キングケリーのツアー離脱、ワイルドカードのジョージ・ピッター(AUS)の活躍、ギャビーvsJJFの名勝負、JJFの10ポイントライド。
多くのトピックがあった今年のマーガレットリバー戦を素晴らしい形で締めくくったのはロボとJJFのファイナルだった。
2度目の対戦
親友でもあるこの二人のマーガレットリバーでのファイナルは2022年に続く2度目。
2022年はグッドコンディションのメインブレイクでロボが念願の地元での優勝を成し遂げていた。
2024年のファイナルデイはウェイティングピリオド最終日の4月21日。
予報通りの南西ウネリが到達したメインブレイクは公式6-8ftレンジと期間中最大の波。
不安定なコンディションに悩まされた今年のマーガレットリバーだったが、最高の形で千秋楽を迎えた。
溢れんばかりの観客を前に繰り広げられたロボとJJFのファイナルは圧巻だった。
パワフルなメインブレイクの波を活かしたビッグカービングとエアーのコンボ。二人のレギュラーフッターのアプローチは革新的。
その中でもロボのオープンフェイスでの大きく両腕を広げてのターン、ファーストセクションのストレートエアーは着地も完璧に近く、この2本が勝負の決め手となった。
ジョン・ジョンもノープレーシャーのようにエンドセクションでのエアーリバースをメイクするなど素晴らしかったが、ファイナルの流れはロボのものとなり、2度目の対戦も彼が制した。
「昨年は怪我で欠場した。復帰には苦労したよ。今年はタイトル防衛のような感じだったね。最高に嬉しい。望むようなファイナルを全力で取り組みたかった。ジョンとの対戦はいつも楽しい。これから先も沢山のヒートを彼と戦うことになるだろう。素晴らしい1日だった。ホームでの優勝。この瞬間に感謝している」
2023年は膝の怪我のためにマーガレットリバー戦を欠場していたロボ。
サンセットビーチに続き今季2勝目でベルズ戦での17位を見事にリカバリーしてランキング2位に浮上。トップのグリフィン・コラピント(USA)に約1,000ポイント差。ジョン・ジョンは3位を維持している。
「ジョンジョンは凄く燃えさせてくれるんだ。彼とのヒートはいつも楽しみさ。ファイナルで戦いたい相手はジョン以外にいない。今日の彼のライディングは僕をとても刺激してくれ、基準を高めてくれたんだ。勝ったのは自分だけじゃない。応援してくれた全員の勝利だよ。信じられない瞬間さ。1年中旅をしてきた後、ここに帰って来れるのは特別なことなんだ。ホームは世界で一番素敵な場所。今ここにいることを感謝しているよ」
Volcomチームのロボはヤゴ・ドラの父、レアンドロ・ドラのコーチの元に戦っている。
ヤゴもギリギリでミッドシーズンカットをクリアして親子でロボの勝利を祝っていた。
ガブリエラがCT初優勝
ウィメンズサイドのファイナリストはツアー3年目のガブリエラ・ブライアン(HAW)とルーキーのソーヤ・リンドブラッド(USA)というフレッシュな顔ぶれ。
キャロライン・マークス(USA)に通ずるようなパワフルなバックハンドで注目されていたソーヤが序盤をリードしていたが、フロントサイドのガブリエラが後半に追い上げて最後には駄目押しの8.10を重ねて圧勝。
イルカの伴走というおまけまで付けてCT初優勝を決めた。
「なんて言ったらよいの?今はただただ嬉しいわ。最高の一日、一週間、一ヶ月だった。勝てて本当に嬉しいし、追い込まれた状況で勝てたことを誇りに思う。でも、一人では達成できなかった。ママ、パパ、兄と姉、家族全員が支えてくれたおかげよ。シーバス(元CT選手)も応援してくれていた。故郷にいる多くの支援者の誇りになれたと思うわ。最高に嬉しい。まだ実感が湧かない」
両者共にミッドシーズンカットをかけての戦いだったが、今回の結果により二人共にクリア。
ガブリエラは今回の優勝で5位まで浮上。ソーヤはカットラインギリギリの10位だった。
なお、ケイトリン・シマーズ(USA)、ジョアン・ディファイ(FRA)、モリー・ピックラム(AUS)のトップ3は変わらず、SF進出を決めたブリッサ・ヘネシー(CRI)が4位に浮上している。
「この試合はカットラインのギリギリで出場してたけど、今は5位になった。大きな差ね。自分のサーフィンがツアーにふさわしいっていうのを認識できて、安心したわ。良い波になって嬉しい。昨年のこの試合は負けてしまい、運に頼るしかなかったの。自分の実力でカットラインのクリアを成し遂げたのは最高。今日は全てのウィメンズサーファーが素晴らしいショーを見せてくれた。イルカが乗った波。あれは驚くべきことであり、誰かが自分に与えてくれた波だと思っている」
コナー、セスが残り、サリーが去る
