Image: ISAsurfing(YouTube)

「初めて本当の恐怖を感じたのはこの海だった」パリ五輪直前、タヒチにいる五十嵐カノアの最新インタビュー

2020年までQSを回り、現在はWSLやISAでMCやインタビュアーを務めるメキシコのミッチェル・サラザールがパリ五輪直前のオリンピアンに迫るISAのコンテンツに日本の五十嵐カノアが登場!

五十嵐カノアは東京五輪の銀メダリストであり、パリ五輪では2022年のWSGで優勝して日本男子の追加1枠を手に入れた。

インタビュー冒頭でそのことを聞かれ、「コナー、レオ、シノ。みんながチームとして支援し合うことが強いケミストリーとなり、この大舞台で良い結果が得られると良いね」と話した。

カノアにとってタヒチは特別な場所でもある。

2022年のCTタヒチ戦、Round of 16で追い込まれながらも冷静に逆転可能な波を待ち続け、終了間際に信じられないようなバレルをメイクして9.70を出して逆転に成功。
この結果により、ワールドタイトルを争う「WSL Finals」進出を決めたのだ。

そして、その1ヶ月後には地元のハンティントンビーチでのWSGで優勝とタヒチでの結果が良い流れを作ったと言える。

(2022年のタヒチ戦はカノアにとって特別な1戦だった)
PHOTO: © WSL/Beatriz Ryder

「タヒチ自分にとって非常に大きな意味を持つ場所だね。ここに来るのがとても怖かったことを思い出すよ。初めて本当の恐怖を感じたのはこの海だった。時が経ち、それを乗り越えたように感じられるようになり、自分の居場所を見つけ、自分の快適なゾーンを見つけ、精神的なハードルを乗り越えることができた。それだけでも、どんな勝利やメダルやトロフィーよりも私にとっては大きな意味がある。精神的に大きな障害を乗り越えることができたことで、子供の頃の恐怖を克服した。チョープでサーフィンをして今ではオリンピックでそれを見せることができることは、本当に特別な感情さ。ここでサーフィンをして、快適に感じ、自分のベストを尽くす。最高のパフォーマンスを見せることができるのが楽しみだよ」

東京五輪のフォーマットと変わり、パリ五輪ではCTに近くなったことについては。「ただパドルアウトしてヒート時間内にベストを尽くすのは同じ。フォーマットは関係ない。海は海だからね」と答えていた。

(東京五輪で銀メダルを獲得したカノア )
Photo: THE SURF NEWS/Kenji Iida

同じサーフィン競技でも東京五輪の志田下とパリ五輪のチョープーは全く違う戦いになる。

「東京五輪でのサーフィンとは違う一面をファンに見せることができるのは凄いことさ。東京五輪ではもっとハイパフォーマンスで、エアリアルや、マニューバーが多かったのに対し、チョープは海との勝負になる。流れに乗り、恐怖を超えながら波に乗る。精神的なハードルを乗り越え、自分を崖から突き落とすような感覚を克服することが求められるんだ。同じスポーツでも、二つの異なる側面が見られる。パリではないけど、サーフィンをしてオリンピックの真っ只中にいると選手村や他のアスリートを見ている以上の何かを感じる。それはエネルギーや、この瞬間の積み重ねのようなものさ。オリンピックが開幕すると、いよいよ試合が始まる。プレッシャーが高まっているのを感じるね。タヒチはとても落ち着いた静かな場所だけど、それでもオリンピックのエネルギーを感じることができる。興奮するし、チーム全体も興奮している。それが準備している理由だね」

CTという世界最候補のレースで活躍を続けているカノアにとっても、国を代表してオリンピックに出場するのは特別なことだった。
東京五輪で初めてユニフォームを手にした時は感情的になったそうだ。

「ユニフォームを手にするだけでも震えたし、オリンピアンだったと言えることは、一生の宝物になる。特定のスポーツに情熱を注ぐ者として、これ以上の高みはないよ。これからもベストを尽くし、国を代表しながら、笑顔を絶やさずにやっていきたい。東京ではプレッシャーが大きくて大きなストレスになった。精神的に凄い大変だった。プロセスや瞬間を楽しもうとしたけど、余りにも多くのものが重なり、すべてを笑顔でやるのは本当に難しかったよ。今回はもう少し楽しみながら挑みたいと思っているけど、もちろん簡単ではないだろうね。簡単ではないけど、常に頭の片隅に国のために笑顔を届けたい、メダルを持ち帰りたいという思いがある。でも、最終的には私たちはただ海でサーフィンをしているだけ。だから、そのくらいシンプルに考えられればいいなと思う」

(空海)

▼パリ五輪サーフィン特設ページ

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