(五十嵐カノア) PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

五十嵐カノアがベスト8入り!CS第5戦『EDP Ericeira Pro』

現地時間10月4日、ポルトガルのエリセイラで開催中のCS第5戦『EDP Ericeira Pro』は濃霧での中断を挟みながらも、週末のクライマックスに向けて着々と進行中。

公式3-4ftレンジのクリーンなコンディションでメンズ、ウィメンズ共にRound of 16が進行。
QFを戦うベスト8が決定した。

エリセイラは首都リスボンの北西部に位置するサーフタウン。
2011年にはヨーロッパ初の「世界サーフィン保護区」に認定され、ハイクオリティのサーフポイントが点在している。
CSはその中でも最高峰の「Ribeira d’Ilhas」が舞台。
ヒベイラ・ダ・イリャスは直訳すると島々の川。渓流が海に流れ込む地形で、周辺には島々や小さな岩礁が散在しているため、その景観に基づいて名付けられているとのこと。(諸説あり)
とにかく美しい景観の場所でCT入りに重要な1戦が開催されている。

五十嵐カノアがベスト8入り

(五十嵐カノア ) PHOTO: © WSL/Manel Geada

今イベントにはすでにCTシーズンを終えた五十嵐カノアが出場。
ポルトガルに拠点を持っているカノアにとってCS出場は次シーズンに向けてのトレーニングの一環。

4人ヒートだったRound of 32では8ポイント台2本でトータル17.34とハイエストを揃えて圧勝したが、マンオンマンに変わったブラジリアンのルーカス・シルヴェイラとのRound of 16は全く違う勝負になった。

カノアは1本目で7.17を出したが、2本の5ポイント台を出したルーカスがリード。
カノアが3.57を出して逆転するが、ルーカスがバックアップスコアを伸ばして再逆転とシーソーゲームになった。
最後の最後、カノアはニード3.77のシチュエーションで4.50を出して勝利。QF進出を果たした。

インタビューでは、ヒート後半での戦略について話し、休暇中で楽しみながらやっているが、コンテストジャージを着ると勝ちたくなる。結果も残したいとコメントを残していた。

なお、その他の日本人選手では大原洋人が25位で最高位。
ライブランキングでは16位と最終戦のブラジルの結果次第ではクオリファイの可能性が残されている。

アレホが8年ぶりのクオリファイにあと一歩

(アレホ・ムニーツ) PHOTO: © WSL/Manel Geada

ベスト8の内、5名がブラジリアン。
CSランキングを見てもクオリファイ圏内のトップ10の内、6名がブラジリアンと2名のみがクオリファイを果たした昨年と比べ、今年は圧倒的にブラジリアンが強い。

QFに勝ち上がったアレホ・ムニーツ、ミゲル・プーポ、サミュエル・プーポの3名はCT返り咲きをかけて戦っている選手。
サミュエルはポイント差からすでに確定させている。
その他、エドガー・グロッジア、マテウス・ヘルディもベスト8入り。

(兄弟で返り咲きを目指すミゲル・プーポ)
PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

また、ディフェンディングチャンピオンであり、同じく返り咲きを目指しているデイヴィッド・シルヴァを倒したオージーのカラム・ロブソンもミッドシーズンカットでCS落ちた選手とこのラウンドはCTレベルの選手が勢揃いしていた。

ライブを見ていた方ならご存知の通り、濃霧だったこの日はセットが入るのも判断しにくいほど視界が悪かった。

ヨーガン・クウジネット(FRA)を土壇場で逆転したアレホは、「もう一度チャンスが来ることを祈っていたよ。ビーチにいた親友のるデイヴィッド(シルヴァ)が黄緑のジャケットを着てセットが来ることを教えてくれたんだ。波が来ると分かり、リラックスして正しい波を選ぶことができて良かったよ」と話していた。

(アレホの武器はパワー) PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

2016年にCTを脱落したアレホは現在34歳。
2021年から回っているCSでは5位止まりだったが、今年はシドニーで2位に入り、現在ランキング4位。
ライブランキングでは3位まで浮上しており、次のヒートを勝てば最終戦を待たずに8年ぶりのクオリファイが実現する。

「ツアーから脱落した以来、両膝の手術を受けるなど、様々な困難を乗り越えてきた。それでも、再びツアーに戻るために挑戦し続けてきたんだ。一度も諦めたことはなく、再びここまで戻れると信じていたよ」

粘りを見せたカラム

(カラム・ロブソン) PHOTO: © WSL/Manel Geada

アレホのサポートをしていたデイヴィッドを倒したカラムはフロントサイドでの強烈なターンで8.17のハイスコアからスタート。6.73のバックアップスコアを重ね、トータル14.90を揃えた。

