現地時間9月27日、UAEの首都アブダビに今年10月にオープンが予定されている「Surf Abu Dhabi」のお披露目的イベント、LT第3戦『Abu Dhabi Longboard Classic』が開幕!
初日は現地のお昼過ぎから夜にかけてメンズOpening Roundの8ヒートのみ進行。
ウィメンズはスタンバイとなった。
大会2日目は日本時間9月28日16時に再開予定。
「Surf Abu Dhabi」はケリー・スレーターのウェーブプール「サーフランチ」のテクノロジーを利用しているだけに波は完璧。
最初のノーズライドセクションからミドルでのバレルセクションの繋ぎがハイスコアの鍵を握り、8ポイント台が8本も生まれた。
ハイエストはデクラン・ワイトン(AUS)の8.37。
日本の浜瀬海は2番目に高い8.33を出して見事にトップ通過を果たした。
独特のフォーマット
『Abu Dhabi Longboard Classic』のフォーマットはウェーブプールに合わせており、Opening Roundは3人ヒートでトップのみQFに進み、残りは敗退。
敗者復活戦は用意されていない。
ヒートでは各選手がライト・レフト共に2本ずつ乗り、それぞれのハイスコアの合計で勝敗が決定する。
QFからはマンオンマンに変わり、SF、ファイナルと続く。
なお、今イベントはエルサルバドルでワールドタイトルを決めるチャンピオンシップ進出の最終戦。
トップ8の内、すでにメンズは4位、ウィンメンズは3名が決定しており、残り枠をかけての熾烈な戦いと、すでに決定した選手の中でもシード順をかけて重要な1戦となる。
浜瀬海が初のQF進出
日本国内で無敵となり、満を持してLTデビューを果たした浜瀬海。
開幕戦9位、第2戦17位とルーキーイヤーの洗礼を受けていたが、3戦目でようやく彼らしいサーフィンがジャッジに評価され、2021年にケリー・スレーターの本家ウェーブプール「サーフランチ」で開催されたイベントで優勝したエドゥアルド・デルペーロ(FRA)とベテランのトニー・シルヴァニ(USAを抑えて初のQF進出を決めた。
勝負の決め手となったレフトの1本目はノーズライドの後、バレルセクションを上手くメイクして8.33をスコア。ポストショーのベスト3にも選ばれた素晴らしいライディングだった。
「トニーとエドゥアルドと同じヒートに入れたことが本当に嬉しいです。二人共素晴らしいサーファーです。ヒートではバレルに集中して8ポイントを出せたので、凄い嬉しいです」
なお、井上鷹はH6で2位敗退。
練習で何度もワイプアウトしてしまい、マジックボードを壊しているという情報も入っている。
トップ8の内、4名が敗退
Opening Roundではカレントリーダーのテイラー・ジェンセン(USA)を始め、ベン・スキナー(GBR)、カイ・エリース-フリント(AUS)、ケヴィン・スカヴァーナ(USA)とトップ8の内、4名が敗退。
開幕から2連勝のテイラーはチャンピオンシップでのトップシードを確保しているが、その他の選手は大きな影響がある。
現在ランキング3位のベンはシード順が変わる可能性があり、7位のケヴィン、8位のカイはチャンピオンシップ進出が怪しくなった。
挽回を図るカニエラ
QFに進出した8名は浜瀬海、スティーブンの他、カニエラ・スチュワート(HAW)、ロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル(PHL)、サム・クリスチャンソン(ZAF)、ジョン・マイケル・ヴァン・ホーエンシュタイン(HAW)、デクラン・ワイトン(AUS)、カイ・サラス(HAW)
最初のヒートで勝利したカニエラはレフトの2本目でイベント初の8ポイント台をスコア。
バレルライドとハング10を成功させていた。
カニエラは2022年、2023年と2シーズン連続でトップシードとしてチャンピオンシップ進出を果たしている。
今シーズンは6位と低迷しているが、今イベントの結果次第ではシードを上げてくるだろう。
「本当に凄い波だね。まさに夢に描いていたような波だよ。最後の2本でクリティカルなハング10や大きなターン、そして、バレルに挑戦した。ミドルセクションから抜け出したのが楽しかったね。このヒートは非常に重要だった。まだエルサルバドルに出場できるかは分からないけど、最初のヒートを勝ち上がれたのは嬉しいよ」
無敵の男を倒したスティーブン
開幕から2連勝のテイラーをOpening Roundで倒したのは次に浜瀬海と対戦するスティーブン・ソーヤー(ZAF)だった。
2018年のワールドチャンピオンでもあるスティーブンは今シーズン初のLT出場で、チャンピオンシップ出場には関係ないが、来シーズンのために良い結果を残すことがマスト。
