Photo: ISA/Tim Mckenna

パリ五輪 クライマックスを前に知っておきたい5つのこと

歴史に残るような素晴らしいコンディションからストームの影響で2日間オフが続いたパリ五輪のサーフィン競技。
すでにストームは去り、現地時間8月1日(日本時間8月2日)には女子R3から再開され、QFまで行われる予定。

日本代表「波乗りジャパン」は五十嵐カノア、コナー・オレアリーがR3で敗退した一方、稲葉玲王がQF進出。
女子は松田詩野がR3に残っている。

ヒート数を考えると大会は1日半で終わる。
そのクライマックスを前に知っておきたい5つのことを紹介する。

ここまでのおさらい

Photo: ISA/Pablo Jimenez

パリ五輪のサーフィン競技は現地時間7月27日に開幕して3日連続で進行した。

初日は波数が少なかったものの、南西ウネリと北東からのオフショアでクリーンなコンディション。
R1の16ヒートが進行した。
R1は3人ヒートでトップのみR3に進み、残り2人はR2へ。

日本代表「波乗りジャパン」はイタリアのレオナルド・フィオラヴァンティとインドネシアの和井田理央を完全に抑えた稲葉玲王の一人だけがストレートでR3進出を決め、残り3名は翌日のR2を戦うことになった。

(松田詩野)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

大会初日はシェーン・ドリアン率いるアメリカチームがハイスコアリストを独占。
また、開催国のフランス代表も粘りを見せていた。

中国代表、サーフィン競技の最年少15歳のスーチー・ヤンはビザの関係で他国の選手よりチョープーでの経験が圧倒的に少ないハンデを背負いながら、失敗を恐れない果敢なチャージを披露。
また、フランスのジョアン・ディファイがリーフに額をヒットさせて流血しながらも、ヘルメットを被ってヒートに戻り、会場を沸かせていた。

(スーチー・ヤン)
Photo: ISA/Beatriz Ryder
(五十嵐カノア)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

大会2日目は不安定なコンディションでR2の16ヒートが進行。
日本代表「波乗りジャパン」は全て見応えあるヒートでR3進出を決めた。

その他、この日活躍が目立ったのはトータルスコアで最も高い数字を揃えたブラジルのフィリッペ・トレド。
まだ牙を剝く前のチョープーを上手に手懐けていた。

R1でフランスのジョアン・ドゥルーに逆転負けをしたオーストラリアのロボことジャック・ロビンソンもハイスコアを出し、中国のスーチー・ヤンがオリンピック初勝利を決めていた。
カノアは同じアジア人として活躍しているスーチーについてコメントを残していた。

大会3日目は良い意味で予想が外れ、ウェストボウルと呼ばれるリアルなチョープーが姿を現した。
マックスサイズではなかったが、これこそがチョープーと言えるスラブ(底掘れする波)で男子のみR3の8ヒートが進行した。

日本代表「波乗りジャパン」は稲葉玲王のみ前日にハイスコアを出していたフィリッペを倒してQF進出。
カノアは優勝候補の筆頭、ブラジルのガブリエル・メディナ、コナーはイーサン・ユーイングに敗れて9位タイで終わった。

この日のハイエストスコアはガブリエルの9.90。
東京五輪を含めてのハイエストスコアとなり、奇跡的なショットも生まれた。

R3H5 松田詩野 vs ナディア・エロスタルベ

(ナディア・エロスタルベ)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

再開されれば5番目のヒートとなる松田詩野は、元CT選手のアリッツ・アランブルのコーチの元で戦っているスペインのナディア・エロスタルベと対戦する。

24歳のナディアは、2024年WSGでパリ五輪の出場権を獲得している。
松田詩野と同じグーフィーフッターで、R1では8.33を含む13.83を出してトップ通過を果たしている。
2023年、2024年とCSでは上位に食い込んでおり、CT入りも近い実力がある選手。
特に難しい波では試合運びも含めて強敵となるだろう。

Photo: ISA/Beatriz Ryder

男子ベスト8

男子ベスト8は以下。
アロンソ、稲葉玲王以外はCT選手、もしくはCT経験がある選手。
優勝候補ではカウリ、ガブリエル、ロボが残っている。
ここまでの戦いぶりを見るとジョアン、ジョアオもメダル候補と言える。

アロンソ・コレア(PER)
稲葉玲王(JPN)
カウリ・ヴァースト(FRA)
ジョアン・ドゥルー(FRA)
ガブリエル・メディナ(BRA)
ジョアオ・チアンカ(BRA)
ジャック・ロビンソン(AUS)
イーサン・ユーイング(AUS)

QFH1 稲葉玲王 vs アロンソ・コレア

(アロンソ・コレア)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

稲葉玲王のQFの対戦相手はペルーのアロンソ・コレア。

26歳で2024年WSGでパリ五輪の出場権を獲得。
R3では南アフリカのジョーディー・スミスを倒していた。R1でもフィリッペ、カノアを抑えてトップ通過を果たすなど今大会のダークホース的存在である。
WSLではまだCTには遠いが、侮れない選手。

なお、稲葉玲王は同じ千葉の大先輩であり、51歳でガンによりこの世を去った小川直久氏が生前使用していたヘルメットと同じシルバー・バレット(銀色の弾丸)と呼ばれる銀色に赤い筋が入ったデザインを使用して大会に挑んでいる。

(稲葉玲王)
Photo: ISA/Beatriz Ryder

現地時間8月1日以降の波予報

オフになった現地時間7月31日はまだウネリが大き過ぎで風もオンショアが強いが、現地時間8月1日は一気に落ち着く予想。
但し、南東からのサイド気味の風が吹く見込みなので、難しいコンディションになりそう。

8月2日以降は南東からのサイド気味の風が持続する中、サイズダウンが進む予想。
現在の予想だと最終日はウェイティングピリオドのギリギリまで引っ張る可能性があるという現地情報も。

ネクストコール現地時間8月1日の6時15分(日本時間8月2日1時15分)で45分後に再開予定。

ISAパリ2024公式サイト:https://isasurf.org/event/paris-2024/

(空海)

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