オーストラリアレッグからブラジルに繋がる前半戦とタヒチからヨーロッパレッグ、最終戦のハワイに繋がる後半戦は選手にとって得意なイベントが偏ることがあり、特に後半戦が得意な選手の方がワールドタイトルをとりやすい傾向にある。
2014年にブラジリアンとして初のワールドタイトルを獲得したギャビーことガブリエル・メディナもその一人。
特に2度目の2018年は顕著に表れ、タヒチ、サーフランチと2連勝後、ヨーロッパレッグは3位が続き、最終戦で優勝。
怒涛の勢いで若きチャンピオンの強さを知らしめた。
そのギャビーが今年も後半戦に暴れてくれそうな雰囲気。
ブラジル戦終了後の時点で8位、ジョン・ジョン・フローレンスが右膝靭帯の損傷で脱落した後でもタイトルレースには厳しいと考えられていたが、現地時間7月19日に終了した南アフリカの「J-bay」を舞台としたCT第6戦『コロナ オープン J-Bay』で今季初優勝を上げてコロへ・アンディーノ、 フィリッペ・トレド、イタロ・フェレイラ、五十嵐カノア、ジョーディ・スミスとの争いに加わることに成功した。
1984年のオッキー以来のグーフィーフッターの優勝
2017年、2018年と2年連続で圧倒的な強さを見せたフィリッペ・トレドを始め、ミック・ファニング、ケリー・スレーター、ジョーディ・スミスとJ-Bayの過去の勝者を振り返るとフロントサイドとなるレギュラーフッターが名を連ねている。
なんと!グーフィーフッターで過去に優勝したことがあるのは1984年のオッキーことマーク・オクルーポのみ。実に35年振りにギャビーがバックハンドでJ-Bayを制したのだ。
更にファイナルの相手、イタロ・フェレイラもグーフィーフッター。「J-bay」では初のグーフィー同士、初のブラジリアン同士のファイナルというおまけ付き。エンターテイナーでもある彼らはスイッチスタンスでスプレーを飛ばすショーも披露した。
J-Bayがバックハンドで難しいのは波の速さにあるが、超人的な適応力を持つこの二人は何年かの経験ですでにこのブレイクの料理方法を完璧に習得しており、特にファイナルでは驚異的なライディングを披露して世界中のWSLファンを興奮させた。
「最高の気分だよ!のコンテストで優勝するのは最も難しいからね。とても楽しい一週間で、素晴らしい波にも乗れた。期待していなかっただけに、今は優勝出来て本当に嬉しいさ。ライアン(カリナン)のヒートでスイッチが入った感じだね。あれは特別だったね。決して諦めない。あの後、やってやろう!不可能なことは何もないと思ったんだ。調子が良かったイタロ、フィリッペとの対戦が待っているのも知っていたよ。波を与えてくれた神様に感謝したい。良い仕事が出来て最高さ」
ガブリエル・メディナ
コロへが初のカレントリーダー カノアは5位をキープ
このイベントでSFまで進んだコロへが初のカレントリーダーの座を獲得。同じくSFに進んだフィリッペが2位。
QFでイタロに敗れながらも2戦連続5位でフィニッシュした五十嵐カノアは5位を維持。
コロへとのポイント差は4,395。十分に射程圏内であり、東京2020オリンピックの出場条件であるトップ10入りはほぼ確実になったと言えそうだ。
次のカノアのチャレンジは昨年2連覇を達成した『Vans US Open of Surfing』
ホームのハンティントンビーチに開幕戦の前から戻っていないという多忙な日々を送っているカノアにとって大切な休暇にもなるこのイベントは7月27日〜8月4日に開催される。
ウィメンズもトップが入れ替わる!
昨年、ハワイアンのミーガン・アブボが優勝した2000年以来、実に18年ぶりに開催されたウィメンズ。
ステファニー・ギルモアがスタイリッシュなライディングで優勝していたが、今年はQFでキャロライン・マークスに敗退。
ファイナルはパワーサーフィンで勝ち上がってきたハワイアンのカリッサ・ムーアとカリフォルニアのレイキー・ピーターソン。
レイキーは2年連続のファイナル進出、7ポイント台を2本揃えたが、カリッサがレールワークからメンズ顔負けのレイバックで観客を沸かせ、中盤に逆転。最後までリードを保ち、CT通算22勝目、J-Bayでは初のタイトルを獲得。
開幕戦から全てQF以上をメイクしているカリッサはこの優勝でサリー・フィッツギボンズに変わって数年振りにトップに立った。
「この優勝は特別よ。イエロージャージを数年振りに手に入れたからね。まだ残りのシーズンにやるべきことは沢山あるわ。でも、楽しみよ!この勝利はサポートしてくれた夫、南アフリカで手助けしてくれたダンカン(スコット)、スポンサーと分かち合いたい。彼らの協力なしで優勝はあり得なかったわ。南アフリカは裏切らなかった。みんなとタイトルを争えて本当に嬉しい。マウイまで争うことになるでしょう。凄い興奮している。一日の終わりにこれ以上望むことはない」
カリッサ・ムーア
ウィメンズはカリッサ、サリー、ステファニー、レイキー、キャロライン、コートニーの6名によるタイトル争いになることが濃厚。
全ての選手が優勝しており、トップと6位の差は9,585ポイント。レイキー、キャロラインのみ9位が2回。
10戦中、上位8戦のポイントで争われるため、すでにこの二人は1戦も落とせない状況。
次のCTは8月21日〜9月1日にタヒチ・チョープーで開催される第7戦『Tahiti Pro Teahupo’o』
安全上、ウィメンズはスキップされ、9月19日〜21日にサーフランチで開催される『フレッシュウォータープロ』が次のストップになる。
CT第6戦南アフリカ『コロナ オープン J-Bay』結果
メンズ
1位 ガブリエル・メディナ(BRA)
2位 イタロ・フェレイラ(BRA)
3位 コロへ・アンディーノ(USA)、フィリッペ・トレド(BRA)
5位 オーウェン・ライト(AUS)、エイドリアン・バッカン(AUS)、セバスチャン・ズィーツ(HAW)、五十嵐カノア(JPN)
ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW)
2位 レイキー・ピーターソン(USA)
3位 キャロライン・マークス(USA)、マリア・マニュエル(HAW)
5位 ステファニー・ギルモア(AUS)、ジョアン・ディファイ(FRA)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、コートニー・コンローグ(USA)
『コロナ オープン J-Bay』終了後の世界ランキング
メンズ
1位 コロへ・アンディーノ(USA) 33,845pt
2位 フィリッペ・トレド(BRA) 33,280pt
3位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 32,425pt
4位 イタロ・フェレイラ(BRA) 29,950pt
5位 五十嵐カノア(JPN) 29,450pt
ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 41,175pt
2位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 37,325pt
3位 ステファニー・ギルモア(AUS) 35,065pt
4位 レイキー・ピーターソン(USA) 33,850pt
5位 キャロライン・マークス(USA) 32,135pt
WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/
(空海)