PHOTO: © WSL/Cait Miers

「サーフィンは美しく優雅に」 – F+

F+(エフプラス)

よいこのみなさん、GWはいかがお過ごしでしたか。GつながりでGCのCSも終了しましたが、何がって本戦より盛り上がっていたワールドチャンピオンセッションですかね。
ケリー、ミック、パーコ、オッキー、ステファニー・ギルモアの5人セッション。これねぇ、今のサーフマーケットを支える50代60代のドンズバケリー世代、つまりflow、F+世代のハートをわしづかみだったのではないかと思う。あれはずるいな。

(ケリー・スレーター)
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まぁ、ケリー以外の4人はGCローカルなので、集まりやすいっちゃ集まりやすいわけだけど、そこにケリーがいるといないでは大違いなわけだわよね。
しかもスナッパーのマシンブレイク、小さいながらも時折バレル含む、みたいなコンディションになれば、レール職人の5人にはうってつけの見せ場ってことになるわけで、それはそれは素晴らしかったかな、と思う。

(ジョエル・パーキンソン)
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滑らかなうえに滑らかなラインは全員全く衰えてなくて、ぬるぬるで止まらない。CTを狙う世界のトップ選手たちとの同時開催だから、比較もしやすかったけど、あの5人のサーフィンを古いというのであれば、私は古くてもいいかな、とすら思ったよ。
なんだろうね、味があるというか、非常に魅力的というか、まぁ、全員知ってるから、ではあったとしても個性的というか、芸術的。やっぱりね、サーフィンはセクションとかポケットとかコミットメントとかではなくて、レールだな。レールワークに尽きる。

(ミック・ファニング)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield

きわどいセクションなんか攻めなくていいから、気持ちよくドライブしててほしい感じ……わかります? とはいえミックとかけっこう攻めてたけど(笑)。
なんだろうね、あのセッションを見ていて、近年のコンペサーフィンが迫力と引き換えに捨ててきたものがよくわかったかなと思う。

(ステファニー・ギルモア)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

ここ何年かは技術的な部分で男子停滞、女子大進化、という傾向にあるわけだけど、ことコミットメントという部分に関しては男女ともにすごいことになってきていると思う。
このコミットメントという単語をサーフィンで使う場合のニュアンスがとても難しくて、いまだにすっきりなじむ日本語が見つからずにいる。辞書を引けば傾倒、献身、関与、責任、約束など、とてもルールブックのジャッジクライテリアにはハマらない日本語の単語が羅列されるけど、何となく違うんだよなぁ、という感じが残っていて、コミットメントがジャッジからしつこく言われるようになってから10年以上、ずっと言葉探しが続いている。

(マーク・オクルーポ)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

母国語英語のサーファーたち、特にルール関連はオーストラリア英語に近いと思われるので、サーフィン先進国のオージーの方々に聞いてみても、なかなかこれという答えが返ってこない。あちこちでさんざ話した結果、現状ではインテンスという単語に置き換えられそうな感じで、インテンスは激しいとか強烈とかきついとか、そういう感じ。ま、厳しいところに激しく当てる=コミットメントなんだろうし、近年のサーフィンはそういう傾向にあることは確かだ。ま、そこピンポイントで評価する弊害として、対極にあるサーフィンの中の優雅さのようなものは消えていく。つなぎとかスタイルとか、激しいワンアクションと関係のないところでのアーティスティックな部分がポイントに反映されていないわけで……えっと、何が言いたいかというと、私は久しぶりにミックやパーコのサーフィンを見て、美しいなぁと思ったわけですよ。今風のコミットメントサーフィンもすごいとは思うけど、表に出る激しさより白鳥のように水面下のレールワークの激しさで、表面的には何事もないような美しいラインを描く、優雅なサーフィンのほうが私は好きなんだな、と再認識した次第。

F+編集長つのだゆき

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