(チーム戦の表彰式) PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

2024/2025『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』を制したのは?

2024/2025シーズンで唯一のBWTイベントとなる『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』が現地時間2月18日に開催された。

舞台のポルトガル・ナザレのプライア・ド・ノルテは公式25-35ftのサイズ。もはや常人の感覚では捉えきれないほどの巨大なウネリが入っていた。
風によってコンディションがワイルドになり、障害物のように現れるコブをクリアしていく超人達。
それを崖の上から観戦する人々とまさにナザレらしいスペクタクルなショーになった。

個人はダークホースが優勝

(個人優勝のクレモン・ロゼイロ) PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』は個人メンズ、個人ウィンメンズ、チームの3つの受賞カテゴリーが設けられおり、それぞれMen’s Best Performance、Women’s Best Performance、Best Team Performanceと称される。

まず、個人メンズはローカルのニック・ヴォン・ランブと組んだフランスの若きウォーターマン、25歳のクレモン・ロゼイロが7.50のハイエストスコアを含むトータル21.83(BWTはハイスコアが2倍になる)で初優勝。

「ニック・ヴォン・ランブに感謝する。我々は本当に良いチームだった。彼からは沢山学んだよ。特にジェットスキーの運転についてね。お互いにパフォーマンスを引き出し合った」

ナザレを4度も制し、ディフェンディングチャンピオンでもあるブラジルのチャンボことルーカス・チアンカはトータル18.67で2位。
3位はスコットランド出身、20歳のベン・バーグが入り、3人が表彰台に立った。
ベンは欠場したギャレット・マクナマラの代理として直前にオファーを受け、シャープなカービングで目立つ存在だった。

(初優勝のクレモン)
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
(個人2位のルーカス・チアンカ)
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
(個人3位のベン・バーグ)
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
(個人4位のペドロ)
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
(革新的なライドを披露したカイ・レニーは個人7位)
PHOTO: © WSL/Laurent Masurel
(カイ・レニー) PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
PHOTO: © WSL/Laurent Masurel
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

ママになったジャスティン・デュポンが優勝

(ジャスティン・デュポン) PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

昨年は出産のために欠場していたフランスのジャスティン・デュポンが子供を連れてナザレ入り。

新フォーマットになった2020年から2シーズン連続で優勝していた彼女は、母親という強さが加わり、勇敢なチャージを繰り返していた。
8本の波に乗り、ウィメンズではダントツのハイエストスコアとなる7.03を出し、トータル19.06で個人ウィンメンズ3度目の優勝。
チームメイトのエリック・レビエールが1本しか乗れなかったことを考えると、いかにこの日のナザレがハードだったかが分かるだろう。

(個人優勝のジャスティン) PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

「以前はとても恐怖を感じていた。でも、子どもが生まれてからは、自分の恐怖よりも、子どもがちゃんと寝ているか、食べているかの方が心配になるわ。それが恐怖を紛らわせてくれるみたいね。私たちは家族のようなチームで、お互いを理解し合っている。こうしてまたここでパフォーマンスできることが本当に嬉しい。ただ、エリックをいい波に乗せられなかったのが少し残念だった。今日はまるでロデオのようなバンピーなコンディションだったわ」

2位はブラジルのミシェル・デ・ブイヨンズ。
2シーズン連続でナザレを制していたブラジルのマヤ・ガベイラの代わりに急遽出場が決まったUK出身のローラ・クレインは3位になった。

PHOTO: © WSL/Laurent Masurel

チーム優勝はニック&クレモン

(ニック・ヴォン・ランブ) PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

チーム優勝は個人メンズで21.83を出したクレモンと16.04を出したローカルのニック・ヴォン・ランブがトータル37.87でディフェンディングチャンピオンのチャンボ&ペドロ・スクービーのブラジリアンコンビを抑えて優勝した。

最初のヒートでは、クレモンの波を読む力が際立ち、クリティカルセクションでのカービングで午前のベストスコアを出していた。
一方、ニックはいくつかの激しいワイプアウトをしたが、2回目のセッションでクレモンがスコアを更に伸ばしてトップに立った。

「最初のヒートでは沢山ワイプアウトしたね。凄いバンピーなコンディションだったけど、全力を尽くした。昨年のリベンジを果たすため、本気でトレーニングを重ねて戻ってきたんだ。長いシーズン、この場所で沢山時間を費やした。クレモンが今日2本のハイスコアを出してリーダーボードのトップに立てたことに興奮しているよ」

2022年にチャンボとコンビを組んでチーム優勝を決めたこともあるニック。
チーム優勝は2度目となる。

(クレモンとアウトで見守るニック) PHOTO: © WSL/Laurent Masurel
(ニックの運転テクニックあってのチーム優勝だった)
PHOTO: © WSL/Damien Poullenot
PHOTO: © WSL/Manel Gaeda

『TUDOR Nazaré Big Wave Challenge』結果
Men’s Best Performance
クレモン・ロゼイロ(FRA)
Women’s Best Performance
ジャスティン・デュポン(FRA)
Best Team Performance
クレモン・ロゼイロ(FRA)
ニック・ヴォン・ランブ(PRT)

WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/

(染谷たかし)

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