F+(エフプラス)
リオ・ワイダフェス、継続中だねぇ。CSのほうは年間8試合のうちの3試合目が終わったところなので、まだ先は長いけど、この感じだと行けるんじゃないのかな。飛べてクリティカルを攻められる、普通に当てるんじゃなくて、攻めてる感を出して当てられる、というのは、今のジャッジのお好みにピッタリと合っているので、クオリファイするなら今年かな、と思う。序盤ここまでうまく行ってて逃したらこの先は無いかもしれないし。
インドネシア初のCT選手? あれ、リザールとかってCTじゃなかったよね。元気かな、リザール。バリでいい暮らししてるらしいけど。
和井田理央は若いころから日本の試合にも出ているけど、これは将来CTでしょ、という感じではなくて、普通のジュニアだったと思うけど、身体が大人になったとたんに、サーフィンもぐんと伸びた感じがする。身長が伸びるとともにサーフィンも伸びる、的な。これ、あまり日本人にはない感じ。日本人ジュニアも身長と共にサーフィンも伸びるは伸びるんだけど、その伸び幅がだいぶ違うかな、と思う。
質問:ここ数年間のブラジリアンの台頭は、国家を挙げての計画的育成の成果なのか?それとも、貧困から脱する手段?単に、国民的人気の高騰からのレベルアップ? その根底に在るだろうものを教えてください。
教えてください、と言われても、何でも知ってるわけじゃないから、わからないことだらけで……。
ブラジルが国家をあげてのサーファー育成をしているかどうかはわからないけど、サーフィン業界をあげての選手育成努力をしていたのは事実。30年ぐらい前のことだろうか。当時フラビオ・パダラッツという選手がいて、彼と話した時にそういう話をしてくれたことがある。育成、貧困からの脱出、人気高騰、そのどれもが正しくて、どれもが正しくない、のかな。出てきているのは貧困の選手ばかりではないし、人気はF1やサッカーのほうがすごいし。
まぁ、誰もが短絡的に思うのは、ブラジリアン=ハングリー。ハングリー精神の象徴みたいなところはある。目的のためにはどんなことでもする。それを突き動かしているのが何か、ということなんだろうけど、やはり国民性とかに落ち着いちゃうのかね。
昔フラビオに同じような質問を投げかけたとき、彼は以下のように答えた。
「ブラジルというのは多民族国家で、世界のいろんなところから人が集まって形成された国家だから、誰もが自分はブラジル人だ、というアイデンティティ、確証を求めている。そのひとつのよりどころが国旗。だからすぐに国旗を持って応援するし、スポーツシーンではすぐに国家を背負う。経済も安定しない国だから人々は不安だらけだけど、その不安を紛らせてくれるのがスポーツでもある。また、貧しいエリアの人にとっては一獲千金の夢を自分の実力で手にできるのがスポーツだ。
日本だと生まれたときから日本人で、そこに疑いの余地はないし、みんな同じルックスだ。でもブラジルだと先住民族に加えて、アラブ系、ギリシャ系、シリア系、ドイツ系、日系など、他国からの移民もいて、そのミックスもある。それぞれに文化も違うし貧富の差もすごくある。それでもあのブラジルの国旗の下に、同じブラジル人だと感じたいんだ。だから国を代表して、みたいな国際大会になると張り切っちゃうのかな。
あとは国内での生活がラジカルすぎるから、世界中どこに旅しても何でもない。自国よりまともな感じがするからね。みんな僕たちブラジル人をうるさいとかハングリーだとか言うけど、確かにうるさいしハングリーだ。でもそうじゃないと生きていけない国からきてるんだよ」。
とまぁ、30年ぐらい前ですが、この辺は今も変わらないんだと思う。フラビオの時代はまだブラジル人が数人しかツアーにいなかった頃で、QSでは帰りのチケットは賞金で買うような旅をガチでしている選手もいた。賞金取らないと帰れない、みたいな。
だから勝つってもんでもないだろうけど、勝ちに対する執着心のレベルはだいぶ日本人とは違うかな、と思う。
例えは悪いけど、ここで相手のリーシュ引っ張れば勝てる、というときに躊躇なく引っ張るのがブラジル人、わかってても引っ張らないのが日本人、みたいな。まぁ、武士は食わねど高楊枝の文化、お国柄ですから。
質問の答えになってるようでなってないようで……ですが、明確に理由がわかって、ブラジルと同じことをしたところで、同じように日本の時代が来るとも思えないので、何ともしがたい国民性ってあるかな、と思う。