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もうすぐ53歳のケリーがファイナルデイに残った!『Lexus Pipe Pro』3日目

2月8日のウェイティングピリオド最終日まで残り2日となったCT開幕戦『Lexus Pipe Pro』

公式6-8ftレンジの北西ウネリが入った現地時間2月7日に再開され、2つのヒートを同時進行させるオーバーラッピングヒートを使用してメンズのRound of 32とRound of 16が一気に進行。
ファイナルデイを戦うベスト8が決定した。

大会3日目にしてパイプライン、バックドア共にある理想的なコンディションに恵まれ、パーフェクト10が2本生まれたこの日。
MC席には今年コーチ業を休んでいるロス・ウィリアムスが久々に解説者として登場。スペシャルゲストにパイプマスターのトム・キャロルも招待され、大いに盛り上がった1日だった。

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明暗を分けたパーフェクト10

(今イベント初の10ポイントを出したロボだったが…)
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パーフェクト10を出したのは、2023年のパイプチャンピオンのロボことジャック・ロビンソン(AUS)とディフェンディングチャンピオンのバロン・マミヤ(HAW)で、ロボはバックドア、バロンはパイプラインで誰よりも深いバレルをメイクしたが、勝敗は明暗を分けた。

最初にRound of 32で10ポイントを出したロボはバックアップスコアが僅か2ポイント台で、対戦相手のアラン・クリーランド(MEX)も9.50とハイスコアを出していたため、僅差で追い込まれていた。
ニード2.83とロボは波に乗れさえすれば逆転も可能でプライオリティも持っていたが、結局最後までテイクオフはできず、涙をのんだ。

(ヒート終了後、しばらく放心状態だったロボ)
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(ロボを倒したアラン)
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ロボとの死闘を制したアランは、「今日は特別な日になると思った。敗者復活戦の後にヒート表が発表された時、自分の人生で一番難しいヒートだと思ったよ。あの9.50の波は、正直自信がなかった。少し考えてしまったよ。でも、ジャックがすぐ側ににいて、自分をプッシュしてくれて、賭けに出ようと思ったんだ。結局、挑戦してドロップを決めることができた。足が少しずれて危なかったけど、プルインして走り抜けることができた。次のセクションが見えた時、スコアを出すために突き進んだのさ。いつもの通り、メキシカンらしくやっただけ。途中で諦めることなんてしないよ」と話していた。

(2年連続でJJFを倒したバロン)
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一方、バロンはRound of 16での2021年のパイプチャンピオンのジョン・ジョン・フローレンス(HAW)とのカードで10ポイントの他にバックドアで7.97を出してヒートをリードした。
スロースタートだったジョン・ジョンは後半になって始めに7.43、すぐに10ポイントか?と思わせるようなディープなバックドアを抜けて9.63を出して追い上げるが、0.91ポイント差でバロンに軍配が上がった。
昨年のパイプラインのファイナルでも二人は対戦しており、その時もバロンがパーフェクト10を出して勝利している。

「ジョンとのサーフィンはシンプルだよ。ハイスコアが出るのは分かっているし、本気で彼が昨年のリベンジを狙っていたのも知っている。凄くワイルドなヒートだったね。ジョンがバックドアで乗った波。正直言ってあの波は、今まで見た中で最高のバックドアの波の一つだと思う。本当に素晴らしい波で、彼とサーフィンできて凄く興奮したよ」

シーズン直前に一年の休止を発表したジョン・ジョンは今イベントをワイルドカードで出場。
2026年はシーズンワイルドカードで復帰する予定だ。

(惜しくも敗退となったJJF) PHOTO: © WSL/Tony Heff

ケリーがパイプラインで100ヒート勝利

(ベスト8入りを決めたケリー)
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パーフェクト10を出した二人と共にこの日の主役となったのは2月11日で53歳の誕生日を迎えるケリー・スレーター(USA)だった。

