(オリンピアンとしてインタビューを受けた五十嵐カノア。オーストラリアを代表するモーグルスキーのオリンピアンに囲まれて撮影)PHOTO: © WSL/Ed Sloane

CT第5戦『Rip Curl Pro Bells Beach』3日目もカノアとコナーが勝ち上がる!

現地時間4月24日、オーストラリア・ベルズビーチを舞台としたCT第5戦『Rip Curl Pro Bells Beach』は大会3日目を迎え、公式3-4ftレンジのウィンキーポップでウィメンズのRound of 16、メンズのRound of 32の16ヒート中の8ヒートが進行。
大会2日目と一転してクリーンなコンディションに恵まれたが、波数が少なく、いくつかの番狂わせもあった。

カノアがハイスコアを出して快勝

(五十嵐カノア )
PHOTO: © WSL/Cait Miers

第4戦のエルサルバドルでは珍しいケースのインターフェアでクロスビー・コラピント(USA)に敗退して17位に終わった日本の五十嵐カノアだったが、オーストラリアでは完璧に気持ちが入れ替わっており、Opening Roundから好調なリズムを維持している。

リアム・オブライエン(AUS)とのH3では、後半まで5〜6ポイント台の攻防で中盤にリアムにリードを奪われたが、ニード8.06に追い込まれたラスト5分でビッグターンの連続とフィニッシュのレイバックで8.50を出して逆転に成功。更に最後の波でダメ押しの7.60を出してトータル16.10で終わってみれば大差をつけての勝利となった。

リアムとの対戦はパイプラインでの開幕戦Round of 16以来。
そのヒートは僅か0.04ポイント差でカノアが勝利していた。

(リアム・オブライエン)
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「このステージに来ると、ツアーの色々な選手と本当に良いヒートをしてきたって感じるんだ。でも実際、勝ったヒートよりも負けたヒートの方がよく覚えてたりするよね。だから今回のヒートは本当に気持ち良かった。リアムは本当に強いコンペティターで、特にライトが決まってる時なんかはなおさらだよ。自分は何度かミスをしてチャンスを与えてしまったけど、彼は一切ミスをしなかった。あの時は、全てが自分に不利に働いてるような感じだった。でも幸運にも、ヒートの終盤で状況が一気に動いて、素晴らしい波を交換し合えたんだ。最終的には、自分にとってすごく良いヒートになったよ」

必要なときに自分の最高のパフォーマンスを発揮する方法は?との問いには、「本当にそう思うんだけど、ツアーにいる人たちは、人生で本当に数えきれないほど波に乗ってきてるんだよね。7ポイントや9ポイントを何度も出してきた。でも、あの波に乗る直前に思い出してたのは、オーストラリアに来る直前に地元で友達とやったセッションのことだったんだ。波に乗ろうとしてた時、インサイドにいる友達が全員見てるのが見えて、めちゃくちゃプレッシャー感じたんだよね。今回も同じような緊張感があって、”うわ、友達全員見てるじゃん”って思った。でもそれが逆に力になったんだ。なんか子供っぽいっていうか、良い意味での無邪気さみたいなのがあって、ただ自分のベストサーフィンをしたいって気持ちが強くなった。そういう瞬間に最高のサーフィンが出たりするんだ」と答えていた。

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最後にCTツアーで契約を得た後、初期の頃の経験を振り返り、今でも情熱を持ち続け、望むレベルで競技をしているかを確認することは、どれほど重要だと感じる?と聞かれ、「結局、みんなサーフィンが大好きなんだよね。それに、ウィンキーポップで他の誰かとマンオンマンでサーフィンできるなんて、子供の頃に夢見たようなことだよ。今日が最高の波だったわけじゃないけど、10歳の自分だったら絶対に海から上がらなかったと思う。ただそこにいられるだけで嬉しくて。セットが入ってきて、みんなが口笛を吹き始めて、自分もドキドキして緊張してきて。もうヒートとかジャージ着てるとか関係ないよね。ただその瞬間の感覚って、本当に色褪せることがないんだよ。セットが来て、彼が最初の波に乗って、その後ろにもう一本来て、それに乗れた。波があって、チャンスがある。それだけで十分なんだ」と語っていた。

次のRound of 16では、セス・モニーツ(HAW)と対戦する。

もう一人の日本人、コナー・オレアリーはH2でルーキーのマルコ・ミニョ(FRA)に勝利して今シーズン3度目のRound of 16進出。
コナーはこのラウンドが壁になっているが、次は近年のベルズで最強の相手、イーサン・ユーイング(AUS)とのカードになる。

(コナー・オレアリー)
PHOTO: © WSL/Ed Sloane
PHOTO: © WSL/Cait Miers

今年もモーガンが強い

(モーガン・シビリック)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

その他、イーサン、ジョーディ・スミス(RSA)などトップシードが勝ち上がった一方、昨年のベルズでも5位と活躍していたワイルドカードのモーガン・シビリック(AUS)がディフェンディングチャンピオンのコール・ハウシュマンド(USA)を倒して注目を集めていた。
コールが4ポイント止まりだった一方、モーガンは6ポイントを2本まとめての圧勝だった。

