(稲葉玲王) Photo: ISA/Beatriz Ryder

パリ五輪初日は稲葉玲王がR3進出!アメリカチームがハイスコアを独占

現地時間7月27日、タヒチ・チョープーを舞台としたパリ五輪のサーフィン競技が開幕!

初日は波数が少なかったものの、公式4-6ftレンジの南西ウネリにオフショアの北東風。終日クリーンなコンディションで男子、女子共にR1が進行した。
東京五輪と異なり、パリ五輪ではCTとほぼ同じフォーマットを使用。R1は3人ヒートでトップのみR3へ。他2名は敗者復活戦のR2に回ることになる。
R2から先はマンオンマンで、ファイナル前にはSF敗退者による銅メダルのマッチも用意されている。

Photo: ISA/Pablo Jimenez

日本代表「波乗りジャパン」は稲葉玲王のみR3へ

(五十嵐カノア)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

追加枠を含め、男子は3名。女子は1名と4名が出場している日本代表「波乗りジャパン」

トップバッターとしてH3に登場した五十嵐カノアはブラジルの五十嵐カノア、ペルーのアロンソ・コレアと対戦。カノアはヒートの1本目に乗り、小さなバレルをメイクして4.17を出してまずまずのスタートを切ったが、すぐにアロンソが5.83と8.50を出してトータル14.33を揃えて主導権を握った。
前半にミスが多かったフィリッペが徐々に調子を上げてきた一方、カノアは波を待ち過ぎてしまい僅か1本で終了。
アロンソが先行逃げ切りでR3行きを決めた。
一方、カノアはR2でイタリアのレオナルド・フィオラヴァンティと対戦する。

Photo: ISA/Pablo Franco

東京五輪の銀メダリストと2xワールドチャンピオンを倒したアロンソはISAアスリートトレーニングキャンプに参加した選手の一人。このキャンプでは各サーファーは地元コーチでチョープーのスペシャリストであるテレバ・デイビッドに指導を受けた。

「ISAトレーニングキャンプは私にとってゲームチェンジャーだった。毎日地元の人たちと一緒にいること。それがゲームチェンジャーだったね。ヒート中にテレバが今何を言うだろうと考えていたよ。このタヒチでの滞在は本当に素晴らしい経験さ。自分に『この全てのステップを楽しむように』と言い聞かせている。ボート、他のチームとのピン交換、セレモニー、サーフィンなど。全てがヒートだけに留まって欲しくなかったんです。この舞台に立つことは辛くなく、とても楽しいね。準備も整っていて、自分のサーフィンに満足している。ヒートが始まったら、攻撃モードに入ったさ」

(コナー・オレアリー)
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(ガブリエル・メディナ)
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日本代表の2番手、コナー・オレアリーはブラジルのガブリエル・メディナ、エルサルバドルのブライアン・ペレスと対戦。序盤から頭ひとつ抜けたバレルライドとエアリアルまで出す余裕でガブリエルがリード。7.17を含むトータル13.50でR3進出。コナーは後半にようやくリズムを掴んで6.20を返すが、もう1本のスコアを出すことができなかった。

R2ではドイツのティム・エルターと対戦する。

(稲葉玲王) Photo: ISA/Beatriz Ryder
(稲葉玲王) Photo: ISA/Beatriz Ryder

男子の最終ヒートに登場した稲葉玲王は先の二人の日本代表とは異なり、序盤にスコアを揃えた。7.33を含むトータル12.76でイタリアのレオナルド・フィオラヴァンティとインドネシアの和井田理央を完全に抑えた。
今回、稲葉玲王は同じ千葉の大先輩であり、51歳でガンによりこの世を去った小川直久氏が生前使用していたヘルメットと同じシルバー・バレット(銀色の弾丸)と呼ばれる銀色に赤い筋が入ったデザインを使用して大会に挑んでいる。

(松田詩野)
Photo: ISA/Tim Mckenna
Photo: ISA/Pablo Jimenez
Photo: ISA/Pablo Jimenez
(カリッサ・ムーア)
Photo: ISA/Tim Mckenna

女子の最終ヒートでアメリカのカリッサ・ムーア、ポルトガルのテレッサ・ボンバロと対戦した松田詩野は、序盤に8.33とヒートのハイスコアを出してリードしていたが、バックアップスコアを伸ばせなかった。後半、東京五輪の金メダリストでもあるカリッサが猛烈な勢いで追い上げて圧勝。
教科書通りのバレルライドに解説者のバートン・リンチも思わず声が大きくなっていた。

