(Congratulations!) PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

レイチェル・ティリー&テイラー・ジェンセンが2024年のワールドタイトルを獲得!『Surf City El Salvador Longboard Championships』

現地時間10月12日、レギュラーシーズンのトップ8によるたった1日のタイトルマッチ、『Surf City El Salvador Longboard Championships』がエルサルバドルのエル・スンサルで開催され、ウィメンズはレイチェル・ティリー(USA)、メンズはテイラー・ジェンセン(USA)がタイトルを獲得した。

エル・スンサルは昨年の会場だったマリブと同じライトの長いポイントブレイクながら、オープンフェイスでパワーもある波質。
公式3-4ftレンジのクリーンなコンディションから始まり、日中は風の影響がやや強まる傾向となっていた。

ソレイユ、ホノルアの牙城を崩したレイチェル

(2度目のタイトルを獲得したレイチェル)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

ウィメンズサイドは昨年同様にナンバー1とナンバー2シードの選手のタイトルマッチとなった。

ナンバー1シードのソレイユ・エリコは昨年地元マリブで3度目のタイトルを獲得。
ナンバー2シードのレイチェル・ティリー(USA)は2015年、26歳の時に最年少ロングボードチャンピオンに輝いていた。

僅差のH1を制して先行したレイチェルは、H2で8.17をスコアして主導権を握った。6.87とバックアップスコアも伸ばしてソレイユを追い込んだが、8.10を返され、ニード6.95まで迫ってきた。
終了間際に入ったセットはソレイユがテイクオフ。逆転のポテンシャルがある波だったものの、ミドルセクションでワイプアウトしてしまい、レイチェルがH2も制して2度目のワールドタイトルを獲得した。

(レイチェル・ティリー) PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki
(ソレイユ・エリコ) PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

「2度目のタイトルをずっと夢見ていて、もう10年近く経っていたわ。実現するかどうかも分からなかった。今、この舞台にいることが信じられない。集中できない年もあったけど、今年は自分の実力を信じ、勝てると感じ始めていたの。それがUSオープンでの勝利に繋がった。この大会で集中力とエネルギーを維持するのは本当に大変だったけど、勝つことができた」

2015年にレイチェルが初めてタイトルを獲得してから翌年にトリー・ギルカーソン(USA)が獲得。
その後は6年間に渡ってソレイユとホノルア・ブロムフィルド(HAW)がタイトルを独占していた。
レイチェルはやっとその牙城を崩すことに成功した。

「ソレイユとホノルアがずっと強かった。最初に私がチャンピオンになり、その後にトーリー、そしてソレイユとホノルアが続いたわ。素晴らしいサーファーである彼女たちを突破するのがどれほど大変だったか。家族、父、ここにいる母、今飛行機で移動中の兄に感謝する。彼が道中で素晴らしい知らせを受け取れることを願っているわ。今の私がここにいるのは、神のおかげよ。それを海の中で感じたの」

田岡なつみはキャリア最高の5位

(キャリア最高のシーズンになった田岡なつみ)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

ナンバー4シードだった田岡なつみはマッチ2でゾエ・グロスピロン(FRA)、ホノルア・ブロムフィルド(HAW)と対戦。
8.50と7.53をまとめたホノルアの圧勝で田岡なつみは5位でシーズンを終えたが、レギュラーシーズンでは開幕戦で2位、第2戦で3位、第3戦で5位とキャリア最高の結果を重ねていた。

テイラーがナット・ヤングに並ぶ4xを達成

(ナット・ヤングに並ぶ4xを達成)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

メンズサイドはナンバー1シードのテイラー・ジェンセン(USA)とナンバー4シードから勝ち上がってきたカイ・サラス(HAW)とのタイトルマッチになった。

カイはベン・スキナー(GBR)を交えたカニエラ・スチュワート(HAW)との師弟対決をまず制し、ロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル(PHL)とのマッチ3は僅差で切り抜けた。
ジョン・マイケル・ヴァン・ホーエンシュタイン(HAW)とのマッチ4は7.17と6.83の僅か2本の波で昨年から台頭してきた21歳のヤングハワイアンを打ちのめしたが、ロングライドが普通のエル・スンサルでの3ヒートで体力を消耗してしまった。

PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

40歳のテイラーと43歳のカイ。ベテラン同士の勝負はH1で僅か2本の波で8ポイントを連続で出して圧勝したテイラーのペースで進行した。
H2でもテイラーのリズムは崩れず、開始直後に7.33を出して先行。中盤にはテイクオフ直後の長いノーズライドとカットバック、スムースなスタイルでのターンの連続で掘れてくるインサイドセクションはノーズライド、リエントリーと綺麗に決めて9.33をスコア。
またもや2本しか乗らず、トータル16.66で6ポイント止まりだったカイを完璧に抑えていた。

「まだ信じられないけど、今回のタイトルには沢山の努力が詰まっている。本当に嬉しいよ。このフォーマットは凄いよね。自分はトップの座だったので、座って他の選手たちが素晴らしいサーフィンをして這い上がってくるのを見ていたよ。彼らが失速するのも願っていた。幸運にも自分の脚力が残っていた一方、他の選手たちは疲れてしまったようだね。サーフィンしたいという気持ちが強く、一番良い波を選び、幸運にも良いライディングができた。感情的にならないようにしていたけど、家族がここにいて抑えられなくなったよ」

PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

約20年に渡る競技生活でジョエル・チューダー、コリン・マクフィリップス、ラスティ・ケアウラナの3度のワールドタイトルに並んでいたテイラー。
義父のナット・ヤングに並ぶ4xはレギュラーシーズンでの2連勝とタイトルマッチでの圧勝という完璧な形で達成した。

「進化と適応を受け入れ、自分がサーファーとしてどうあるべきかを再定義した。若手が僕たちを押し上げてくれる。カニエラやジョニーといった若い選手がどんどん僕たちを追い抜いていくので、彼ら以上に努力しなければいけない。それが実を結んだのさ。ジョエル、コリン、ラスティから一歩抜け出したかった。そのポジションに立てたのは名誉だよ」

(ナンバー4シードから這い上がったカイ・サラス)
PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki

2024年 ロングボードツアー最終ランキングトップ5
1位 テイラー・ジェンセン(USA)
2位 カイ・サラス(HAW)
3位 ジョン・マイケル・ヴァン・ホーエンシュタイン(HAW)
4位 ロジェリオ・Jr・エスクイエヴェル(PHL)
5位 カニエラ・スチュワート(HAW)
…13位 井上鷹
…14位 浜瀬海

ウィメンズ
1位 レイチェル・ティリー(USA)
2位 ソレイユ・エリコ(USA)
3位 ホノルア・ブロムフィルド(HAW)
4位 アリス・レモーン(FRA)
5位 田岡なつみ

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。