(RedBullの看板でもあるモリー・ピックラム) PHOTO: © WSL/Tony Heff

『Lexus Pipe Pro』ウィメンズ初日の主役は?

不安定なコンディションに悩まされている今年のCT開幕戦。
ウェイティングピリオド終盤となる現地時間2月7日に『Lexus Pipe Pro』はようやくウィメンズがスタートした。

2つのヒートを同時進行させるオーバーラッピングヒートを使用してメンズRound of 32、Round of 16が一気に進行した前日よりサイズダウンしたこの日はパイプラインのバレルではなく、バックドアのバレルとターンがメインの勝負だった。

主役はモリー

(この日の主役になったモリー)
PHOTO: © WSL/Brent Bielmann

この日はウィメンズのオープニングラウンドのみ進行。

トータルでも2桁に届かない選手が大半の中、モリー・ピックラム(AUS)は一本目でバックドアのバレルをメイクしてボーナスセクションでのビッグターンも決めて7.33。最後の一本では更に深い位置からのテイクオフでストールからバレルに包まれて8.50を出し、トータル15.83でタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)とルーキーのアリッサ・スペンサー(USA)を相手に圧勝した。

(このストールの後にプルイン)
PHOTO: © WSL/Tony Heff
(バレルの中でピースサインする余裕)
PHOTO: © WSL/Tony Heff

「今朝は厳しいヒートが続く中、私は幸運にも波に恵まれたわ。今年はワールドタイトルに焦点を当てている。オリンピックの金メダルもね。でも、基本的には楽しんでサーフィンを披露することを心掛けるわ」

CTイベントから招待制イベントに変わった新生「パイプマスターズ」こと『Vans Pipe Masters』の初代チャンピオンでもあるモリー。
パイプでは最強のワイルドカード、モアナ・ジョーンズ・ウォン(HAW)と共に優勝候補の筆頭と言われている。
2024年パリ五輪のオーストラリア代表としての席も確保しており、彼女のバレルのスキルがキャリア最大の勝利を得るシーズンになるかもしれない。

カリッサは引退の花道を飾れるか?

(敗者復活戦に回ったカリッサ)
PHOTO: © WSL/Tony Heff

開幕戦直前にパイプラインを最後にCTを引退すると表明したカリッサ・ムーア(HAW)は不安定なコンディションに実力を発揮できず、ブリッサ・ヘネシー(CRI)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)に抑えられて敗者復活戦行きに…。
予報ではウェイティングピリオドの残り2日間で大きなウネリが入るようなのでリカバリーする可能性が高いが、この日はカリッサよりもブリッサの日だったようだ。

「このスポーツではリズムに乗る乗らないのギャップが大きい。今日は私の日だっただけよ。私は本気で恐れに立ち向かい、今日のような場所に辿り着くために努力し、個人の成長と海の中でも外でも自分自身をどうしたいかを考えてきた。いくつかの健康問題を抱えているけど、それは全て心のあり方に関することで、自分の恐れや私を引きずり降ろすものの犠牲者になるつもりはない。今年はポジティブな考えでこの舞台に立ててサーフィンできることに感謝している」

アップダウンが大きいながらコスタリカ出身の唯一のCT選手としてツアーに参戦しているブリッサ。
2023年はミッドシーズンカットされたものの、シーズンワイルドカードで貴重な席を得ている。
彼女もまた2024年パリ五輪の代表選手である。

(ブリッサ・ヘネシー)
PHOTO: © WSL/Tony Heff

サンクレメンテの新星

(グラブレールでキープゴーインしたソーヤ)
PHOTO: © WSL/Tony Heff

2024年はコール・ハッシュマンド、クロスビー・コラピント、ケイド・マトソン、ウィメンズではソーヤ・リンドブラッドと4名のルーキーがカリフォルニアのサンクレメンテから輩出される異例のシーズンになっている。
すでにツアーの中堅になっているクロスビーの兄、グリフィン・コラピントを合わせると5名が同じ街の出身。

メンズサイドではすでに全ての選手が敗退しているが、ソーヤはこの日トータルで2桁のスコアを出した4名の内の一人。
最終ヒートではクリーンなバックドアのバレルをバックサイドで抜けてベテランのジョアン・ディファイ(FRA)、レイキー・ピーターソン(USA)に勝利した。

「バックドアで始めてバレルをメイクしたわ。練習では何度もリップが頭に当たっていたの。ヒート前にコーチのシェーンにただキープゴーインするようにと言われたわ。バレルの深い位置にいるとすぐにボトムに降りてしまう傾向があるけど、あの波ではその言葉通りにやって抜けることができたの」

開幕戦で誰が誰のコーチを務めているかが明確になっているが、ソーヤは元CT選手のシェーン・ドリアンがコーチを務めている。
シェーンはイーサン・ユーイングなど他にも何人かのコーチを兼任。

ちなみに五十嵐カノアは一度離れたスネークことジェイク・パターソン、レオナルド・フィオラヴァンティは元CT選手のエイドリアーノ・デ・ソウザ。
ロボことジャック・ロビンソンはヤゴ・ドラの父、レアンドラ・ドラがコーチを務めている。

(タイラー・ライト)
PHOTO: © WSL/Brent Bielmann

その他、タイラー・ライト(AUS)、キャロライン・マークス(USA)、ケイトリン・シマーズ(USA)などが良いライディングをして注目されていた。

現地時間2月8日はオフが決定。
ネクストコールは現地時間2月9日朝7時45分。
日本時間2月10日2時45分。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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