ジョエル・チューダーが45歳の史上最年長で3度目のワールドタイトルを獲得した昨年のマリブ戦から7ヶ月。
世界中のロガーが待ち望んでいたWSLロングボードツアー開幕戦『Sydney Surf Pro WLT』がオーストラリア、シドニー近郊のマンリービーチで開催され、現地時間5月24日に終了した。
イベント期間中はロング向けのグッドコンディションに恵まれた時間帯が多く、世界トップレベルのライディングが十分に堪能できた。
更にローカルのタリー・ホワイト、デクラン・ワイトンが快進撃を続けたこともあり、ジョエル・チューダーの出場停止処分、ツアーディレクターのデヴォン・ハワードが辞任と開幕戦前のいざこざを払拭するような素晴らしいイベントになった。
田岡なつみ&井上鷹がQF進出の5位
2022年のWLTはオーストラリアのマンリービーチから始まり、カリフォルニアのハンティントンビーチ、最終戦はマリブ。
第1戦、第2戦は優勝が5,000ポイント。
最終戦のマリブのみ10,000ポイントが与えられ、ワールドタイトルは3イベントの内、ベスト2イベントのポイントで争われる。
選手はメンズ、ウィメンズ共に20名。
2021年ランキングトップ10、各リージョナルから選ばれた7名、WSLワイルドカード1名、イベントワイルドカード2名で構成。
日本からは田岡なつみ、井上鷹が参加している。
田岡なつみはR4でリンジー・ステインリード(USA)を相手に見事なノーズライドで9.00とその日二番目のスコアを手に入れて注目され、QFでは今回ファイナルで戦ったクロエ・カルモン(BRA)と対戦して5位。
井上鷹はR4でベテランのトニー・シルヴァニ(USA)と対戦して8.60を含むトータル16.27を出して圧勝。
QFではマンリーローカルのデクラン・ワイトンに抑えられ、田岡なつみと同じ5位で開幕戦をフィニッシュした。
タイトル候補のハリソンがまずは1勝
メンズはジョエルの他、2019年のワールドチャンピオン、ジャスティン・クインタル(USA)が欠場していたが、オーストラリアのロガーの聖地、ヌーサのハリソン・ローチ、ハワイアンのカニエラ・スチュワートなどが両者の穴を十分に埋めていた。
ファイナリストはハリソンとSFでカニエラを倒したベン・スキナー(GBR)が選ばれ、クリティカルセクションでのノーズライド、大きく優雅なターンで8ポイント台を2本重ねたハリソンが圧勝。
2019年からツアーに参加しているハリソンは今回が初優勝ながら、今年のワールドタイトル最終力候補と言われている。
「ここに来た目標を果たしたし、ロングボードツアー初優勝なので最高に嬉しいよ。もちろん、最終目標はワールドタイトルを獲得することさ。カリフォルニアのマリブで開催される最終戦がタイトル獲得に重要だけど、間違いなく理想的なスタートだね。今日はローカルヒーローのデクラン・ワイトンをファンの前で倒し、更ににベン・スキナーをファイナルで敗った。波も良かったし、最高のサーフィンの日だったさ」
ちなみに井上鷹然り、多くのロガーは短いボードも上手く、特にポイントブレイクで育ったハリソンのスキルは超越している。
ホノルアが4度目のタイトル獲得に前進
ここ数年のウィメンズはホノルア・ブロムフィルド(HAW)とクロエ・カルモン(BRA)の二人で争われているが、今回も両者がファイナリストに選ばれた。
ファイナルでは序盤クロエがミドルスコアを重ねて主導権を握っていたが、ホノルアが後半に長いノーズライドからターンでインサイドまで繋いで6ポイント台をスコア。僅か0.81ポイント差で通算5勝目を決めた。
昨年、22歳で3度目のワールドタイトルを獲得したホノルア。
4度目のタイトル獲得に前進した。
「クロエは素晴らしいサーファーなので、勝つには本当に厳しいファイナルになると思っていたわ。ファイナル中は負けていたけど、冷静さを保ち、常に優勝できると確信していたの。これは、私の競技サーフィンで進化したことよ。冷静さを保ち、必要な波はいずれやってくると考える。今日それが実現した。タイトル防衛の序盤として完璧だった」
次の第2戦『Vans Duct Tape Invitational』はカリフォルニア・ハンティントンビーチで8月3日〜7日に開催。
CSの『VANS US Open of Surfing』との併催で盛り上がるだろう。
WLT開幕戦『Sydney Surf Pro WLT』結果
1位 ハリソン・ローチ(AUS)
2位 ベン・スキナー(GBR)
3位 カニエラ・スチュワート(HAW)、デクラン・ワイトン(AUS)
5位 ジェフソン・シルヴァ(BRA)、カイ・サラス(HAW)、コール・ロビン(USA)、井上鷹(JPN)
ウィメンズ
1位 ホノルア・ブロムフィルド(HAW)
2位 クロエ・カルモン(BRA)
3位 タリー・ホワイト(AUS)、ソレイユ・エリコ(USA)
5位 田岡なつみ(JPN)、メイソン・シュレンマー(USA)、ソフィア・カルヘン(HAW)、レイチェル・ティリー(USA)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)