(快勝したカノア ) PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

五十嵐カノアがライブランキング6位に浮上!CT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』4日目

ポルトガル西部・ペニシェ「Supertubos」を舞台としたCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』は荒れ模様。
大会4日目となった現地時間3月18日は天候こそ回復したものの、公式4-6ftレンジの風の影響が入った難しいコンディション。
二つのヒートを同時進行させるオーバーラッピングヒートを利用してメンズRound of 32の全てのヒートが終了した。

なお、ポルトガル沿岸部にストームが接近している影響で19日、20日はオフが決定。
ネクストコールは現地時間3月21日(日本時間同日)の金曜日となる。

イタロの勢いが止まらない

PHOTO:© WSL/Manel Geada

前日のメンズサイドの主役がロボことジャック・ロビンソン(AUS)だとしたら、この日の主役はイタロ・フェレイラ(BRA)だろう。

ライアン・カリナン(AUS)のリプレイスメントで入ったジョルガン・クズィネ(FRA)を相手にしたH9で巨大なエアーリバースを成功させ、8.17をスコア。
バックアップスコアは伸びなかったが、ヒート勝利には十分な数字を揃えた。

「正しいポジションにいればチャンスは結構あるけど、ほとんどがクローズアウトする波だからメイクするのが難しいね。良いタイミングでスコアを出せたのが、本当に嬉しい。この波はバレルとエアセクションを提供してくれるから、ヒートの中で自分の好きなサーフィンができる。そして、状況が一瞬で変わることも多いので、エキサイトするよ」

2018年、2019年と2年連続でポルトガル戦で優勝経験があるイタロ。
今年はあの時の勢いが戻っており、優勝候補の筆頭と言えるだろう。

(イタロとコーチのレイノス・ヘイズ)
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(ヒート終了後のジョルガンとイタロ) PHOTO:© WSL/Manel Geada

ディフェンディングチャンピオンを倒したルーキー

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この日最大の番狂わせはマルコ・ミニョ(FRA)とグリフィン・コラピント(USA)のH13だろう。

ルーキーのマルコが巨大なフロントサイドエアーをメイクして8.00を出し、ディフェンディングチャンピオンのグリフィンを追い込んだ。6ポイントを2本持っていたグリフィンは最後に逆転のチャンスが巡ってきたが、僅かにスコアが届かずに敗退。
今シーズン2度目の17位となった。

(今シーズン不調のグリフィン) PHOTO:© WSL/Manel Geada

17位はポルトガルでの成績としては2018年のルーキーイヤー以来最悪。
今シーズンのグリフィンは開幕から17位、9位と不調で、ランキングも低迷しており、ファイナル5入りした昨年とは一転してミッドシーズンカットの危機さえある。

一方、ルーキーの洗礼を受けていたマルコはRound of 16により、ライブランキングで7つ順位を上げた。
同じ「Quiksilver」のチームメイトでもあるグリフィンとの勝負は複雑だったと思うが、笑顔でインタビューに答えていた。

「思い切ってあのセクションに突っ込んで、それが最高に気持ち良かった。このゲームでは、ハングリーになって本気で全員を倒しにいかなきゃならない。グリフィンは自分にとって大きなインスピレーションで、本当に尊敬しているし、沢山助けてもらっている。でも、最高のヒートだったし、ヒーローに勝てたのは本当に嬉しいよ」

なお、マルコは五十嵐カノアと同じ、「JS Surfboards」に乗っている。

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メンズサイドで5名いる今シーズンのルーキーで開幕から最も良い結果を続けているジョエル・ヴォーン(AUS)はポルトガルでも快進撃を続け、H10でがラムジ・ブキアム(MAR)を倒した。
序盤に7.00とこの日のコンディションでは高いスコアを出したジョエルが主導権を握り続け、3戦連続でRound of 16行きを決めた。

次の対戦相手は最強の相手、イタロになる。

(ルーキーの中で最高ランキングのジョエル・ヴォーン)
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五十嵐カノアがライブランキング6位に浮上

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ポルトガル戦前に「JS Surfboards」に移籍したことが大きな話題になっていた日本の五十嵐カノア。
第二の拠点として慣れているポルトガルとボードの相性は良く、マシュー・マクギリヴレイ(RSA)とのH12も快勝してRound of 16行きを決めた。

特にこのヒートのハイエストとなったレフトは、バックサイドで難しいセクションをフローターで抜け、パワフルなブローテールでフィニッシュ。
スタイル的にも非常に良いライディングだった。

