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リオ・ワイダのクオリファイで思うこと

F+(エフプラス)

リオ・ワイダ。2023CT確定。そりゃそうだね、CS年間8戦中2試合優勝すれば、あと何ヒートかで足りるだろうし、ましてやフランスがキャンセルになって7戦になってしまえば、計算上の確定は早まる。
これからは和井田理央ではなくリオ・ワイダにしよう。
インドネシアのサーフシーンをしょって世界のトップシーンに出ていくんだから、いつまでも日本を引きずらせちゃ、インドネシアに失礼ってもんだ。
インドネシア人の父と日本人の母の間に日本で生まれ、5歳の時にインドネシアに移住。インドネシアの波でサーフィンを磨いた。
ま、どうしたって上手くなるだろうな、あのフィールドなら。何しろホームタウンがウルワツだもの。

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リオのサーフィンはポケットとタイミングだ。技術的には同じぐらいのサーファーはいくらでもいるけど、とにかく彼はポケットを見つけるのが上手い。ポケットサーフィンと名付けたいぐらい。そして見つけたポケットでタイミングよくしっかりねじ込み、大きなスプレーを飛ばす。これが今シーズンのジャッジにウケた。ラインなんかどうでもいいから、掘れたポケットで何をするかだけを見ているんじゃないだろうか、と思えるような今シーズンのジャッジだけど、その好みにドンピシャだったと思う。
今までのバリニーズというと小柄でシャカシャカ素早く動く、ちょっとガニマタのビーチブレイク職人、みたいな感じだったけど、近年そのスタイルは変わりつつあるように思う。リオがCT入りすれば現実的な道筋はつくので、この先インドネシアのサーフシーンが格段にレベルアップするのは確実ではないかと思う。選手のレベルもそうだけど、経済的にもマーケット的にも、だいぶ変わるんだろう。うらやましい限りだ。
ぎゅうぎゅうに詰まったビン詰めの果実のひとつがポロリと出てしまえば、そのあとは雪崩をうつように一気に出てくる。インドネシアのサーフシーンはこの先そういう感じになるんだろうな、と思う。

PHOTO: © WSL/Lawrence

もとより観光が重要な収入源であるインドネシアという国で、波を求めて世界中から訪れるサーファーは国を挙げての大歓迎である。インドネシアにとってサーフィンは大きな観光資源だ。よって、サーフィンに国からのお金が流れやすい。今シーズンもクタ、クルイ、ニアスとQSの試合があって、クルイとニアスはWQS5000イベント、極上の波だった。おそらく来シーズンはもっと試合が増えるんじゃないだろうか。
自国からCT選手を輩出し、波で観光客を呼べるとなれば、国としてお金をつぎ込むのはそう難しことではなさそうに思う。お財布ワイドオープン。そうなると、APACの中でのアジアのリーダーは日本に変わってインドネシアってことになるんじゃないのかな。大きな試合はあるし、CT選手も出たし、APACに属するオーストラリアからも日本からも行きやすい位置にあるしね。

今までは圧倒的な選手数でアジアといえば日本だったけど、大きな試合はできないし、五十嵐カノアという日本の選手もCTにいるけど、オリンピックがらみの移籍組で、アマチュア、QS、CTクオリファイ当初はずっとアメリカの選手だった。だから、日本から出たCT選手、とするのはちょっと強引かな、と思う。まぁ、それでも現在は日の丸をしょって孤軍奮闘してくれているわけだけど。

何より日本には1週間で確実に波が当てられるポイントというのが見当たらない。当てられないだろうポイントはいくつでも思い浮かぶけど(笑)。
それやこれやを考えれば、APACの中でのパワーゲームは日本にだいぶ不利なことになる。まぁ、サーフィンではアジア=日本という時代は終わったんだろうな、ということだ。登録選手数だけはオーストラリアに次いで多いんだろうけど。

だからなに? と言われても、いや、それだけなんですけどね。リオ・ワイダのクオリファイで、何となくこんなことを思ったってお話。

F+編集長つのだゆき

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