パンデミックによりCT同様に中止されていた昨シーズンのBWT(ビッグウェーブワールドツアー)だったが、今シーズンは2イベントに絞って開催されることが決定!
期間は2イベント共に2021年11月15日〜2022年3月31日。
WSLは毎日フォーキャストをチェックして条件が揃い次第、競技開始の4日前にイエローアラート、48時間前にグリーンアラートが発令される。
場所は太平洋のジョーズと大西洋のナザレ。
世界を代表するビッグウェーブスポットに世界最高峰のアスリートが戻ってくる。
フォーマットの詳細はウェイティングピリオド開始の11月15日に発表される。
『Nazaré Tow Surfing Challenge presented by Jogos Santa Casa』
ナザレで最後にBWTイベント『Nazare Tow Surfing Challenge』
が開催されたのは2019/2020シーズン、2020年2月11日。
トーインの新フォーマットで開催されたこの日のナザレはアメリカ東海岸沖で急速に強まったストームにより発生した巨大な北西ウネリがヒット。
ビッグウェーブサーフィンの凄さを世界中に示した最高のイベントになり、カイ・レニー&ルーカス・チアンカの「Team Young Bulls」がチーム戦で優勝。
個人ではウィメンズがジャスティン・デュポン、メンズがカイ・レニーと近年のビッグウェーブシーンを代表するサーファーがナザレを制して話題になっていた。
2021/2022シーズンのナザレイベントの名称は『Nazaré Tow Surfing Challenge presented by Jogos Santa Casa』
今回も男女参加のトーインでのチーム戦になる。
ナザレとは?
ポルトガル中西部に位置するナザレのベストシーズンは冬の10月〜3月。
長さ約209キロ、深さ約5キロの海底峡谷によってウネリのエネルギーが集中する。
この独特の地形によって地球上で最も大きく強烈な波が生まれる。
ボディボーダーや一部のサーファーにしか知られていなかった小さな漁村を有名にしたのはハワイのギャレット・マクナマラだ。
2010年に初めてナザレのノースビーチでサーフィンした彼は翌シーズンに78ftの波に乗り、ギネス世界記録に登録。
更に2013年1月には100ftの波に乗ったと話題になった。
これはギネス世界記録に登録はされなかったが、ナザレの知名度を上げるのには十分だった。
『Jaws Big Wave Championships』
ジョーズでのBWTイベントは2015年12月に初めて開催され、ローカルのビリー・ケンパーとアルビー・レイヤーが争い、ビリーが初代チャンピオンの座を手に入れていた。
ビリーは2回目のジョーズイベントでも優勝、3回目は同じローカルの仲間、イアン・ウォルシュが制したが、翌シーズンからは2シーズン連続で優勝とジョーズイベントでのキングになっている。
ウィメンズサイドは2シーズン目から加わり、ローカルのペイジ・アームが優勝。
ペイジは合計3度もジョーズイベントを制している。
ジョーズイベントは今シーズンもパドルでの勝負となる。
圧倒的にローカルが強いこの場所で新たなスターが生まれるのか?
ジョーズとは?
ナザレと同じく、ジョーズにあれだけの波が割れる秘密は海底の地形にある。
100ft(約30m)の水深から20ft(約6m)の浅さに変化する地形があの波を生み出すのだ。
唯一の問題はマウイ島特有の強い風。
ウィンドサーファーの楽園としても知られているほどの風の強さは時にパドルでのサーフィンを困難にする。
そんな時はトーインでのセッションになる。
ナザレとビッグウェーブ界の’双子’と称されるマウイ島のジョーズはナザレよりも歴史が古い。
90年代前半、まずはレアード・ハミルトン、デイヴ・カラマ、ブレット・リクル、マイク・ウォルツ、ピート・カブリナ、ラッシュ・ランドルなどによってトーインサーフィンで開拓された。
その後、グレッグ・ロング、マーク・ヒーリー、ネイザン・フレッチャー、シオン・ミロスキーなどがパドルサーフィンでの限界を上げていったが、最も高いレベルに達したのはシェーン・ドリアンだった。
それまでジェットスキーのアシストを受けていたような巨大な波と強いオフショアにパドルで挑み、『2011 Billabong XXL Big Wave Awards』を受賞したのだ。
ビッグウェーブサーフィンの世界も常に歴史は塗り替えられていく。
2021/2022のウィンターシーズン、勇敢なサーファーの行動に注目しよう。
WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/
(空海)