PHOTO: © WSL/Matt Dunbar

ワイルドカードのヴァヒネ・フィエロが優勝!CT第6戦『SHISEIDO Tahiti Pro』2日目

現地時間5月29日、パリ五輪の前哨戦でもあるタヒチ・チョープーで開催中のCT第6戦『SHISEIDO Tahiti Pro』は3日間のレイデイを経て再開。

パーフェクト10も生まれた公式6-10ftレンジのソリッドなコンディションでウィメンズはQFから一気にファイナルまで進行。
メンズは敗者復活戦のElimination Roundのみ行われ、Round of 16を戦うベスト16が全て決定した。

ウィンメンズ史上初の10ポイント

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公式6-10ftレンジのソリッドなチョープーがどれだけ恐ろしい波であるか、それは体験したサーファーしか分からない。
これまでのウィメンズでは避けられていたコンディションでWSLコミッショナーのジェシー・マイリー・ダイヤはゴーサインを出して女子の日にした。
それは2ヶ月後に迫ったパリ五輪を見据えて決断でもあったと思う。

危険な場面もあったが、SFではタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)がディープなバレルに包まれ、フォームボールを乗り越えてスピットアウトしたライディングにウィメンズ史上初の10ポイントがコールされた。
対戦相手のヴァヒネ・フィエロ(FRA)も一歩も引けを取らず、9ポイントと8ポイントを出してトータルでタティアナを上回る名勝負となった。

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「神様からの贈り物だったわ。本当に怖い波だけど、チャンスが巡ってきたことに感謝している。特に女子にとって今日のようなコンディションに恵まれたことは少ないと思う。女子のスポーツの中でもサーフィンは特に進化しているし、WSLが私たちにその環境を提供してくれている。本当に感謝しているわ。オリンピックも近づいていて、そこで結果すことが私の大きな目標。この波でのヴァヒネは最高よね。インスピレーションを与えてくれるわ。彼女は最低でも8ポイントを出すと思ったので、大きなことをやらないと勝てないって思っていたの」

タティアナはインタビューでこの波を昨年ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されグレッグ・ブラウニングに捧げると話していた。
グレッグはモーメンタム世代の一員であり、名作ドライブスルーシリーズの監督でもある。

最強のワイルドカードが遂に優勝

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タティアナをSFで倒したヴァヒネはファイナルでブリッサ・ヘネシー(CRI)と対戦。
ここでもペースを崩さずにバレルになる波を選び、ワイルドカードとしてチョープーに3度目の出場で見事に優勝。
ワールドジュニアチャンピオンを上回るキャリア最大の勝利を手に入れた。

「このイベントでいつかは勝てると信じていたわ。全力を尽くして何度もワイプアウトした。もう体はボロボロ、ボードも壊れたわ。本当に狂ったような日だった。でも、私は冷静だった。優勝だなんて信じられない。みんなに感謝したい。全てのエネルギーが私を動かし、インスピレーションを与えてくれたのよ。コーチングしてくれたジェレミー・フローレスにも感謝したい。彼はやるしかない。もう引き返せないし、躊躇することもできない。ただやってこい。と言ってくれた。ジェシー・マイリー・ダイヤはこの巨大な波を女子の日にしてくれた。こんな思い切った決断は今までなかったわ。女子が今まで壁を乗り越えるために必要な決断だったし、私たちを信じてくれてありがとう。そして、私たちは十分この波でやれることを証明した。人生最高の波を送ってくれたチョープー にも感謝するわ」

24歳のヴァヒネはタヒチから飛行機で40分のフアヒネ出身で、サーフィンのために家族で移住した。
2年連続でワイルドカード出場3位に入り、最強のワイルドカードとして恐れられていた。

パリ五輪にはフランス代表として出場するが、チョープーが会場に決まった当初から金メダル候補として注目。
この前哨戦での優勝でそれはより確固たるものになった。

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ブリッサがイエロージャージ奪回

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ファイナルではヴァヒネに圧倒されたブリッサだったが、今回の2位で一気にランキングトップに立ち、次のエルサルバドル戦ではイエロージャージを着用する。
一方、今シーズン初のイチコケをしたケイトリン・シマーズ(USA)は2位に下がっている。
WSL FINALを戦う5名は残り3戦の結果によって決まる。

