(ファイナリスト) PHOTO: © WSL/Ed Sloane

ソレイユ・エリコ&カイ・サラスが優勝!『Bioglan Bells Beach Longboard Classic』ファイナルデイ

ジョエル・チューダーやハリソン・ローチが去り、ベルズビーチ、エルサルバドルが会場に加わって、ワールドタイトルの決め方もCTのWSL Finalと同じプレーオフのようなフォーマットに変わった2024年のロングボードツアー。

(ワールドタイトルを決めるマリブ戦のフォーマット)

実力さえあれば若いロガーもツアーに入りやすくなる世界中の各リージョナルからのクオリファイシステムも上手く作用して新しい風が吹き始めている。

そんな新しいツアーの中でも目玉となっていたオーストラリア・ビクトリア州、ベルズビーチでの第2戦『Bioglan Bells Beach Longboard Classic』が現地時間9月2日に終了した。

ファイナルデイは公式3-4ftレンジのグッドコンディションからスタート。
ファイナルが始まる頃には風の影響が入ってしまい、難しい波へと変化してメンズ、ウィメンズ共に1ポイント差にも満たないクロスゲームと白熱した幕切れだった。

井上鷹、田岡なつみが5位でフィニッシュ

(田岡なつみ)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

ファイナルデイまで残った二人の日本人選手、井上鷹、田岡なつみは共にQF敗退の5位。

井上鷹は8ポイントを2本揃えたテイラー・ジェンセン(USA)に敗退。このヒートは完全にテイラーのペースで、井上鷹は波とのリズムが合わなかった。
それでも2戦続けての5位でランキングは7位とマリブでの決戦のラインである8位以内には入っている。

ちなみに井上鷹はツアーでもユニークなシェイプのボードに乗っているとMCが伝えている。ローロッカー、ビッグワイドノーズ、ナローファーストテール。そして、トライフィンセットのボード。そこから繰り出すタカスタイルが優勝に導く日を楽しみに待とう!
なお、アジアリージョナルトップで、開幕戦3位に入ったロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル(PHL)もライン内を維持している。

アリス・レモーン(FRA)と対戦した田岡なつみは序盤こそ3.83と6.17を出してリードしていたが、中盤から流れが変わり、アリスが6.83と5.50を出して逆転。更にビッグセットを最後まで乗り繋いで7.00を加え、アリスに軍配が上がった。
開幕戦に最下位だった田岡なつみは今回の5位でランキング13位まで浮上している。

(ヒート前に集中する田岡なつみ)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki
(田岡なつみ)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane
(田岡なつみ)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane
(井上鷹のツアーでは珍しいトライフィンのセットアップ)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki
(タカスタイル)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki
(井上鷹)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki
(ヒート終了後の井上鷹とテイラー)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

42歳のカイ・サラスが2011年以来の優勝

(カイ・サラス)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

メンズサイドでは42歳のベテラン、カイ・サラス(HAW)と若手のデクラン・ワイトン(AUS)がファイナルに残り、カイが優勝。
SFまでのグッドコンディションと一転して風の影響が入った難しい波に序盤は両者共に苦戦。中盤に7.00を出したカイが6ポイント止まりだったデクランを抑えて2011年以来の優勝トロフィーを手に入れた。
カイはトニー・シルヴァニ(USA)とのQFでは9.00を含むトータル17.17とイベントを通してのハイエストまで出し、SFでも3xワールドチャンピオンで今年好調のテイラー・ジェンセン(USA)を抑える強さだった。

「この優勝のために必死にトレーニングをしてボード作りにも専念した。沢山サーフィンもして本気で優勝を目指していたから、本当に嬉しい。このイベントで優勝したかったんだ。ベルズは素晴らしい場所、素晴らしい波だよ」

カイが削るサーフボードは自分自身だけではなく、カニエラ・スチュワート、ケリス・カレオパアと開幕戦を制したヤングハワイアンも愛用している。

(弟子?のカニエラに担がれるカイ・サラス)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane
(デクラン・ワイトン)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

ソレイユ・エリコが地元で3度目のタイトル獲得なるか?

(ソレイユ・エリコ)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

ウィンメンズサイドは2xワールドチャンピオンのソレイユ・エリコ(USA)がアリス・レモーン(FRA)とのクロスゲームを制して優勝。
ランキングでもトップに立ち、彼女のホームであるカリフォルニアのマリブでワールドタイトルを決める『Original Sprout Malibu Longboard Championships』の出場も決めている。

「目標だったマリブ行きを決めたので、少し気が楽になったわ。最高の気分ね。マリブで戦うのが楽しみよ。成功するために全力で取り組むつもり」

(ファイナル直後のソレイユとアリス)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

ソレイユはライバルのホノルア・ブロムフィルド(HAW)と対戦したSFで奥のピーク、リンコンにポジションを変えて7ポイントを2本揃えて勝利。
ファイナルはそのままリンコンで行われ、ヒート開始から10分ノーライド。リスタートの後、すぐに波に乗ったソレイユだが、風の影響でバンピーな波にワイプアウトが重なり、アリスがリードしていた。

中盤、6.47を出してソレイユが逆転。しかし、すぐに5.33を出したアリスが抜き返し、ファイナルは終盤を迎える。
ニード5.23のシチュエーションで、ソレイユはクリティカルセクションでのノーズライドとフルレーレのターンを披露。
ジャッジは5.50をコールして土壇場で逆転優勝を果たした。

「本当に神経をすり減らす勝負だった。波が予想以上にバンピーだったので、何度も転倒したわ。私たちはクロスゲームのヒートが多いの。戦う度にね。彼女は優れたコンペティターであり、素晴らしい人物なので、ラインナップをシェアできて嬉しかったわ」

(ソレイユ・エリコ)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane

ソレイユとアリスは昨年の最終戦、今年の開幕戦、そして今イベントと3戦連続で対戦しており、全て僅差でソレイユが制している。

敗れたアリスは、「残り時間僅かでの2位は少し悔しいわ。優勝したかったけど、コンテストを通しての自分のサーフィンに満足しているし、次のエルサルバドルの前のランキングにも満足している。次の勝負が楽しみね」と話している。

次のLT第3戦『Surf City El Salvador Longboard Classic』は9月19日〜25日にエルサルバドルのエル・スンサルで開催される。

LT第2戦『Bioglan Bells Beach Longboard Classic』結果
1位 カイ・サラス(HAW)
2位 デクラン・ワイトン(AUS)
3位 テイラー・ジェンセン(USA)、エドゥアルド・デルペーロ(FRA)
5位 井上鷹(JPN)、トニー・シルヴァニ(USA)、ランデン・スメールス(AUS)、ベン・スキナー(GBR)

ウィメンズ
1位 ソレイユ・エリコ(USA)
2位 アリス・レモーン(FRA)
3位 ホノルア・ブロムフィルド(HAW)、クロエ・カルモン(BRA) 
5位 メイソン・シュレマー(USA)、アヴァロン・ガル(USA)、田岡なつみ(JPN)、ソフィア・コーヘーン(HAW)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。