7月末に開催されるパリ五輪のサーフィン競技と同じ会場、タヒチ・チョープーで開催されていたCT第6戦『SHISEIDO Tahiti Pro』が現地時間5月30日に終了した。
タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)がウィメンズ史上初の10ポイントを出し、ワイルドカードのヴァヒネ・フィエロ(FRA)が優勝した前日よりも更にサイズアップしたファイナルデイは公式8-12ftレンジ。
時間帯によってオンオフはあったが、理想的なウエストボウル、15ヒートで27本のエクセレントスコアが出る素晴らしいコンディションに恵まれ、同じような波がパリ五輪の開催期間中に訪れたらきっと世界中の五輪ファンが感動するだろうと思わせるような1日だった。
イタロ復活
52歳のケリー・スレーター(USA)のパーフェクトに近いバレル、そのケリーを土壇場で逆転したラムジ・ブキアム(MAR)の強運。
ガブリエル・メディナ(BRA)のパーフェクト10とパーフェクトヒートに迫った圧巻のパフォーマンス。
27本のエクセレントスコアにはそれぞれの背景があったが、最後はイタロ・フェレイラ(BRA)がジョン・ジョン・フローレンス(HAW)とのファイナルを制して2021年のニューキャッスル戦以来の優勝を手に入れた。
「この瞬間を待っていたよ。バレルではない波で優勝してきたけど、自分の探し求めてきた波はこれさ。昨年の欠場した今イベントで遂に優勝することができた。最高に嬉しいね。神様と家族、友人に感謝する。それが全てさ。任務完了。次はエルサルバドルの戦いに備えるよ」
イタロ vs ジョン・ジョンの過去の対戦成績は2対1でジョン・ジョンが上回っていた。
通常の35分ヒートよりも5分多いファイナルは最初のセットで明暗を分けた。
1本目に乗ったジョン・ジョンがバレルから抜ける寸前にワイプアウトした一方、次の波に乗ったイタロはクリーンかつディープなバレルをメイクして8.93をスコア。
プライオリティはすぐにラインナップに戻ったイタロに渡り、次の良いセットで8.77と開始直後に主導権を握った。
後半、ジョン・ジョンは手始めに7.83を返し、すぐにファイナルのハイスコアとなる9.33を出してニード8.37まで追い上げるが、最後にキャッチした波は狙い過ぎでメイクできず、僅差でイタロの勝利となった。
「ジョンとの特別なヒートだった。彼には凄いインスパイアされているよ。素晴らしいヒートだったね。早朝からスタートして長い一日だったけど、ファイナルに進出して優勝できて本当に嬉しい。ずっと自分の可能性を信じていたし、今回そのチャンスを手に入れた。最高の気分だよ」
2019年のワールドチャンピオンで東京五輪の金メダリストでもあるイタロだが、2023年は13位。
2024年も前半戦は低迷して16位でシーズンを折り返していた。
しかし、今回の優勝でランキングを16位から5位に引き上げ、今年からLexusがスポンサーになったワールドチャンピオンを決める「WSL Finals」進出に向けて大きな前進となった。
ちなみにパリ五輪のブラジル代表はフィリッペ・トレド、ジョアオ・チアンカ、ガブリエル・メディナの3名。
東京五輪の金メダリストであるイタロは出場できず、ブラジル代表に夢を託すことになる。
ジョン・ジョンがイエロージャージを獲得
和井田理央(IND)とのQF以降、全てのヒートで9ポイントを出していたジョン・ジョン。
2016年のケリーとのファイナル以来、2度目のタヒチでのファイナルでまたしても優勝を逃したが、ランキングではグリフィン・コラピント(USA)を抜いてトップに立ち、次のエルサルバドルではイエロージャージを着用する。
「今日の4つのヒートは素晴らしかったよ。楽しい波だった。ここは世界で最も美しい場所の一つ。波も最高。誰もいない海で大きなバレルに入り、波に揉まれる体験は病みつきになるね。チョープーのコミュニティに感謝する。本当に素晴らしい人々なんだ。毎年私たちを受け入れてくれ、チャンネルでサポートしてくれる。ここは大好きな場所さ。本当にありがとう。
次の第7戦『Surf City El Salvador Pro』は6月6日〜15日にエルサルバドルで開催される。
CT第6戦『SHISEIDO Tahiti Pro』結果
1位 イタロ・フェレイラ(BRA)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 ラムジ・ブキアム(MAR)、ガブリエル・メディナ(BRA)
5位 ケリー・スレーター(USA)、ヤゴ・ドラ(BRA)、和井田理央(IND)、ライアン・カリナン(AUS)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(空海)