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【開幕直前情報】CT第5戦『Rip Curl Pro Bells Beach』

久々にCTに復活したゴールドコーストを含め、ベルズ、マーガレットリバーと3戦用意された2025年のオーストラリアレッグ。

まずは初戦のベルズ『Rip Curl Pro Bells Beach』がイースターホリデーの4月18日〜28日に開催される。
ちなみにオーストラリアレッグは「GWMオージートリプル」と称され、最終戦のマーガレットリバーの後にミッドシーズンカットが控えている。
番狂わせが多かったエルサルバドルでは、ランキングの変動も大きかっただけにツアー残留をかけて様々なドラマが展開されそうだ。
「GWMオージートリプル」はカットライン付近の選手にとって正念場になる。

(イベント前のセレモニー) PHOTO: © WSL/Ed Sloane
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イエロージャージを着る二人

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昨年のベルズでジョアン・ディファイ(FRA)と対戦して終了間際にビザービーターで念願のベルを鳴らしたケイトリン・シマーズ(USA)
その勢いのままワールドチャンピオンを獲得して今年も全てQF以上、優勝1回とコンスタントな結果を残し、イエロージャージを着てベルズに帰ってきた。

開幕直前のプレスカンファレンスでは、「この1年は本当にあっという間だった。移動もすごく多いし、クレイジー。でも私はただ、ヒートの中でターンを決めたい。それが目標。でも楽しい波に乗れたら嬉しいし、今日はすごく楽しい波が来てるから、いい兆しだと思う」とコメント。

昨年の優勝については、「最後の1分で運良く波が来て、それに乗れた。そんなことが起きる時もあれば、起きない時もある。でも、起きた時は本当に特別だし、サーフィンの面白さだと思うわ。ヒートの最後の30秒で勝てることもある。それってもう自分の力じゃなくて、海が決めること。そういう瞬間があるからこそ、サーファーであることに感謝できるし、海のおかげで勝てた時は最高だし、勝てなかった場合は次のヒートのことを願うしかない。そういう瞬間が本当に大好きなの」と話していた。

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メンズサイドのイエロージャージを着るイタロ・フェレイラ(BRA)は、2018年にマーク・リチャーズ、ケリー・スレーターと並ぶベルズで4度の最多優勝記録を持つミック・ファニングの引退試合で最後に争い、初めてベルを鳴らした。
その後、2019年にワールドタイトルを獲得して2021年には東京五輪で金メダルと成功を収めている。

ベルズは過去7度の出場で4回もファイナルデイに出場しており、昨年はジョーディ・スミス(RSA)にQFで敗れている。
終了したばかりのエルサルバドルでもジョーディとQFで対戦したが、リベンジを果たせなかった。

「今朝、2018年のベルズでの優勝の動画を観てたんだ。彼女にその映像を見せてたら、ミックが子どもと一緒に映ってて、それが本当に特別で鳥肌が立った。あれがCT初優勝だったんだ。その後2018年には更にに2勝したけど、タイトル争いのチャンスはなかった。それが本当に悔しかった。でも、こうしてまた戻ってきて、その瞬間を思い出せるのが嬉しい。今年は状況が少し違いい、ランキングトップでNo.1。だからこそ、もっと勝ちたいし、自分のベストを尽くそうっていうモチベーションになるんだ」

2018年のベルズ優勝はミックの引退の方がメディアに取り上げられていた印象だったが、イタロにとっても感動的な場面だった。

CT最年長37歳のジョーディが2度目のベルを狙う

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エルサルバドルで2017年のベルズ以来の優勝、CT通算7度目の優勝を決めたジョーディもプレスカンファレンスに招かれていた。
ケリーが抜けた後、CT最年長の37歳ながらランキング5位につけ、得意のライトのポイントブレイクで更なる好結果を目指す。

「俺は本当に根っからのサーフドッグで、サーフィンに夢中なタイプなんだ。それが全てだよ。サーフィンが大好きで、毎朝起きてすぐに海に出る。ツアーにいる選手の中には自分より20歳も若い子たちもいるけど、彼らの存在が自分の刺激になっているんだ。自分が望めるのはそれだけで、ただ戦い続けるだけさ」

ジョーディにとってベルズは子供の頃に初めて訪れた海外の海という特別な場所であり、キャリア17年で豊富な経験を持っている。
Opening Roundでは、二人のルーキー、ジョージ・ピッター(AUS)、エドガー・グロッジア(BRA)と対戦する。

「初めてベルズに来たのは12歳。南アフリカ以外で初めて訪れた場所で、ずっとベルズビーチに来るのが夢だった。初めてここに到着した時、まさに夢が叶った瞬間だったよ。今ではずいぶん開発されてるけど、当時はキャラバンパークに泊まってたと思う。初めて見たベルズの景色は、まさに夢みたいだったし、今でもあの階段を駆け下りると時に当時の感動を思い出すんだ。あの階段に名前が刻まれていようといまいと、環境や人々は素晴らしくて、本当に温かく迎えてくれる。毎年サーファーを迎え入れてくれるみなさんに、本当に感謝してるし、その気持ちはサーファー全員が持ってると思うよ」

二人のRip Curlライダーの想い

(モリーとエリン)
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ベルズがあるトーキーはメインスポンサーである「Rip Curl」のお膝元。
サポートを受ける選手がフィーチャーされることが多いイベントでもある。

プレスカンファレンスには二人の若いウィメンズサーファーが招待され、ベルズへの想いを語った。

まず、モリー・ピックラム(AUS)は母国オーストラリアでの初優勝、それも伝統のベルズを制して自らの名前を歴代チャンピオンに連ねることに強い意欲を燃やしている。
彼女は2023年に同じRip Curlライダーのタイラー・ライト(AUS)とファイナルを争い、2位に終わっている。
今年はランキング3位と最高のシーズン序盤を送っており、良い流れを繋げたい。

