(ヤゴ・ドラ)PHOTO:© WSL/Manel Geada

「WSLのジャッジクライテリア説明ページがすごい」 – F+

F+(エフプラス)

ケリーがデビューイヤーにワールドタイトルをとったころ、90年代序盤に同年代で活躍し、ケリーを倒すライバルとして有名だったシェーン・ヘリングがなくなったというニュースからすでに2週間たってしまった。おそらくもうほとんどの人が知らないであろうヘリングのことを書こうと思っていたんだけど、なかなかヘリングにたどり着けないでいて、ようやく今回と思ったら、そうだ、ポルトガルだったじゃん、とすっかり視界から外れていたポルトガルの採用で、ヘリングはまたまたお預けになった。ごめんねヘリング。

(イタロ・フェレイラ) PHOTO:© WSL/Laurent Masurel

まぁ、グリグリのバレルあり、エアーショーありで、ダイジェストなエンターテインメント的にはかなりいい感じのポルトガルだったけど、優勝はヤゴ・ドラ、2位にきっちりイタロ・フェレイラ。今年はイタロなのかな、今のところ。なんかねぇ、ガブ無し、ジョンジョン無しとなると、なかなかねぇ……フィリッペもなんか抜けちゃってる感じだし、ジャックロボもパッとしない。まぁ、このシステムはハーフカットに生き残った後でのトップ5争いが本番だから、この前半はハーフカットさえクリアできればいいわけで、まだまだ先は長いわけだけど。
女子はキャロライン・マークス、2位ガブリエラ・ブライヤン。
ポイント的には男女ともトップは独走態勢、イタロとケイトリン・シマーズ。

すっかり視界から外れていたので、ヒート表を見ようと思ってサイトに行ったら、初めて見たジャッジクライテリアってリンクがあって、なんだこれ、って思ってクリックしてみてびっくりだわよ。

ものすごいボリュームで、ものすごい詳細で専門的な、どういうコンディションの時にジャッジがどこの何を見ているか、みたいな説明がズラズラと書いてあって、具体例の動画もついててすごかったな。
英文ですが最近の自動翻訳はけっこう使えるので、何となくそれで見ればわかると思います。細かい部分で誤訳はあるけど、大まかにはわかるはず。

日本語自動翻訳後のページ

ロケーションはスーパーチューボス、こんな波の時はこんな、こんな波の時はこんな、みたいにコンディションによる違いの説明から始まって、よって、バレルではここ、マニューバーではここ見ますよ、みたいな、たぶん今までジャッジとか選手とかにしか説明されてこなかったような、具体的な現場のクライテリアが書いてある。
例えばスーパーチューボスのバレルなら、アンダーザリップでのテイクオフ、エアドロップからのダイレクトなバレルイン、ピーク裏からのテイクオフ、フォームボールでのライディング……などなど、どういったものがすごいのかの細かい羅列がそれぞれ挙げられていて、そのあとに、この動画ではこの人のここがすごい的な実例付き。

(エルサルバドル) PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

これを今シーズン各会場ごとに内容を変えて掲載するようで、すでにエルサルバドルのサイトにはそれ版が出てますね。これをじっくり読んで、映像観て、本質を理解して、そういう目が獲得できれば、あなたも来年は余裕でCTジャッジ、みたいなものなわけよ。目ではなく、肉体で実践できればCT選手(笑)。
ジャッジクリニックの教科書的な感じですね。日本でジャッジクリニックやるときのいいテキストにはなるだろうけど、それでも解説が必要だろうな(笑)。ジャッジばかりでなく、選手やコーチは必見ではないかと思うよ。

日本語自動翻訳後のページ

おそらくだけど、こういうジャッジの具体的なディテールを公開することになったのは、パイプのレオさまの炎上があってのことなんだろうけど、どうなんだろう。普通の人、わかります?
私みたいに職業的に試合見てるとか、オタク的に興味があるとか、ジャッジ経験者とかなら、おぉ、これはすごいと思うかもしれないけど、普通の人にはねぇ、余計に何がなんだかわからなくなるシロモノではないかと思うんだけど。
でもまぁ、ジャッジングを透明なガラス張りにしようという努力をするとなると、こういうことになるのかなぁ、とも思う。

(タチアナ・ウエストン・ウェブ) PHOTO: © WSL/Manel Geada

最後に、タチアナ・ウエストン・ウェブがメンタル面での問題の立て直しのために今シーズンはツアーを中断するというアナウンス。
まぁ、すべての試合が自分の思うような結果ではないこともあるわけで、病んじゃうのはわかる。先に書いたジャッジクライテリアのすべてを、正確にすべてのジャッジがすべてのライディングで見れているとは思えないので、受け入れがたいこともあるだろうし、それが続けばあのレベルでやっているだけに、精神的にきつくなるだろう。ちょっと離れたいというのは正解。

しかしなぁ、このクライテリアを100%正確にやるとなると、ジャッジも病んじゃうなぁ(笑)。

F+編集長つのだゆき

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