マーガレットリバー戦の結果により、ミッドシーズンカットでCS落ちになった全ての選手が決定。
日本のコナー・オレアリーは21位でクリア。
イーサン・ユーイング(AUS)を倒したセス・モニーツ(HAW)もシーズン後半戦進出を決めた一方、カイオ・イベリ(BRA)、サミュエル・プーポ(BRA)などがCS落ち。
ウィメンズではベテランのレイキー・ピーターソン(USA)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)などがカットラインに引っかかった。
ケイド・マトソン(USA)、イーライ・ハンネマン(HAW)、アリッサ・スペンサー(USA)はルーキーイヤーで早くもCS落ちとなった。
なお、ワイルドカードはまだ公表されていないが、メンズは怪我で欠場が続いたジョアオ・チアンカ(BRA)に与えられると予想される。
精神的な理由で1年の休止を告げたフィリッペ・トレド(BRA)は2025年にワイルドカードが与えられる。
CT後半戦&2025年CTクオリファイを果たした選手
・メンズ22名
グリフィン・コラピント(USA)
ジャック・ロビンソン(AUS)
ジョン・ジョン・フローレンス(HAW
イーサン・ユーイング(AUS)
ジョーディ・スミス(RSA)
ジェイク・マーシャル(USA)
バロン・マミヤ(HAW)
コール・ハウシュマンド(USA)
五十嵐カノア(JPN)
リアム・オブライエン(AUS)
イーマイカラニ・デヴォルト(HAW)
クロスビー・コラピント(USA)
セス・モニーツ(HAW)
和井田理央(IND)
ラムジ・ブキアム(MAR)
イタロ・フェレイラ(BRA)
レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)
ライアン・カリナン(AUS)
ガブリエル・メディナ(BRA)
マシュー・マクギリヴレイ(RSA)
コナー・オレアリー(JPN)
ヤゴ・ドラ(BRA)
・ウィメンズ10名
ケイトリン・シマーズ(USA)
ジョアン・ディファイ(FRA)
モリー・ピックラム(AUS)
ブリッサ・ヘネシー(CRI)
ガブリエラ・ブライアン(HAW)
キャロライン・マークス(USA)
ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)
タイラー・ライト(AUS)
タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
ソーヤ・リンドブラッド(USA)
ミッドシーズンカットでCS落ちになった選手
・メンズ12名
サミュエル・プーポ(BRA)
イアン・ジャンティ(HAW)
カイオ・イベリ(BRA)
ミゲル・プーポ(BRA)
ケイド・マトソン(USA)
ジェイコブ・ウィルコックス(AUS)
フレデリコ・モライス(POR)
カラム・ロブソン(AUS)
イーライ・ハンネマン(HAW)
ケリー・スレーター(USA)
デイヴィッド・シルヴァ(BRA)
ジョアオ・チアンカ(BRA)
・ウィメンズ7名
レイキー・ピーターソン(USA)
ルアーナ・シルヴァ(BRA)
サリー・フィッツギボンズ(AUS)
イザベラ・ニコルス(AUS)
インディア・ロビンソン(AUS)
アリッサ・スペンサー(USA)
ソフィ・マックロック(AUS)
次の第6戦『SHISEIDO Tahiti Pro』は5月22日〜31日にパリ五輪の会場でもあるタヒチのチョープーで開催される。
CS初戦は『Bonsoy Gold Coast Pro』に4月27日〜5月4日にゴールドコーストのスナッパーロックスで行われる『Bonsoy Gold Coast Pro』
ここから2025年クオリファイへの戦いが始まる。
『Western Australia Margaret River Pro』結果
1位 ジャック・ロビンソン(AUS)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 ジョージ・ピッター(AUS)、セス・モニーツ(HAW)
5位 サミュエル・プーポ(BRA)、グリフィン・コラピント(USA)、ジョーディ・スミス(RSA)、イーマイカラニ・デヴォルト(HAW)
ウィメンズ
1位 ガブリエラ・ブライアン(HAW)
2位 ソーヤ・リンドブラッド(USA)
3位 ブリッサ・ヘネシー(CRI)、タイラー・ライト(AUS)
5位 インディア・ロビンソン(AUS)、モリー・ピックラム(AUS)、ケイトリン・シマーズ(USA)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)