松田詩野はR2でテレッサ・ボンバロと最対戦する。
R1のサーフィンを見ると勝算はある。

初日はアメリカチームが圧倒

(グリフィン・コラピント)
Photo: ISA/Beatriz Ryder
(ジョン・ジョン・フローレンス)
Photo: ISA/Beatriz Ryder

初日のハイスコアリストを独占したのはシェーン・ドリアン率いるアメリカチーム。
9ポイント台を出したのは男子女子共にアメリカチームオンリーだった。

男子ではグリフィン・コラピントが9.53、ジョン・ジョン・フローレンスが9.33を出してトータルでも共に17ポイント台と圧倒的な数字を揃えた。

「自分の出身地やアメリカ、ハワイを代表して戦うのは本当に素晴らしいよ。ヒートに入ってすごく良い感じがして、ワクワクしてエネルギーがみなぎってきた。いつもヒートに入る時は『今の気分は?緊張しているかな?』って思う。今回はただワクワクしていたんだ。波も楽しかったし、今、本当に良い状態にいると感じるよ」

東京五輪は膝の怪我を抱えながら参加して思うような結果を残せなかったジョン・ジョン。
2度目の五輪は100%の状態でCTのカレントリーダーでもあり、周囲の期待度も高い。

(キャロライン・マークス)
Photo: ISA/Beatriz Ryder
(ケイトリン・シマーズ)
Photo: ISA/Tim Mckenna

女子は9.43と8.50をまとめたキャロライン、9.00を出したカリッサがトータルでも1位、2位。
ケイトリンは6ポイント止まりだったものの、タティアナ・ウェストン・ウェブ、モリー・ピックラムと二人の優勝候補を抑えてR3進出を決める勝負強さを見せた。

5xワールドチャンピオンで東京五輪の金メダリスト、カリッサは、「今日の成功をみんなで振り返って楽しみたい。本当に特別な日だったわ。私たちは良いバイブスを持つ仲間のように感じていて、みんながお互いを支え合い、励まし合っている。昨晩、グリフィンがこの日を迎えたことの感謝と意図を促してくれて、私たち全員が自分の気持ちについて話したの。オリンピックの舞台に立っていることの感謝の気持ちを語り合ったことが、本当に素晴らしい日を迎えるための雰囲気を作り出してくれたわ」とコメントを残している。

開催国フランスが粘る

(ロボを逆転したジョアン・ドゥルー)
Photo: ISA/Tim Mckenna

開催国のフランス代表は初日に粘りを見せた。

男子では序盤から綺麗にバレルをメイクしてきたオーストラリアのジャック・ロビンソンをジョアン・ドゥルーが最後の1本で逆転に成功。
僅か0.48ポイント差の勝利だった。

「大きな大会。世界最大のスポーツイベントだけど、何故かリラックスしているよ。人生で一度だけの機会。キャリアを終わらせるつもりだった時、フランスで開催されると聞いて、『おっ!挑戦してみようかな』と思ってここに来たんだ。だから、今この舞台に立ってとても興奮しているんだ。素晴らしいね。前回タヒチに来た時よりも良い気分だね。とても興奮しているし、今を楽しんでいる。本当に良い経験さ」

東京五輪では補欠選手かつそれさえも却下されてしまったジョアン。
パリ五輪を最後に競技から引退すると発表している。

(ヴァヒネ・フィエロ)
Photo: ISA/Beatriz Ryder
(フランスのコーチを務めるミシェル・ボレーズ)
Photo: ISA/Pablo Franco

女子は優勝候補のヴァヒネ・フィエロがペルーのソル・アギレ、スペインのハニレ・ゴンザレス・エチャバリを相手に一人クリーンなバレルをメイクして6.17を含むトータル11.17でラウンドアップ。
メダル獲得に向けてまずは一歩進んだ。

(サーフィン競技最年少15歳のスーチー・ヤン)
Photo: ISA/Tim Mckenna
(ナディア・エロスタルベ)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

その他、コスタリカのブリッサ・ヘネシー、スペインのナディア・エロスタルベがスコアを伸ばして快勝。

元CT選手のアリッツ・アランブルのコーチの元で戦っているスペインのナディアは、「このヒートを通過できて本当に嬉しいわ。夢のような一日だった。今日一番のコンディションだったと思う。完璧だった。アリッツが『行け、行け、行け!』って叫んでくれたのよ。ここで競技できることに感謝している。自分のサーフィンを見せるチャンスがまたもらえたことが嬉しい。いい波を期待しているわ」と話したいた。

中国のスーチー・ヤンは失敗を恐れない果敢なチャージでオリンピックデビューに強い印象を与えていた。

大会2日目のファーストコールは現地時間7月28日の6時15分(日本時間7月29日1時15分)で、条件が揃えば女子R2から再開される予定。

ISAパリ2024公式サイト:https://isasurf.org/event/paris-2024/

(空海)

▼パリ五輪サーフィン特設ページ

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