近年のメンズのQS上位はブラジリアンが大半を占めることが多かったが、今シーズンは7つのQSリージョナルから選ばれた選手によって争われるチャレンジャー・シリーズ(CS)にフォーマットが変わったこともあり、状況が変わっている。
CS最終戦『Haleiwa Challenger』を前に、メンズのCTクオリファイの条件であるトップ12(CT選手を除く)に、ブラジリアンは僅か2人。一方、オーストラリア選手は5名と最も多い。
現在クオリファイカットラインより上位にいるオーストラリア選手は、コナー・オレアリー、リアム・オブライエン、カラム・ロブソン、ジャクソン・ベーカー、ジョーダン・ローラーの5名。最終戦の結果次第ではデュラン・モファットなどにもチャンスがある。
一方、ウィメンズのCTクオリファイの条件であるトップ6にはアメリカが2名。フランス戦で2位になったインディア・ロビンソンが現在4位で、唯一のオーストラリア選手。
しかし、モリー・ピックラム、メイシー・キャラハン、ディミティ・ストイルが10,000ポイント以上で15位以内に入っており、最終戦でのチャンスまで広げるとやはりオーストラリアの強さが目立っている。
オーストラリア勢が強い理由は「結束力」
今シーズン、オーストラリア勢が強いのは東京五輪でも見られた結束力が大きな理由と言われている。
ポルトガルでの2位で8,000ポイントを稼ぎ、現在13位のジャクソン・ベーカーは以下のようなコメントを残している。
「今年の大きな違いはチャレンジャーシリーズに参加している全てのオーストラリア人をサポートしようとみんなで約束したことだね。ツアーで結束しているブラジリアンを見てここ数年オーストラリア人のグループとしてのメンタリティが欠けていると感じていたのさ」
「個人的にどんな状況にあっても、必ずビーチに来てお互いをサポートする。それが暗黙の了解になっている。しかし、最終的には結果が全てであり、全てのイベントにおいて、常に誰かがステップアップしている。私たちは皆、CTに出場したいと思っているんだ。来年、このメンバーの多くが大舞台で戦うことができれば、私たち全員にとってより良いことさ。やってやるよ!」
オーストラリア/オセアニアリージョナルの代表選手はメンズ10名、ウィメンズ6名。
カリフォルニア、ポルトガル、フランスと巡ってきたCSの旅はコロナ禍で必然的に一緒に行動することが多く仲間意識が芽生えやすい環境でもある。
フランスでコナーが優勝した時、彼を囲んだ歓喜の儀式はまるで東京五輪のチームオーストラリアのようだった。
ちなみにジャクソンは五十嵐カノアのダブルクオリファイが確実なために現在の13位のポジションでも念願のクオリファイが可能になる。
▲フランスで優勝したコナー「オージー、オージー、オージー」「カモーン!」が円陣の掛け声
▲東京オリンピックで銅メダルを獲得したオーウェンの時も同じ円陣。その結束力は他国に比べても際立っていた
オーストラリア勢が強いもう一つの理由は年齢構成
今シーズン、オーストラリア勢が強いもう一つの理由は理想的な年齢構成にあると言われている。
リアム・オブライエン、カラム・ロブソン、モリー・ピックラム、メイシー・キャラハンはまだ10代や20歳になったばかりのアップカマー。
それをコナー・オレアリー、ウェイド・カーマイケル、ディミティ・ストイルなどの経験豊富な選手が支えているのだ。
その中でもCTとQSを行き来して酸いも甘いも知っているコナーは「最大の要因は、私たちが楽しんでいるということだと思う。お互いに助け合うと決めているけど、同時に旅の時間を楽しむことも大切にしているんだ。この経験を当たり前だとは思わない。現在、多くのオーストラリア人が移動を制限されているからね」と話している。
ポルトガル、フランスと続いたヨーロッパ遠征ではオーストラリア勢の姿が目立っていた。
彼らはビーチでフットボールを楽しみ、大会中は仲間に声援を送り、大きな結果を残した選手がいれば、みんなでビールを飲んでポジティブなエネルギーを共有していたのだ。
パワーサーフィンが武器のサーファーが強いハレイワは、オーストラリア勢にとって結果を残しやすい舞台でもある。
何人の選手がクオリファイを決めるのか?
そして、イベント中の結束力にも注目したい。
(空海)