「最高の気分だよ。岸から見ると凄い良い波に見えるけど、実際は本当に難しい。今日は頭を使って賢くヒートを運べたと思うし、今凄く調子が良い感じ。このイベントを通じて良い流れを掴みたいね。ベルズでは沢山の時間を過ごしてきたし、自分のホームのように感じている。波も自分に合っていると思うから、このまま進み続けたいよ」

次のRound of 16では、現在ランキング6位と好調のレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)とのフロンサイド対決となる

ガブリエラが残り、ケイティとモリーが消える

PHOTO: © WSL/Ed Sloane

ウィメンズサイドはRound of 16が終わり、QFを戦うベスト8が決定。

H3ではディフェンディングチャンピオンのケイトリン・シマーズ(USA)がベテランのサリー・フィッツギボンズ(AUS)に追い込まれて今シーズン初の9位となり、H5でガブリエラ・ブライアン(HAW)がナディア・エロスタルベ(EUK)に勝利した時点でライブランキングでガブリエラがトップに立ち、始めてのイエロージャージを手に入れた。

(今シーズン初のQF進出を決めたサリー)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

「イエロージャージなんて、本当に最高の気分ね。このインタビューでそんなニュースを聞くとは思っていなかったので驚いているわ。でも、初めてこの位置に立てたことは一生の思い出になると思う。今年の大きな目標の一つは、常に進化し続けること。オフシーズンには自分自身と特にパワーサーフィンにフォーカスしたの。ウィンメンズサーフィンはどんどん進化していて、それが私のモチベーションになっている。イザベラ・ニコルズはベルズをよく知っているので、彼女とのQFがとても楽しみ。イエロージャージを着て戦うのが待ちきれないわ」

優勝したエルサルバドルで見せたパワーサーフィンがオーストラリアでもスコアを稼ぎ、遂にトップに立ったガブリエラ。
更にランキング3位のモリー・ピックラム(AUS)、ランキング4位のキャロライン・マークス(USA)、ゴールデンルーキーのエリン・ブルックス(CAN)さえもこのラウンドで敗退と波乱含みの展開だった。

ネクストコールは現地時間4月25日の朝8時15分(日本時間同日朝7時15分)

Rip Curl Pro Bells Beach Women’s Round of 16 Results: 
HEAT 1: Luana Silva (BRA) 13.66 DEF. Molly Picklum (AUS) 12.64
HEAT 2: Lakey Peterson (USA) 13.33 DEF. Sawyer Lindblad (USA) 9.67
HEAT 3: Sally Fitzgibbons (AUS) 12.73 DEF. Caitlin Simmers (USA) 10.10
HEAT 4: Brisa Hennessy (CRC) 9.77 DEF. Bella Kenworthy (USA) 9.33
HEAT 5: Gabriela Bryan (HAW) 15.00 DEF. Nadia Erostarbe (EUK) 10.03
HEAT 6: Isabella Nichols (AUS) 13.67 DEF. Erin Brooks (CAN) 10.03
HEAT 7: Bettylou Sakura Johnson (HAW) 11.17 DEF. Caroline Marks (USA) 9.47
HEAT 8: Tyler Wright (AUS) 12.27 DEF. Ellie Harrison (AUS) 6.13

Rip Curl Pro Bells Beach Women’s Quarterfinal Matchups: 
HEAT 1: Luana Silva (BRA) vs. Lakey Peterson (USA)
HEAT 2: Sally Fitzgibbons (AUS) vs. Brisa Hennessy (CRC)
HEAT 3: Gabriela Bryan (HAW) vs. Isabella Nichols (AUS)
HEAT 4: Bettylou Sakura Johnson (HAW) vs. Tyler Wright (AUS)

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Round of 32 Results [Heats 1 – 8]: 
HEAT 1: Ethan Ewing (AUS) 15.00 DEF. Ryan Callinan (AUS) 12.80
HEAT 2: Connor O’Leary (JPN) 13.43 DEF. Marco Mignot (FRA) 12.33
HEAT 3: Kanoa Igarashi (JPN) 16.10 DEF. Liam O’Brien (AUS) 14.33
HEAT 4: Seth Moniz (HAW) 15.70 DEF. Miguel Pupo (BRA) 13.50
HEAT 5: Jordy Smith (RSA) 13.93 DEF. Imaikalani deVault (HAW) 12.17
HEAT 6: Joel Vaughan (AUS) 11.97 DEF. Crosby Colapinto (USA) 11.50
HEAT 7: Morgan Cibilic (AUS) 12.17 DEF. Cole Houshmand (USA) 8.17
HEAT 8: Leonardo Fioravanti (ITA) 14.70 DEF. Alan Cleland (MEX) 14.10

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Round of 32 Remaining Matchups [Heats 9 – 16]: 
HEAT 9: Italo Ferreira (BRA) vs. Xavier Huxtable (AUS)
HEAT 10: Matthew McGillivray (RSA) vs. Griffin Colapinto (USA)
HEAT 11: Rio Waida (INA) vs. Samuel Pupo (BRA)
HEAT 12: Barron Mamiya (HAW) vs. Ian Gentil (HAW)
HEAT 13: Yago Dora (BRA) vs. Alejo Muniz (BRA)
HEAT 14: Jake Marshall (USA) vs. Joao Chianca (BRA)
HEAT 15: Filipe Toledo (BRA) vs. George Pittar (AUS)
HEAT 16: Jack Robinson (AUS) vs. Jackson Bunch (HAW)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(黒本人志)

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