだ17歳でスノーボードのプロでもある武川慎は2022年にロングボードのルーキーオブザイヤーを獲得。浜瀬海のコーチングの元で成長を続けている。
大阪出身らしく良いリアクションの彼は会場でも目立つ存在で、2位ながらファイナル終了後にインタビューに答えてくれた。
「ファイナルは楽しかったです。9.43を出せたので、普通だったらコンビネーションになるようなスコアですけどね。出した時はいけるんじゃね?と思いました。普通のセッションのような感じでした。この試合で一番良いヒートだったと思います。それをファイナルでできて緊張もなく、自分の力を出せたかなと思います。今シーズンの試合はこれで最後です。もうスノーボードシーズンになってくるので。来シーズンは一番を狙っていきます」
なお、今年のルーキーオブザイヤーは個性的なスタイルで楽しませてくれる小熊海ノ介が獲得。
彼も武川慎と同年代でこれからのロガーであり、来年は更なる成長が期待できそうだ。
吉川広夏が6度目のタイトル、優勝は田岡なつみ
女子は種子島と茅ヶ崎の2戦で優勝した吉川広夏がR4を勝ち上がり、大村結衣が敗退したため、吉川広夏が6度目のタイトルを獲得した。
ファイナルはその吉川広夏と今シーズン2度目の出場となる田岡なつみが対戦。
序盤は吉川広夏がオープニングウェーブで7.00、更に6.17を重ねて主導権を握った一方、田岡なつみはワイプアウトなど珍しくリズムが合わず、吉川広夏はチーター5を含むライドで7.30とバックアップを伸ばしてトータル14.30。田岡なつみをニード9.97まで引き離していた。
しかし、後半に田岡なつみはにハング10とフィニッシュまで決めるコンボで9.17を出し、更に吉川広夏が逃した波でハング10を決めて7.13、逆転に成功する。
吉川広夏は終了間際にテイクオフ、フェイドターンからの長いノーズで引っ張るが最後にワイプアウトしてしまい、7.73と届かず…。
田岡なつみが今シーズン初優勝を決めた。
「最終戦優勝することができました。みなさんの応援を沢山もらい、凄い勇気になっています。来年もJPSAは全戦回れるか分かりませんが、国内海外両方共に全力で試合を回りたいと思っています」
今シーズンは第2戦の千倉で大村結衣が優勝したが、終わってみれば吉川広夏と田岡なつみの2強は変わらず。
この二人の強さが際立った2023年だった。
なお、ルーキーオブザイヤーは40代でプロ資格を得て種子島での開幕戦で3位に入った瀬下絵里子が獲得した。
これで2023年のJPSAのスケジュールは終了。
2024年は新しいプロリーグ「S.LEAGUE」が始動する。
JPSAロングボードシリーズ最終戦
『さわかみ 日向プロ』結果
1位 浜瀬海
2位 武川慎
3位 秋本祥坪、増山翔大
女子
1位 田岡なつみ
2位 吉川広夏
3位 菅谷裕美、小林恵理子
JPSA 2023年ロングボード グランドチャンピオン
男子 浜瀬海
女子 吉川広夏
JPSA 2023年ロングボード ルーキーオブザイヤー
男子 小熊海ノ介
女子 瀬下絵里子
JPSA公式サイト:http://www.jpsa.com/
photo: 日本プロサーフィン連盟(JPSA
(空海)