PHOTO:© WSL/Manel Geada
PHOTO:© WSL/Manel Geada

勝利者インタビューでは、今日のようなコンディションでの波の見極め方について尋ねられ、「正直に言うと、海の中にいると波が次々と入ってきて、それを見ながら『行くべきか、行かないべきか』『クローズアウトか、ウォールが足りないか』とか、頭の中でめちゃくちゃ考えているんだ。でも実際のところ、波に乗るまでは本当にどうなるかわからないんだよね。良い波だと思ったのに結局クローズアウトだったこともあるし、逆に『あんまり良さそうに見えないけど、プライオリティもないし行ってみるか』と思って乗ったら、意外と良い波だったこともある。だから正直、海の中では何をやっているのか自分でもよくわかってないよ」とコメント。

「ある特定のブレイクで過ごす時間が長くなるほど、本能的な感覚が研ぎ澄まされるような気がする。ポルトガルでの経験が長い分、それを実感したことはある?」との問いには、「そうでもあるし、そうじゃないとも言えるね。結局、こんな風に変化する日は今まで経験したことがないんだよね。家はここから車で45分くらいのところにあるんだけど、正直、今日みたいな日にわざわざ運転して来ようとは思わない。ここでサーフィンするのは本当にコンディションが良い時だけなんだ。だから、試合でここに来ると、不意を突かれることがある。『待って、ここからすぐのところに住んでるのに、こんなコンディションの時にサーフィンしたことないじゃん』って感じで。だから、ある意味では経験が役に立つ部分もあるし、逆に難しくなる部分もある。でも、自分の車があったり、友達が周りにいたり、ビーチに来たことがあるっていう安心感は確かにある。それが少しは気持ちを落ち着かせてくれるよ。でも同時に、どの波もそれぞれ違うし、その場その場で対応しなきゃいけないから、やっぱり難しいね」と話していた。

次は和井田理央(IND)とのカード。
ライブランキングではリオが5位でカノアが6位。
まだシーズン序盤だが、ファイナル5入りの重要なヒートになる。

(次にカノアと対戦するリオ) PHOTO:© WSL/Manel Geada
PHOTO:© WSL/Manel Geada
(コナーは接戦の末に敗退) PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

MEO Rip Curl Pro Portugal Presented By Corona Cero Men’s Round of 32 Results:
HEAT 1: Jack Robinson (AUS) 15.67 DEF. Ian Gentil (HAW) 2.83
HEAT 2: Liam O’Brien (AUS) 9.80 DEF. Crosby Colapinto (USA) 8.40
HEAT 3: Yago Dora (BRA) 7.57 DEF. Samuel Pupo (BRA) 7.10
HEAT 4: Imaikalani deVault (HAW) 9.43 DEF. Jake Marshall (USA) 8.80
HEAT 5: Ethan Ewing (AUS) 11.57 DEF. Gatien Delahaye (FRA) 9.10
HEAT 6: Cole Houshmand (USA) 10.97 DEF. Connor O’Leary (JPN) 10.70
HEAT 7: Filipe Toledo (BRA) 12.33 DEF. Alejo Muniz (BRA) 9.37
HEAT 8: Jordy Smith (RSA) 11.33 DEF. Alan Cleland (MEX) 9.74
HEAT 9: Italo Ferreira (BRA) 13.67 DEF. Jorgann Couzinet (FRA) 10.06
HEAT 10: Joel Vaughan (AUS) 11.73 DEF. Ramzi Boukhiam (MAR) 8.56
HEAT 11: Rio Waida (INA) 9.97 DEF. Deivid Silva (BRA) 8.83
HEAT 12: Kanoa Igarashi (JPN) 11.90 DEF. Matthew McGillivray (RSA) 8.50
HEAT 13: Marco Mignot (FRA) 14.43 DEF. Griffin Colapinto (USA) 13.30
HEAT 14: Seth Moniz (HAW) 10.20 DEF. Miguel Pupo (BRA) 9.26
HEAT 15: Leonardo Fioravanti (ITA) 12.07 DEF. Jackson Bunch (HAW) 10.90
HEAT 16: Barron Mamiya (HAW) 11.33 DEF. Edgard Groggia (BRA) 7.04

MEO Rip Curl Pro Portugal Presented By Corona Cero Men’s Round of 16 Matchups:
HEAT 1: Jack Robinson (AUS) vs. Liam O’Brien (AUS)
HEAT 2: Yago Dora (BRA) vs. Imaikalani deVault (HAW)
HEAT 3: Ethan Ewing (AUS) vs. Cole Houshmand (USA)
HEAT 4: Filipe Toledo (BRA) vs. Jordy Smith (RSA)
HEAT 5: Italo Ferreira (BRA) vs. Joel Vaughan (AUS)
HEAT 6: Rio Waida (INA) vs. Kanoa Igarashi (JPN)
HEAT 7: Marco Mignot (FRA) vs. Seth Moniz (HAW)
HEAT 8: Leonardo Fioravanti (ITA) vs. Barron Mamiya (HAW)

(黒本人志)

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