CT第6戦『SHISEIDO Tahiti Pro』ウィメンズ結果
1位 ヴァヒネ・フィエロ(FRA)
2位 ブリッサ・ヘネシー(CRI)
3位 キャロライン・マークス(USA)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
5位 カリッサ・ムーア(HAW)、ソーヤ・リンドブラッド(USA)、モリー・ピックラム(AUS)、タイラー・ライト(AUS)

ワイルドカードが世界トップを倒す

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メンズサイドは敗者復活戦のElimination Roundが進行してRound of 16を戦うベスト16が決定。
この日はウィメンズ同様にワイルドカードの活躍が注目されていた。

Elimination Roundのオープニングヒートでトライアルの勝利者、ミハマナ・ブレイ(PYF)が小ぶりながら深いバレルをメイクしてトータル15.10でランキングトップのグリフィン・コラピント(USA)を僅差で倒した。

「このチャネルにいるみんなと一緒に、地元でのヒートに勝てて本当に嬉しい。2度目のCTイベントで、昨年は世界トップのフィリッペを倒した。今年はグリフィン。この瞬間のために一生懸命に取り組んできたんだ。チョープーには感謝している。最高の気分さ」

ミハマナはRound of 16でジョン・ジョン・フローレンス(HAW)と対戦する。

グーフィーフッターが活躍

(人生最高の波だったと話すコール・ハウシュマンド)
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Elimination Roundの8ヒート中、前半4ヒートはグーフィーとレギュラーの選手の対戦が続き、全てグーフィーの選手が制した。
底掘れするチョープーの波は基本的にフロントサイドとなるグーフィーフッターが有利と言われている。

H2ではルーキーのコール・ハウシュマンド(USA)がレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)を相手に9.57を含むトータル17.24で圧勝。
H3では同じボルコムチームのジャック・ロビンソン(AUS)とヤゴ・ドラ(BRA)が戦い、8ポイント台のバレル合戦の末にヤゴが勝利。
H4ではラムジ・ブキアム(MAR)が9.13を出して8ポイントを3本も出したリアム・オブライエン(AUS)を0.14ポイント差で倒した。

完璧に近いバレルをメイクして興奮していたコールは、「これこそがタヒチに来る時に夢見る波だね。CTで一番に思い描く波でもある。人生最高の波だったよ。自分史上、最大のバレルだった。まさに夢に見ていた波。メイクできるか心配だったけど、抜けた時は最高に興奮したね。あの波は突然目の前に現れたんだ。もう、乗らないといけない状況だった。恐らく、今日最大の波。僕の中のケリー・スレーターを引き出して、できるだけハイラインで突っ込もうと思った。バレルから出た時、興奮し過ぎて大げさに喜んでしまったかな。人生最高の波だったよ」とコメントを残している。

その他、ジェイク・マーシャル(USA)、和井田理央(IND)、バロン・マミヤ(HAW)、クロスビー・コラピント(USA)がベスト16入りを決めている。

ネクストコールは現地時間5月30日の朝6時45分(日本時間5月31日深夜1時45分)
予想ではサイズは維持して2日続けてコンテストは進行。
ファイナルデイになる可能性もある。

SHISEIDO Tahiti Pro Presented by Outerknown Men’s Round of 16 Matchups:
HEAT 1: Ethan Ewing (AUS) vs. Kelly Slater (USA)
HEAT 2: Kanoa Igarashi (JPN) vs. Ramzi Boukhiam (MAR)
HEAT 3: Jordy Smith (RSA) vs. Yago Dora (BRA)
HEAT 4: Cole Houshmand (USA) vs. Italo Ferreira (BRA)
HEAT 5: John John Florence (HAW) vs. Mihimana Braye (PYF)
HEAT 6: Crosby Colapinto (USA) vs. Rio Waida (INA)
HEAT 7: Jake Marshall (USA) vs. Gabriel Medina (BRA)
HEAT 8: Barron Mamiya (HAW) vs. Ryan Callinan (AUS)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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