オリンピックイヤーとなる2024年はCT開幕戦を前に東京五輪の金メダリスト、カリッサ・ムーアが現役引退、8xのステファニー・ギルモアが1年の休止を発表。
ウィメンズはツアーの二強が不在で世代交代を予感させる中でシーズンがスタートしたが、それは予想通りの展開となり、21歳のモリー・ピックラムと18歳のケイトリン・シマーズがファイナルに残り、ケイトリンが優勝。
メンズサイドはジョン・ジョン・フローレンスとバロン・マミヤのノースショアローカル勝負となり、流れに乗ったバロンがファイナルデイを制した。
Z世代の台頭
日本の自動車メーカー「Lexus」がメインスポンサーについたCT開幕戦『Lexus Pipe Pro』のファイナルデイはウェイティングピリオド最終日の現地時間2月10日。
国民の約半数がライブで観戦しているという統計があるほどアメリカでは絶大な人気のスーパーボウルの前日に行われた。
前日からビルドアップしたウネリがピークを迎え、公式6-8ftのパイプライン、バックドア共にバレルが開いたグッドコンディション。
イベントを通して見ると不安定だった開幕戦だったが、最終日は完璧な波に恵まれ、メンズ、ウィメンズ共にQFから行われた。
ウィメンズサイドのファイナリストは昨年、ルーキーながらファイナル5に進んだ天才少女のケイトリン・シマーズ(USA)と2022年に行われたた新生「パイプマスターズ」のチャンピオン、モリー・ピックラム(AUS)の二人。
モリーはベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)とのSFでウィメンズ初のパイプで10ポイントをスコア。ファイナルではバックドアで9.27を出してシングルスコアではケイトリンを上回っていたが、バックアップスコアが足らず、ケイトリンが3度目のCT優勝を決めた。
「この波は恐ろしいわ。挑戦した人、そうでない人も全員尊敬する。それだけこの波は怖いのよ。男達と競って波に乗れない時代もあったけど、このイベントでウィメンズでもパイプでできるんだということを証明できたと思う。今日はみんな1日スピットアウトされたわ。それを見ることができて最高だったし、同じ舞台に立つことができて本当に嬉しい」
昨年のファイナル5の最初のマッチアップで同ヒートになったケイトリンとモリー。
その時もケイトリンが勝ち上がっていた。
カリッサとステフが不在の今年、若い二人がCTを主導することだろう。
「モリーはグルーだし、私の意見ではおそらくここで一番の女子だと思う。パイプでの1ヒートは数ヶ月分の価値があるわ。それに友達と一緒にヒートでバレルに入るのは世界で一番楽しいことよ」
10ポイントはモリーだけだったが、ケイトリンはQFで9.17を出すなどこの波で最高のパフォーマンスを披露していた。
ファイナル直後のインタビューで「パイプラインは女性のためにある」、つまり、女性だってパイプでできるのよ!と放送禁止用語を交えてつぶやいたZ世代のケイトリンのファンになった人も多いだろう。
バロンがハワイを制した
メンズサイドはイベントを通して誰よりも波が見えていたジョン・ジョンとハレイワロコのバロンが戦い、メンズでは唯一の10ポイントライドでバロンが勝利。
パイプラインで生まれたこの10ポイントは非常に深く、完璧な形でスピットアウト。
ジョン・ジョンはバックドアとパイプラインを抜けて7.33と8.00を出していたが、ニード8.01のまま時間だけが過ぎ、終了間際に乗ったバックドアとパイプラインのバレルも出口を見つけられず、バロンがパイプラインで初の優勝を成し遂げた。
「あの10ポイントは、本当に自分がメイクできたとは信じられない。バレルに入って、出てこれたことが信じられないよ。ジョン、ジェイミー・オブライエン、アンクルD(デレク・ホー)がなかったら、今の自分はいないよ。彼らのサーフィンをずっと見てきたんだ。ジョンのパイプラインでのサーフィンを見て、バレルを学んだし、凄い影響されているよ」
2022年のパイプで9位に入り、次のサンセットビーチ戦ではリプレイスメントで参加して優勝。そのまま前半戦をリプレイスメントで通し、異例の形でツアー入りを果たしたバロン。
2023年はタヒチ戦で3位に入り、2024年の開幕戦で優勝と最高の流れでシーズンインしている。
「ノースショアで育った人にとってパイプは絶対に勝ちたいイベントさ。最後にジョンとファイナルを戦い、10ポイントも出した。言葉では言い表せないほどのこの喜びは一生忘れないよ」
2022年のサンセットビーチでの優勝で人生が変わり、2024年のパイプで一生残るトロフィーを手に入れたバロン。
2月12日〜22日にサンセットビーチで開催される『Hurley Pro Sunset Beach』ではイエロージャージを着て挑むことになる。
CT開幕戦『Lexus Pipe Pro』結果
1位 バロン・マミヤ(HAW)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 コナー・オレアリー(AUS)、イアン・ジャンティ(HAW)
5位 イーサン・ユーイング(AUS)、ジョーディ・スミス(RSA)、イーマイカラニ・デヴォルト(HAW)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
ウィメンズ
1位 ケイトリン・シマーズ(USA)
2位 モリー・ピックラム(AUS)
3位 ブリッサ・ヘネシー(CRI)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)
5位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、ルアーナ・シルヴァ(BRA)、キャロライン・マークス(USA)、ジョアン・ディファイ(FRA)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)