「デイヴィッドは強敵さ。霧で目印が見えず、最初は迷ったけど、自分が求めている波は分かっていた。自分が待っている場所を信じ、最初の波で良いスコアを出せたんだ」

2022年にCT入りを果たしたカラムは15歳までフットボールに精を出していた異色の選手。
真剣にコンテストに出場して数年後にCT入りを果たし、ルーキーイヤーのベルズではパワーサーフィンで勝ち上がり、2位になった。
当時は突如現れた新人に世界中のサーフィン業界が注目していた。

今回のQF進出でライブランキングでは一気に18位まで上昇しており、今イベントと最終戦のブラジルの結果次第では返り咲きの可能性がある。

ベラ・ケンワーシーのCT入りが確定

(2025年のCT入りが確定したベラ) PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

ウィメンズサイドのベスト8で注目すべき選手は17歳のベラ・ケンワーズィ(USA)(USA)と13歳のティヤ・ゼブラウスキ(FRA)だろう。

まず、ベラは南アフリカで優勝、カリフォルニアで2位と素晴らしい結果を重ね、今回のQF進出で最終戦を待たずに来年のクオリファイを確定させた。
それも対戦相手はオリンピアンであり、2024年CTタヒチ戦でワイルドカードでの優勝という快挙を達成したヴァヒネ・フィエロ(FRA)で、1本目で8.33をスコアして圧勝。

「昨日の放送でシナリオを聞いて、今朝のヒートに向けて少しナーバスになったのは確かよ。ブラジルに向かう前にプレッシャーから解放されるために、ここエリセイラでクオリファイしたかった。説明するのは難しいけど、本当に興奮しているわ。あまり期待はしたくなかった。だから考え過ぎないようにしていたけど、CTで全てのイベントに出場できるのが本当に楽しみね。今回、家族全員がこの場所にいる。それは特別で素晴らしく、プレッシャーを和らげてくれた」

ベラは2024年のCTを盛り上げたカリフォルニアのサンクレメンテ出身。
2025年のツアーではそのサンクレメンテクルーが心強い味方になってくれるだろう。

PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

CS初出場でQF進出を果たした13歳

(13歳のティヤ・ゼブラウスキ) PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

2024年のISA、WSGで活躍。18歳以下の銀メダルを獲得していたフランスのティヤ・ゼブラウスキ。
QSのリージョナルではすでに無敵に近い存在になっており、初のCS出場。
そして、返り咲きを目指すルアーナ・シルヴァ(BRA)を倒してQF進出を果たした。

「何が起こっているのかさえ分からないわ。ポルトガルのCSに参加できることをとても光栄に思う。次のヒートではエアーをしたい。QFが楽しみよ」

PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

その他、オリンピアンのヨランダ・ホプキンス・セケイラ(POR)、ノア・クラップ(DEU)、キラ・ピンカートン(USA)、CT返り咲きに向けて着々と結果を重ねているサリー・フィッツギボンズ(AUS)、イザベラ・ニコルス(AUS)がベスト8入り。

日本人女子はRounf of 32で全て姿を消している。
ライブランキングでは都筑有夢路の19位が最高位になっている。

ネクストコールは現地時間10月5日の7時30分(日本時間同日15時)で、35分後にスタート予定。

EDP Ericeira Pro Presented by Estrella Galicia Women’s Remaining Round of 16 Results:
HEAT 3: Yolanda Hopkins (POR) 12.90 DEF. Ellie Harrison (AUS) 11.24
HEAT 4: Noah Klapp (DEU) 13.40 DEF. Nadia Erostarbe (EUK) 11.17
HEAT 5: Kirra Pinkerton (USA) 14.83 DEF. Sol Aguirre (PER) 11.90
HEAT 6: Bella Kenworthy (USA) 14.63 DEF. Vahine Fierro (FRA) 10.77
HEAT 7: Isabella Nichols (AUS) 16.27 DEF. Tessa Thyssen (FRA) 14.17
HEAT 8: Tya Zebrowski (FRA) 13.00 DEF. Luana Silva (BRA) 12.77

EDP Ericeira Pro Presented by Estrella Galicia Men’s Round of 16 Results:
HEAT 1: Alejo Muniz (BRA) 15.24 DEF. Jorgann Couzinet (FRA) 14.50
HEAT 2: Edgard Groggia (BRA) 13.00 DEF. Carlos Munoz (CRC) 10.07
HEAT 3: Kanoa Igarashi (JPN) 11.67 DEF. Lucas Silveira (BRA) 10.94
HEAT 4: Callum Robson (AUS) 14.90 DEF. Deivid Silva (BRA) 11.84
HEAT 5: Miguel Pupo (BRA) 14.83 DEF. Ryan Huckabee (USA) 11.33
HEAT 6: Joel Vaughan (AUS) 12.83 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 4.50
HEAT 7: Mateus Herdy (BRA) 14.27 DEF. Rafael Teixeira (BRA) 11.16
HEAT 8: Samuel Pupo (BRA) 13.33 DEF. Maxime Huscenot (FRA) 11.00

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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