F+(エフプラス)
オリンピックに先駆けて、サーフィンがオリンピック競技になるまでのドキュメンタリーがリリースされた。
“The Impossible Wave – Fernando Aguerre’s quest for Olympic Surfing”
というタイトルで、現状はインフライトムービー(機内エンターテインメント)だけど、そのうちどこかで配信されるのかもしれない。
フェルナンド・アギーレはISAのトップで、サーフィンをオリンピック競技にというのはISA、フェルナンドの悲願であり、それに向けてのクエストというのはあながち大げさでもないと思う。
私は昔、80年代後半から90年代ごろ、カリフォルニア、サンディエゴのラホヤにあったこの人の家に行ったことがある。スタイリッシュなサーフスケーターとして人気があった吉浜の石山善弘プロと、雑誌ファインのトリップでメキシコに向かう途中のことだ。その時のカメラマンだったのがブラジル人のアルベルト・ソドレという人で、私たちは彼のことをベルトくんと呼んでいた。ベルトくんがメキシコに入る前に友人のところにワンストップしたいというので、ついていったわけだ。
当時フェルナンドは母国のアルゼンチンからカリフォルニアに居を移し、REEFのビジネスを始めたころで、REEF創成期だったと思う。小さなビーサン屋さんだったのが、REEFガールのお尻と共にどんどん大きくなっていき、今や世界的な大手フットウエアメーカーに化けた。フェルナンドはリーフの創始者と記憶している。ベルトくんが、こいつリーフってビーサン屋始めたんだよ、よろしく、って言ってたから。ビーサンももらったかもしれない。ラホヤは超高級住宅地ではあるけど、彼が住んでいた家は豪邸というわけでもない、普通のサーファーの家という感じだった。
今思えば当時はサーフィンバブル期で、その後巨大ブランドに成長したいろんなサーフブランドが世に生まれ出てきた、エネルギッシュな時代だった。懐かしいなぁ。
その後フェルナンドはイベントディレクション方向に進み、ISAを組織し、主にアマチュアのサーフィン国際連盟として成長させていく。しかし、WSL(当時のASP)がジュニアツアーをスタートしたあたりからISAとWSLの住み分けが微妙なことになってきた。
まぁ、ISAとWSLというのは表向きは協力関係ではあるけど、永遠のライバルというか、どっちが世界を束ねる正しい? サーフィン団体か、みたいなところがあり、それまでどちらかというとアマチュア主体だったISAからアマチュア色を外して、昔ワールドアマと呼ばれていた世界戦をワールドサーフィンゲームスに変え、プロも出られるようにし、という方向にISAが進む傍ら、WSLは世界規模のジュニアツアーをスタートして、もうガチで競合だった。はたから見ている分には10年、15年前まではWSL有利でISA瀕死の状態だったと思う。しかし、そのゲームチェンジャーがオリンピックだった。サーフィンをオリンピック競技にし、オリンピックサーフィン競技のIF、インターナショナルフェデレーション(国際連盟)をISAにするのは、フェルナンドの悲願だったと思う。IOCとの間をつなぐために、コネクションを持った有能な人材を雇ったり、ありとあらゆる努力を怠らなかった。そして結果的にはサーフィンがオリンピック競技となり、窓口の連盟はISAということになり、WSLは協力はするけど深入りしない、みたいな一歩引いた形になった。土俵から降りた印象。
まぁ、この辺は政治的というか、大人の事情的なことだし、深堀りすると面倒なことになりそうな部分で誰も触らないので、私もこの辺でやめておくけど、まぁ、なんだろ、ISA頑張ったな、とは思う。私もずっとこのISA vs WSLは身近に見てきたけど、オリンピック決まった時にはやるじゃん、フェルナンド、と思ったから。ドキュメンタリーの素材には十分なるだろうし、どこまでのリアルストーリーなのかは興味深いところだ。観たいな。
【視聴可能な航空会社】
・エア・タヒチ・ヌイ(2024年7月~10月)
・アメリカン航空(2024年7月~12月)
・ブリティッシュ・エアウェイズ(2024年10月~11月)
・エミレーツ航空(2024年10月~11月)
・TAPポルトガル航空(2024年6月~11月)
・ラタム航空(2024年5月~9月)
・ヴァージン・アトランティック航空(2024年7月~(12月)
・ウエストジェット航空(2024年9月~2025年2月)
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