カリフォルニア、ハンティントンビーチのサウスサイドピアを舞台としたCS第4戦『Wallex US Open of Surfing』は2日続けてオン。
現地時間8月4日にRound of 16が行われ、QFを戦うベスト8が決定した。
この日は波数が少なく、風の影響も入った難しいコンディションで最後まで勝負の行方が分からず、ブザービーターで勝利した選手も。
2024年CT入りを目指す選手にとって重要な一日だった。
カレン、マチャドに並ぶ3勝目を狙うカノア
2017年、2018年にUS Openで2連覇を果たし、文字通りハンティントンビーチのヒーローになった五十嵐カノア。
大会での国籍は日本だが、ハンティントンビーチはカノアのホームであり、参加している選手の誰よりも波を知っているのだ。
Round of 16では2022年にミッドシーズンカットでCS落ちになったブラジリアンのデイヴィッド・シルヴァと対戦。
父の勉氏が見守る中、ウォーミングアップ的にまずはバックハンドで5.00を出したカノアは中盤にバックハンドのエアーリバースをメイク。7.00を出してトータル12.00と早くも勝利を固める。
ノーライドだったデイヴィッドはじっくりと選んだライトの波で2つのビッグターン。このヒートのハイエストになる7.83を出すが、カノアも次はライトを狙い、綺麗なトップターンからフィニッシュまでメイクして7.77。バックアップスコアを伸ばせなかったデイヴィッドを抑えてQF進出を決めた。
「ホームであることに大きな意味があるんだ。ビーチの観客との距離感が最高だし、今年は地形も良い。観客は近くでアクションを見ることができるし、波に乗り終えるとすぐ側に観客がいるUS Openはスタジアムのような雰囲気さ。今日は難しい波だったけど、明日からは良くなると思うよ」
次のQFではジャドソン・アンドレ(BRA)を倒してきたジョージ・ピッター(AUS)が相手。
ジョージはこの日最高の波を乗って8.50を出した20歳のアップカマーであり、カノアも彼のライディングは初めて見たものの、8.50を出したライトの波にはインスパイアされたと話していた。
ちなみにUS Openの最多優勝記録はトム・カレン、ロブ・マチャドの3回。
彼らの記録に並ぶまで残り3ヒートの勝利まで迫ってきた。
この日最大のブザービーター
この日最大のブザービーターは、すでにCT入りを確定させたコール・ハッシュマンド(USA)を倒したノーラン・ラポザ(USA)だった。
同じカリフォルニアでもコールはサンクレメンテ、ノーランはロングビーチ。グーフィーフッター同士のこのヒートの序盤はコールのパワーサーフィンが優勢だったが、ノーランはバックハンドで6.67をスコアしてニード5.68に迫った。ラストチャンスで再びバックハンドのターンを連発。6.40を出してQF進出を決めた。
「実は最初の戦略とは違う動きをしてしまったんだ。コーチは動き回って早めにスコアを出して、それから辛抱強く波を待てと指示していたのさ。最初の波でコールがテイクオフした時、彼のような小さな波を選びたくないなと気が変わったんだ。セットが入る前、ラスト2分だったかな。胸が高まってここがチャンスだと思った。セットの最初の波が良かったのさ」
その他、リーフ・ヘーゼルウッズ(AUS)、クロスビー・コラピント(USA)、マテウス・ハーディ(BRA)、ジェイク・マーシャル(USA)、イーライ・ハンネマン(HAW)がベスト8入り。
全ての選手がトップ10以下だが、ここで優勝すれば一気にクオリファイ圏内に入る可能性もある。
ソーヤ・リンドブラッドがリベンジを果たす
ウィメンズサイドでは前日に引き続き、サンクレメンテチームの一員、ソーヤ・リンドブラッドが活躍。長い手足を活かしたダイナミックなライドでCS3位のインディア・ロビンソン(AUS)を倒し、ゴールドコーストでの開幕戦、ファイナルのリベンジを果たした。
「優先権が相手の時にスコアを出せたのは、本当に嬉しい。波数が少なく、1ヒート置きにオンとオフになる感じね。セットが止む前に波に乗ってしまおうと思ったわ。優先権を持っていた時には相手をマークして波に乗らせないようにした。その戦略がうまくいって嬉しいわ」
次のQFではブロンテ・マコーレー(AUS)を倒してきたルアーナ・シルヴァ(BRA)と対戦する。
その他、エリー・ハリソン(AUS)、ダニエラ・ロサス(PER)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、レイラニ・マクゴナグル(CRC)
ナディア・エロスタルベとアリアネ・オチョアのバスク地方出身の選手がQF進出を決めた。
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)