CT第4戦『Surf City El Salvador Pro』開催中のエルサルバドルに待望の南南西ウネリが到達。
現地時間4月10日、2日間のレイデイを経て再開され、Round of 32の16ヒート全てが終了した。
ウェイティングピリオドは残り2日間しか残されていなく、波予報を見ても翌日に再開される可能性が高い。
カノアのインターフェア

PHOTO:© WSL/Emma Sharon
公式4-5ftレンジと十分なサイズがあったこの日のプンタ・ロカだが、波数が少なかったため、オーバーラッピングヒートは使用せず、マンオンマンで進行。
グリフィン・コラピント(USA)、フィリッペ・トレド(BRA)、ジャック・ロビンソン(AUS)の敗退などいくつかの波乱があったが、一番の話題は日本の五十嵐カノアのインターフェアだろう。
カノアは怪我から復帰したばかりのクロスビー・コラピント(USA)とH7で対戦。
ヒートはクロスビーの先行で始まり、カノアはプライオリティを持ったまま後半まで波を待った。
残り10分、カノアはバリエーション豊かなターンからフィニッシュのエアーリバースまでメイクして6.83をスコア。ニード0.57のシチュエーションとなった。

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次の波でクロスビーがワイプアウトして再びプライオリティはカノア。残り6分で入ったセットにカノア、クロスビーの順に波に乗り、カノアの波は少し速めの波を最後までキッチリと決めて5.00をスコア。
波的には次のクロスビーの方が良く、ファーストセクションでのマニューバー、フィニッシュのエアーリバースもカノアより高さがあり、7.60を返すが、トータルではカノアが僅かに上回り、ラスト2分でクロスビーをニード4.23に追い込む。
プライオリティはカノア。残り数秒で入ったセットにクロスビーがテイクオフしてカノアがそれをブロックする形でテイクオフするが、テイクオフと同時に終了のホーンが鳴ってしまい、カノアにインターフェアがコールされて2本目のスコアが0となり、敗退してしまった。

「こんなヒートの勝ち方はしたくないけど、仕方ないね。ヒートを勝つこと自体は大事だし、最後の1分で彼が少しスペースをくれたから、波が来ることを願ってできるだけピークまでパドルしようと思ったんだ。結果的にラッキーで、波が来た。あの瞬間、これがヒートを勝つための唯一のチャンスだと思ったから、テイクオフするしかなかった。腕がちょっと上手く回らなかったけど、テイクオフできた。次のラウンドに進めただけで嬉しいし。カノアは素晴らしいサーファーだから、対戦できただけでも良かった。もちろん、真っ向から勝負したかった。でも、今回はこんな状況になってしまった。波数が少なく、良い波も少なかったしね。まあ、仕方ないことだし、結果には満足してるよ」
もし、カノアの立場が他のサーファー。例えば、ブラジリアンであれば抗議も考えられるような判定だったが、カノアは沈黙を保ち、次のオーストラリアへ向かう。
ライブランキングでは9位。
3戦続くオーストラリアレッグはカノアが得意とするため、挽回が期待できるだろう。
なお、コナー・オレアリー(JPN)はセス・モニーツ(HAW)を相手にスイッチスタンスをするほどの余裕で勝利。
次はヤゴ・ドラ(BRA)とRoud of 16を戦う。

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リベンジを果たしたイタロ

PHOTO:© WSL/Aaron Hughes
Round of 32のヒート表が揃った後、スーパーヒートとWSLが宣伝したイタロ・フェレイラ(BRA)とローカルのブライアン・ペレスのカードは終わってみれば僅差の勝負になった。
昨年、イタロはブライアンにElimination Roundで敗退しており、リベンジを果たすべき重要な1戦。
すでに風の影響が入ったH9、風に潰されて速めの波に変化したプンタ・ロカはバックハンドにやや不利と言われたが、イタロは強烈なターンに加え、一つの波で2回のエアーを決めるリスキーなライディングにも挑戦してヒートのハイスコアとなる7.33を出してブライアンを追い込んだ。


PHOTO:© WSL/Emma Sharon
しかし、ブライアンはニード6.58のシチュエーションで最後の波の全てのセクションを無駄にすることなく、バリエーションも加えてフィニッシュまでメイク。
6.30と逆転には届かなかったが、エルサルバドルの英雄の名に恥じない闘いぶりだった。
「彼はここでのベストサーファー。昨年のヒートでも負けている。でも、イエロージャージを着た今年の自分はクールで調子良い。結局は自分に集中するだけ。良い壁になる波を見つけようとした。今日は風が変わって掘れたセクションを見つけるのが大変だったから、難しかったね。でも、ヒートの中でいくつかいい瞬間はあったし、エアーも混ぜてみた。それはあんまり良くなかったけどね。とにかくこのヒートを勝ち上がれて凄く嬉しいし、ブラインにおめでとうを言いたい。そして、ビーチにいたファンのみんな、本当にありがとう。みんなのエネルギーがヒートに伝わってきて、興奮したよ」

