今年で3年目を迎えた新生「パイプマスターズ」こと『Vans Pipe Masters』が現地時間12月18日に終了。
ウェイティングピリオドを2日残して入った巨大な北西ウネリにより、セカンドリーフからたまにサードリーフでも割れるようなコンディション。
危険を伴うために開始前に選手達を含めた話し合いが行われ、結局日の出と共にメンズR3から開始された。
メンズR3で佐藤魁の後に主役を奪ったコア・スミス
メンズのR3の序盤は「伸るか反るか」の勝負だった。
何本ものサーフボードが餌食になる中、メキシコのアラン・クリーランドがパイプラインで完璧に姿を消す深いバレルに包まれ、スピットまで吹き出した後に胸を張って飛び出してきた。
このライディングは30ポイント中の28.00とパーフェクトに近いスコアとなり、トータル70.40でリーダーボードのトップに立った。
次のヒートでは佐藤魁がハワイのコア・スミス、オーストラリアのマイキー・ライトとランギ・スラブと対戦。
自身では今イベントで最大のパイプラインを両手でストールしながら見事にメイクて会場を盛り上げていたが、その後に入ったセットでコアが猛烈なパンプで凄まじいバレルセクションを抜けてイベント初の30.00をスコア。
佐藤魁のバレルが霞んでしまうような強烈なライディングだった。
コアが両手を天に上げて外の世界に戻ってきた瞬間、ビーチは割れんばかりの歓声に包まれ、ネイザン・フレッチャーは「ここ数年で見た中で最高のパイプラインの波だね」と評価していた。
コアはトータルでも72.20と前ヒートのアランを上回り、トップでファイナル進出を決めた。
3位、4位でファイナル進出を決めたのは大会3日目に活躍していたディフェンディングチャンピオンのジョン・ジョン・フローレンス(HAW)の弟、イヴァンとネイザン。
ネイザンはこの日も自身のYouTubeチャンネルで解説付きのライブを配信しながらの参加。
視聴者数は1万人以上にも膨れ上がり、スパチャ(投げ銭)でも大分稼いでいたようだ。
エリンが史上最年少のパイプマスターの座に!
ウィメンズのファイナリストは予選ラウンドの順でモアナ・ジョーンズ・ウォン(HAW)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)、ケイトリン・シマーズ(USA)、エリン・ブルックス(CAN)の4名。
最初にスコアを出したのはケイティ。
ハワイに持参した最大のボードが6’3だった彼女は親友でステイ先でもあるゾーイ・マクドゥーガルから6’6のボードを借りての出場。
4名の内、唯一ジェットスキーのアシストを使わずにアウトに出て最初の波にテイクオフ。パイプラインで19.00を出した。
ディフェンディングチャンピオンのモアナは風をひいているという噂もあり、本来の実力を発揮できず…。
中盤、エリンが巨大(小柄の彼女が乗ると更にそう見える)なパイプでのハードなドロップからプルイン、波はクローズアウトしたものの、16.00を出して2位に迫った。
ケイティはリスキーなパイプでミスをしてしまい、借り物のボードを折ってしまう。アラカワの6’2を手に戻ったが、エリンがクリーンなパイプラインを見事にメイクして21.00を出して優勝。
史上最年少となる17歳でパイプマスターの座を手に入れ、賞金の75,000ドルを獲得したエリン。
今夜はスイーツとピザパーティーを開くそうだ。
厳しい戦いを制したネイザン
ウィメンズファイナルが終わる頃には、風が悪化して厳しい戦いとなったメンズサイド。
最初にネイザンがバックドアで15.00、パイプラインで12.00を出した後、50分もポテンシャルがある波は入らなかった。
イヴァンにおいてはノーライドだった。
残り9分にアランがかろうじて波を掴み、残り8分でネイザンがもう一本のパイプラインをメイク。
トータル42.00を圧倒的な数字で優勝して兄のジョン・ジョン、弟のイヴァンに担がれ、ビーチ凱旋を楽しんだ。
『Vans Pipe Masters』結果
1位 ネイザン・フローレンス(HAW) 42.00
2位 アラン・クリーランド(MEX) 21.80
3位 コア・スミス(HAW) 7.70
4位 イヴァン・フローレンス(HAW)
…17位 佐藤魁(JPN)
ウィメンズ
1位 エリン・ブルックス(CAN) 37.80
2位 ケイトリン・シマーズ(USA) 22.00
3位 ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW) 18.50
4位 モアナ・ジョーンズ・ウォン(HAW) 16.50
(空海)