(ゴールデンカードを制したエリン) PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

モンスターバレルが出現したCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』3日目

現地時間3月17日、唯一のヨーロッパ開催となるポルトガルでのCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』は朝からオンホールドを重ねて11時に再開。

新しい西ウネリが徐々に強まる傾向の中でウィメンズのQFの4ヒートが行われ、ベスト4が決定。
その後に行われたメンズRound of 32は二つのヒートを同時進行させるオーバーラッピングヒートを利用して開始。
大きくサイズアップしてビッグバレルもあったが、すぐに風が悪化してしまい、僅か3ヒートで終了のコールが告げられた。

ゴールデンカードの実現

(ヒート前のエリン)
PHOTO:© WSL/Manel Geada

昨年のワールドチャンピオンで19歳のケイトリン・シマーズ(USA)とデビュー前にワイルドカードで出場したフィジー戦で優勝した17歳のエリン・ブルックス(CAN)がQFのH3で対戦。
波数は少なかったものの、まさにゴールデンカードにふさわしい勝負となった。

ヒートはまずケイティのバックサイド、5.33から始まり、次にエリンが形良いレフトの波をつかみ、ファーストセクションでのカービングからスピーディーにインサイドまでメイクして6.00を返して逆転。更にライトの波でのクリティカルセクションのターンを成功させ、2本の6ポイント台をまとめてケイティを追い込む。
ラスト3分を切ってからレフトにテイクオフしたケイティ。バックサイドの深いボトムターンからクリティカルセクションのパワフルなターン。僅か1ターンに7.07が出たものの、ニードスコアは7.34だったため、惜しくも逆転には届かず、エリンに軍配が上がった。

「ヒートでは多くのミスがあった。ケイティとの対戦はいつも緊張するけど、長い付き合いなので楽しいヒートだった。良い波に乗ってスコアを聞くと、自信になるわ。ライトの波はベストとは言えなかったけど、流れを作れたし、何よりあの波をつかめて本当に良かったわ」

(真剣に波をチェックするケイティ)
PHOTO:© WSL/Manel Geada
(誰よりもフローしていたエリン)
PHOTO:© WSL/Laurent Masurel
(1ターンで7ポイント台を出したケイティだったが…)
PHOTO:© WSL/Laurent Masurel
PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

妊娠4ヶ月で出場したジョアンの思い

(今シーズン初のSF進出を決めたキャロライン)
PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

その他、ウィンメンズのQFではキャロライン・マークス(USA)、モリー・ピックラム(AUS)、ガブリエラ・ブライアン(HAW)が勝利してベスト4入り。

H1ではキャロラインがジョアン・ディファイ(FRA)と対戦してライト、レフト共にコンスタントにミドルレンジのスコアを重ねてラウンドアップ。
今シーズン初のSF進出を決めた。

「ジョアンとの対戦は本当に楽しかった。彼女は素晴らしいサーファーであり、人としても尊敬している。ヒートの1時間前にサーフィンしていたけど、コンディションが凄く変わり、まるで別の日みたいだった。だから、適応することが大事だと考えたわ」

(ジョアン・ディファイ) PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

一方、ジョアンはディフェンディングチャンピオンとはいえ、妊娠4ヶ月という未知の状態で参加したため、QF進出だけでボーナスのようだった。
ヒート終了後すぐにラインナップでキャロラインを称え、インタビューでは感極まり涙を流す場面もあった。

「ここに来て、みんなに会えることが特別よ。新しいプロセスで不確実なことも多いけれど、プレッシャーはまったくなかった。だからこそ、気楽に臨めたし、本当に良い経験だったわ。何かを証明するためではなく、ただここにいたかっただけ。そして、チームの支えがあって、この環境でアスリートとしていられることにとても感謝している」

モンスターバレルを攻略したロボ

PHOTO:© WSL/Manel Geada

オーバーラッピングヒートを利用して3ヒートだけ進行したメンズのRound of 32は、H1でイアン・ジャンティ(HAW)と対戦したロボことジャック・ロビンソン(AUS)が大雨の中で姿を現したモンスターバレルを2本メイク。
8.17と7.50、トータル15.67とここまでのハイエストスコアを出してトータルでも2.83だったイアンに圧勝した。

「今朝は小さかったのに、いきなりモンスターになったね。ボードを見て、どんどん大きいのを選ばないといけなくなった。この波の変化は本当にクレイジーだよ。明日はさらに大きくなるかもしれない。風が持ちこたえてくることを願う」

PHOTO:© WSL/Manel Geada
PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

午前のスモールコンディションが嘘のように1日の中で大きな変化があった大会3日目。
ロボがメイクした波こそが「Supertubos」本来の姿であり、明日以降このようなコンディションで進行することを祈りたい。

その他、リアム・オブライエン(AUS)、ヤゴ・ドラ(BRA)が勝ち上がった一方、怪我からの復帰戦となったクロスビー・コラピント(USA)、サミュエル・プーポ(BRA)が敗退した。

ネクストコールは現地時間3月18日朝6時45分。
日本時間の同日15時45分。
WSL公式サイト、WSL公式YouTubeでライブ中継が配信予定。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。