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ハイエストはレオ

PHOTO:© WSL/Aaron Hughes
この日最も良いライディングでハイエストヒートスコアを出したのは、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)だった。
怪我から復帰したばかりのライアン・カリナン(AUS)とのH12でビッグターンの連続。
1本目で7.67。2本目で8.30とあっという間に15.97をまとめてしまい、ライアンに付け入る隙を与えなかった。

2025年は開幕戦での2位でポイントを稼ぎ、今回Round of 16進出を果たしたことで、ライブランキングで和井田理央(IND)を抜いて5位に浮上している。
「シーズンは本当に長いし、正直ランキングについてはあまり考えていない。前にいる選手も後ろにいる選手も、みんなとんでもなく高いレベルでサーフィンしてる。自分が目指してるのはエルサルバドルを終えた時点のトップ5じゃなくて、シーズンの終わりにトップ5にいることさ。今日はそのための一歩に過ぎない」
次はベテランのジョーディ・スミス(RSA)と対戦する。
ネクストコールは現地時間4月11日の朝6時45分(日本時間の同日21時45分)で18分後にスタート予定。
Surf City El Salvador Pro Men’s Round of 32 Results:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) 9.50 DEF. Samuel Pupo (BRA) 4.43
HEAT 2: Connor O’Leary (JPN) 13.20 DEF. Seth Moniz (HAW) 12.27
HEAT 3: Matthew McGillivray (RSA) 13.10 DEF. Griffin Colapinto (USA) 12.86
HEAT 4: Marco Mignot (FRA) 13.67 DEF. Rio Waida (INA) 13.50
HEAT 5: Ethan Ewing (AUS) 13.23 DEF. Levi Slawson (USA) 11.13
HEAT 6: João Chianca (BRA) 12.97 DEF. Joel Vaughan (AUS) 9.13
HEAT 7: Crosby Colapinto (USA) 11.60 DEF. Kanoa Igarashi (JPN) 6.83
HEAT 8: George Pittar (AUS) 13.50 DEF. Jack Robinson (AUS) 13.17
HEAT 9: Italo Ferreira (BRA) 13.40 DEF. Bryan Perez (SLV) 13.13
HEAT 10: Ramzi Boukhiam (MAR) 11.17 DEF. Jackson Bunch (HAW) 9.67
HEAT 11: Jordy Smith (RSA) 12.50 DEF. Deivid Silva (BRA) 5.20
HEAT 12: Leonardo Fioravanti (ITA) 15.97 DEF. Ryan Callinan (AUS) 12.00
HEAT 13: Alejo Muniz (BRA) 10.93 DEF. Barron Mamiya (HAW) 10.83
HEAT 14: Cole Houshmand (USA) 13.17 DEF. Jake Marshall (USA) 11.13
HEAT 15: Miguel Pupo (BRA) 12.50 DEF. Ian Gouveia (BRA) 11.70
HEAT 16: Alan Cleland (MEX) 13.00 DEF. Filipe Toledo (BRA) 10.00
Surf City El Salvador Pro Men’s Round of 16 Matchups:
HEAT 1: Yago Dora (BRA) vs. Connor O’Leary (JPN)
HEAT 2: Matthew McGillivray (RSA) vs. Marco Mignot (FRA)
HEAT 3: Ethan Ewing (AUS) vs. João Chianca (BRA)
HEAT 4: Crosby Colapinto (USA) vs. George Pittar (AUS)
HEAT 5: Italo Ferreira (BRA) vs. Ramzi Boukhiam (MAR)
HEAT 6: Jordy Smith (RSA) vs. Leonardo Fioravanti (ITA)
HEAT 7: Alejo Muniz (BRA) vs. Cole Houshmand (USA)
HEAT 8: Miguel Pupo (BRA) vs. Alan Cleland (MEX)
Surf City El Salvador Pro Women’s Quarterfinal Matchups:
HEAT 1: Caitlin Simmers (USA) vs. Sawyer Lindblad (USA)
HEAT 2: Gabriela Bryan (HAW) vs. Bella Kenworthy (USA)
HEAT 3: Molly Picklum (AUS) vs. Brisa Hennessy (CRC)
HEAT 4: Isabella Nichols (AUS) vs. Bettylou Sakura Johnson (HAW)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)