自然を相手にするサーフィンコンテスト、特にハワイでは経験豊富なコンテストディレクターの判断さえも狂わせることがある。
現地時間2月3日に迎えた『Volcom Pipe Pro』の4日目。
予報通りに入った西〜北西ウネリはワイメアを覚醒させる巨大さ。
10ftオーバーと言われているが、実際にはもっとあっただろう。
コンテスト会場のパイプラインはセカンドリーフ、サードリーフから割れる生死を賭けたサバイバルゲーム。
このブレイクに慣れているハワイアンも翻弄させて何本ものサーフボードが餌食になった。
前日はイベント2本目のパーフェクト10がアメリカのカム・リチャーズによってスコアされ、ウエスタンオーストラリアの神童、ジャック・ロビンソンはバックドアでいくつものバレルをこじ開けた。
しかし、一夜明けたこの日はR4のH7から最終ヒートのH16までの10ヒートで、ハワイのエゼキエル・ラウが8ポイントを一本出したのみ。
ロースコアオンリーのヒートも多く、過去に4度も今イベントを制しているジョン・ジョン・フローレンスでさえ、全く波に乗れなかったという表現が正しいような厳しい戦いを強いられ、1ヒートで姿を消してしまったのだ。
「今日のコンディションは本当に大きかった。予報の通りだったけど、大き過ぎるか、それとも良いサイズになるかまでは分からなかったね。残念ながら今日は大き過ぎた。ハマってしまうようなセットが多く入っていたし、ポジションをキープするのさえ厳しかったよ。それはそれで楽しいけど、違う種類のゲームになってしまった感じ。ちょっとした’いたちごっこ’のようだった。スコアを出せるような小振りな波に乗ることが出来なかったんだ」
R4からのトップシードを利用してすでにイベントが開始していたにも関わらず、サーフボードのテストのためにCT開幕戦の会場、オーストラリアのゴールドコーストまで飛んでギリギリのタイミングで帰国したジョン・ジョン。
そんなトッププロらしい行動も大自然の前では無力だった。
今イベントに参加していた日本人選手、村上舜、稲葉玲王、大橋海人、安室丈、西慶司郎は早いラウンドで敗退。
しかし、皮肉にもオルタネイト(補欠)として待っていた大野修聖、脇田貴之がR4からの出場権を得て共に勝ち上がり、ベスト32入りを決めた。
『Da Hui Backdoor Shootout』では主役を松岡慧斗に奪われたが、やはりこの二人のパイプラインのスキルは高い。
脇田貴之は息子の脇田泰地がノミネートされていた「Surfline」が主催する映像コンテスト『O’Neill Wave of the Winter』にも別の日のパイプラインの映像でノミネートされた。
ベスト32のメンバーを見ると約半数はハワイアンが占めている。
2010年のファーストイベントを制したJOBことジェイミー・オブライエン、ビリー・ケンパー、イアン・ウォルシュ、エゼキエル・ラウ、メイソン・ホー。
若手ではフィン・マクギル、ジョシュア・モニーツ、コア・スミスなど。
海外勢ではディフェンディングチャンピオンのソリ・ベイリー、ジャック・ロビンソン、マイキー・ライト、カルロス・ムニョスなどが注目選手。
ネクストコールは現地時間2月4日の早朝7時30分、日本時間の5日午前2時30分。
西〜北西ウネリは落ち着く傾向となる予想。
なお、明日は全米がお祭り騒ぎになる「スーパーボウルサンデー」
視聴者が余所見しないような素晴らしいコンディションを期待したい。
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