久々にコンテストジャージを着たスティーブンは慣れない波ということもあり、最初の2本をワイプアウト。
一方、テイラーは7ポイント台、6ポイント台と確実にスコアを重ねてリードしていた。
大きなプレッシャーの中、残りのライト、レフト一本ずつでスコアを伸ばす必要があったスティーブンはまずライトで7.83とこのヒートのベストスコアをマーク。
更にレフトで8.07を出してトータル15.90で逆転に成功した。
2本共に最初にワイプアウトしていたバレルセクションをクリアしてのハイスコアだった。
まだチャンスがあったテイラーはニード8.13のシチュエーションで7.73がコール。
プールサイドで祈りながらそのスコアを聞いたスティーブンはまるで優勝したかのように感情を爆発させていた。
「陸にいて、彼のスコアがどう出るか何もできないのは本当に辛かった。波に乗っている間は全然大丈夫だったんだけど、乗り終えた瞬間に緊張が一気に押し寄せてきたんだ。今でも手が震えていて、目もチカチカしているよ。今年最初の試合で勝てて本当に嬉しい。この場に立てることに感謝している」
ベン・スキナーを怒らせた男
すでにチャンピオンシップでのトップシードを確保しているテイラーは負けても恐らく笑っていたが、敗者復活戦がない今回のOpening Roundは他選手にとってシビアだった。
特に浜瀬海と並ぶ8.33という初日の2番目のスコアをライトで出しながらも、レフトでワイプアウトを繰り返してしまい、ローシードのサム・クリスチャンソン(ZAF)に負けてしまったベン・スキナー(GBR)はヒート終了後にボードを放り投げるなど怒りをあらわにしていた。
39歳、ベテランのベンにとってチャンピオンシップでのシード順は初のワールドタイトル獲得に向けて需要なのだ。
一方、26歳と若手のサムは南アフリカ国内で4年連続チャンピオンを獲得した選手。
ドロップニーターンなどトラディショナルなスタイルでとても美しいサーフィンをするロガーだ。
「デッキで(ベン・スキナーがサーフィンしているのを見ている時、こんな短時間でこんなに悪い考えを抱いたことはないと思うよ(笑)。このデッキは、人を悪い方に変えてしまうようだね。アブダビは素晴らしい場所。この大会がなければ、訪れるチャンスはなかったと思うので、本当に感謝しているよ。そして、ベンやミカ・デソトと一緒にサーフィンできたことは、とても光栄。本当に嬉かったし、また戻って来たいね」
Abu Dhabi Longboard Classic Men’s Quarterfinal Matchups:
HEAT 1: Kaniela Stewart (HAW) vs. Rogelio Jr Esquievel (PHL)
HEAT 2: Kai Hamase (JPN) vs. Steven Sawyer (RSA)
HEAT 3: Sam Christianson (RSA) vs. John Michael Van Hohenstein (HAW)
HEAT 4: Declan Wyton (AUS) vs. Kai Sallas (HAW)
Abu Dhabi Longboard Classic Women’s Opening Round Matchups:
HEAT 1: Honolua Blomfield (HAW) vs. Chloe Coleman (USA) vs. Ophelie Ah-Kouen (FRA)
HEAT 2: Mason Schremmer (USA) vs. Kirra Molnar (AUS) vs. Kaede Inoue (JPN)
HEAT 3: Zoe Grospiron (FRA) vs. Avalon Gall (USA) vs. Emma Perrier (AUS)
HEAT 4: Sophia Culhane (HAW) vs. Sive Jarrard (ASM) vs. Anneke Barrie (USA)
HEAT 5: Rachael Tilly (USA) vs. Keani Canullo (HAW) vs. Victoria Vergara (FRA)
HEAT 6: Alice Lemoigne (FRA) vs. Tully White (AUS) vs. Emily Currie (GBR)
HEAT 7: Natsumi Taoka (JPN) vs. Maria Fernanda Reyes (PER) vs. Crystal Hulett (RSA)
HEAT 8: Kelis Kaleopaa (HAW) vs. Natalia Wunderlich (HAW) vs. Puamakamae DeSoto (HAW)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)