F+(エフプラス)
マーガレットリバー。序盤あまり波には恵まれなかったけど、ケリー引退とか、プポ兄弟対決負けたらCS行きとか、ハーフカットがらみのドラマもあちこちにあった。でも結局ジャック・ロビンソンよく波知ってるな、と、ジョンジョン鬼のようにマーガうまいな、という印象しかない。ふたりともだけど、もう絶妙というか、波の選び方もセクションの処理の仕方も当てていく場所も、もうね、その波のそこはそうやってそう当てるのが最適だわな、みたいなところだけをひたすら正確に攻めてた。
ジョンジョンのレールワークはもうどうしようもなくうまいと思う。特にマーガでは。セミの10点満点も、上半身スープの中で寝そべりながらの、足は板を探って探って探し当てて立つ。そこまでのゾンビシステムはわりとあるかもしれないけど、その体勢立て直した後の次のターンへのレールワークの流れときたら、あれあそこまで素早くスムーズにできる人っていないかな、と思う。一瞬の休みもなし。ザ・コミットメント。
よく見てると片側フィンヌケしてるトップターンですら、引っ掛かってるほうのレールを軸に加速して、トップターンを回り切る。波の高さの上1/3ぐらいのところですでにレールは波側に切り替わってるもんな、いつでも。板引っ張り切ったところで即座に一瞬でレールチェンジ出来てるし、決して蹴り回さないから板がフラットになることがない。だからホント失速しない。
ジャック・ロビンソンとのファイナルは、絵にかいたような理想的なシナリオかと思う。どのラウンドも飛びぬけてうまかったガチな優勝候補と、こちらも同じように安定して勝ち上がっていたローカルボーイ。
セミでピークが来ちゃったジョンジョンに対して、危ないヒートも淡々と切り抜けてファイナルにピークを持ってこられたジャックという感じか。
女子はガブリエラ・ブライアン初優勝。パワー勝ちかな。マーガの波はパワフルで癖の強い波で、掘れそうで掘れず、掘れたポケットのある波を見分けるのが難しいので、合わない人はとことん合わない。だけど、しっかり見えてたし、超攻めてたと思う。2位はソウヤー・リンドブラッド。女子完全に世代交代だな。
ケリー。ベルズもここも、頑張ってたと思う。この2試合だけ見ると、この人まだまだいけるんじゃないのかな、と思ってしまうけど、まぁ、52歳だし、普通に勘弁してやってください(笑)。オリンピックがなければ、パイプの優勝を花道に数年前に辞めてたわけだけど、ちょっとね、オリンピック欲出ちゃってここまで引きずっちゃったかね。
ほとんどの記録を塗り替え、サーフィンに革新をもたらし、ジャッジングに革新をもたらし、システムに革新をもたらし、オーバーラッピングヒートを考案し、20世紀から21世紀にかけてのサーフコンペシーンの進化のすべてはケリーがもたらしたと言っても過言ではないと思う。彼がいなければ間違いなく今のサーフシーンは無い。
パイプ、タヒチ、フィジーはワイルドカードが欲しいって言ってたけど、あげるだろうな。でもって50歳代の優勝って、その3か所なら波さえよければ十分可能性あるだろうし。ツアーやめてなお、アメリカンヒーローとしての役割は続くんだろうと思う。まぁ、本人もまだまだ勝ちたそうだし、すんなりパパ業に専念するとは思えないわけだけど。