2022年に49歳にして8度目のパイプでの優勝記録更新を決めてから2年連続で17位が続いたケリーだったが、ワイルドカードで出場した今年はあの日の年の超人ぶりが復活。
Round of 32で和井田理央(IND)に追い込まれながらもパイプラインでクラシックなバレルを決めて8.00を出して逆転に成功。このヒートがパイプラインでのヒート100勝目となった。
続くイーサン・ユーイング(AUS)とのRound of 16では、パイプラインで7.83、バックドアで9.33とヒートのハイエストスコアを出してQF進出を決めた。
これでパイプラインでのファイナルデイ進出は27回目となる。

(パイプでケリーと対戦する夢が叶ったリオだったが…)
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「パイプラインのイベントは、本当に生き甲斐なんだ。まさに別次元に送られるような感覚さ。ヒートに集中するのは難しい。今日は緊張してたのか不安だったのか分からないけど、心拍数が下がらなくて、本当に興奮してたんだ。疲れたね。『30年間、どれだけ集中力を必要とするんだろう?』って考えていた。波を最大限に活かすことが大事。波が主役となるようなこんな日は、その波に上手く乗るだけだよ」

ヒート中はポルトガルのプロリーグで56歳の最年長出場記録を樹立したサッカー選手、キングカズこと三浦知良を引き合いに出されていたケリー。
奇しくも同じキングの称号を持つ二人。
3〜4年後のパイプイベントでもケリーがワイルドカードで出場している可能性は十分にあるだろう。
この二人の共通点は、才能の他に誰よりもそのスポーツを愛して努力を続けていることだ。

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五十嵐カノアを倒したルーキー

(ルーキーのジョージ・ピッター)
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5名いる今シーズンのメンズのルーキーで唯一ファイナルデイに残ったのは、22歳のオージー、ジョージ・ピッターで、五十嵐カノアをブザービーターで倒した。

「正直、今ここに立っている自分が信じられない。残り30秒でバックドアが見えた。『どんな波でも乗っちゃおう』と思い、幸運にも小さな出口がある良い波だった。今、この場所に立ち、明日のファイナルデイを迎えられるなんて。ビーチを見ながら座っているだけで、特別な感じがするんだ。今日は本当に自分の腕をつねってしまうような信じらない瞬間があったけど、めっちゃ興奮しているよ」

(開幕戦9位となったカノア)
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太平洋のバヌアツ諸島で育ち、オーストラリア・シドニーのマンリー在住のジョージ。
昨年はベルズとマーガレットのCTに出場、マーガレットリバーではQFでグリフィン・コラピント(USA)を倒して3位に入る活躍を見せていた逸材だ。

その他、返り咲き組のイアン・ゴーベイア(BRA)、NIKEがスポンサーになったばかりのイタロ・フェレイラ(BRA)、ミゲル・プーポ(BRA)、ジェイク・マーシャル(USA)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)がベスト8入りを決めている。

ネクストコールは現地時間2月8日朝7時45分(日本時間2月9日2時45分)で8時頃に再開予定。
北西ウネリのピークは過ぎるものの、朝は風が弱く、クリーンなコンディションが期待できそう。

Lexus Pipe Pro Presented by YETI Men’s Quarterfinal Matchups: 
HEAT 1: Italo Ferreira (BRA) vs. Miguel Pupo (BRA)
HEAT 2: Barron Mamiya (HAW) vs. Jake Marshall (USA)
HEAT 3: Ian Gouveia (BRA) vs. Kelly Slater (USA)
HEAT 4: George Pittar (AUS) vs. Leonardo Fioravanti (ITA)

Lexus Pipe Pro Presented by YETI Women’s Quarterfinal Matchups: 
HEAT 1: Lakey Peterson (USA) vs. Isabella Nichols (AUS)
HEAT 2: Caroline Marks (USA) vs. Tyler Wright (AUS)
HEAT 3: Caitlin Simmers (USA) vs. Sawyer Lindblad (USA)
HEAT 4: Brisa Hennessy (CRC) vs. Molly Picklum (AUS)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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