「本当にハッピーだし、オーストラリアでの3連戦に向けて自然とエネルギーが湧いてきてる。ケイティとは凄く楽しいヒートを何度もやってきた。でも、特定の誰かっていうよりも、ツアーそのものや、色々な要素を楽しめてる感じね。ケイティとのバトルは、いつも本当に楽しいわ」

ルーキーのエリン・ブルックス(CAN)は、2023年にベルズで同時開催されたグロムイベントで優勝経験がある。
CTでは昨年のフィジー戦をワイルドカードで優勝。ルーキーイヤーもすでにポルトガルで3位に入り、現在ランキング8位。
オーストラリアレッグでは更なる結果を期待されている。

「CTの一戦としてベルズで初めて試合ができるのが本当に楽しみ。しかもリップカールのライダーとしてここに来られて、まるでホームのように感じるの。代表してここで戦えるのが嬉しいし、良い波を引き当てられるといいなと思ってる。ここでは沢山のサポートも感じてるし、あの階段を降りていくのが楽しみ。ベルズとウィンキーポップは隣り合わせにあって、1日で両方サーフできるのも良いわ。私はちょっとウィンキーの方が好きかな。よりハイパフォーマンスな波だから。でもベルズでは、波のフェイスをしっかり使って大きなターンができるし、アウトからスプレーが飛ぶのが見える。ユニフォームを着てここに立てるのは本当にワクワクするし、こんな機会はこれまでなかったから、とても楽しみにしてる」

記念すべき60周年

PHOTO: © WSL/Ed Sloane

今年で60年目を迎えるベルズ戦。

WSLのスケジュールにおける定番であるだけでなく、ビクトリア州で開催される世界的スポーツイベントの中でも欠かせない存在になっている。

全豪オープンテニス、F1メルボルンGP、AFLグランドファイナルなどと並び、イースターウィークエンドにベルズビーチで世界最高のサーファーたちを応援するという伝統は、オーストラリア全土のスポーツファンにとって年に一度の恒例行事となっている。

ビクトリア州観光・スポーツ・大型イベント担当大臣のスティーブ・ディモポロス氏は以下の声明を公表している。

「リップカール・プロは国際的なサーフィンカレンダーの中でも最高のイベントのひとつであり、再びビクトリア州の美しいサーフコーストを世界中の観客に披露できることを誇りに思う。このイベントは毎年数千人の来訪者をこの地域に呼び込み、地元ビジネスに大きな経済効果をもたらすとともに、ビクトリア州が世界レベルのイベントの本拠地であるという評価をさらに確かなものにしている。世界的なトップ選手から地元ビクトリアのワイルドカード選手まで、この大会は次世代のサーファーたちに、世界でも屈指のアイコニックな波で輝くチャンスを提供し続けている」

ファーストコールは現地時間4月18日の朝7時15分(日本時間同日朝6時15分)で15分後にスタート予定。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(恒例のrising tides) PHOTO: © WSL/Cait Miers

Rip Curl Pro Bells Beach Women’s Opening Round Matchups: 
HEAT 1: Gabriela Bryan (HAW) vs. Brisa Hennessy (CRC) vs. Nadia Erostarbe (ESP)
HEAT 2: Molly Picklum (AUS) vs. Vahine Fierro (FRA) vs. Ellie Harrison (AUS)
HEAT 3: Caitlin Simmers (USA) vs. Lakey Peterson (USA) vs. Carly Shanahan (AUS)
HEAT 4: Caroline Marks (USA) vs. Bella Kenworthy (USA) vs. Sally Fitzgibbons (AUS)
HEAT 5: Tyler Wright (AUS) vs. Erin Brooks (CAN) vs. Luana Silva (BRA)
HEAT 6: Sawyer Lindblad (USA) vs. Isabella Nichols (AUS) vs. Bettylou Sakura Johnson (HAW)

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Opening Round Matchups:
HEAT 1: Rio Waida (INA) vs. Crosby Colapinto (USA) vs. Imaikalani deVault (HAW)
HEAT 2: Barron Mamiya (HAW) vs. Joao Chianca (BRA) vs. Samuel Pupo (BRA)
HEAT 3: Jordy Smith (RSA) vs. George Pittar (AUS) vs. Edgard Groggia (BRA)
HEAT 4: Yago Dora (BRA) vs. Ian Gouveia (BRA) vs. Ian Gentil (HAW)
HEAT 5: Ethan Ewing (AUS) vs. Seth Moniz (HAW) vs. Morgan Cibilic (AUS)
HEAT 6: Italo Ferreira (BRA) vs. Ramzi Boukhiam (MAR) vs. Xavier Huxtable (AUS)
HEAT 7: Jack Robinson (AUS) vs. Marco Mignot (FRA) vs. Ryan Callinan (AUS)
HEAT 8: Leonardo Fioravanti (ITA) vs. Connor O’Leary (JPN) vs. Deivid Silva (BRA)
HEAT 9: Miguel Pupo (BRA) vs. Jake Marshall (USA) vs. Alejo Muniz (BRA)
HEAT 10: Filipe Toledo (BRA) vs. Joel Vaughan (AUS) vs. Alan Cleland (MEX)
HEAT 11: Kanoa Igarashi (JPN) vs. Griffin Colapinto (USA) vs. Jackson Bunch (HAW)
HEAT 12: Cole Houshmand (USA) vs. Matthew McGillivray (RSA) vs. Liam O’Brien (AUS)

(黒本人志)

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