(ベルズで初のQF進出を決めたカノア)PHOTO: © WSL/Ed Sloane

五十嵐カノアがベルズで初のQF進出!CT第5戦『Rip Curl Pro Bells Beach』4日目

現地時間4月25日、CT第5戦『Rip Curl Pro Bells Beach』は新しい南西ウネリが到達。
前日のウィンキーポップからベルズのメインであるボウルズに戻り、公式4-6ftレンジの期間中で最も良いコンディションに恵まれ、メンズRound of 32の残りヒートとRound of 16の8ヒートの内、6ヒートが進行。
ANZACデーの祝日で集まった多くの観客の前でいくつものハイスコアが生まれていた。

ベルズで初のQF進出を決めた五十嵐カノア

(五十嵐カノア)
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前日のリアム・オブライエン(AUS)とのRound of 32では、後半にハイスコアを出して圧勝した日本の五十嵐カノア。
セス・モニーツ(HAW)とのRound of 16のH2はセスに先行され、トライしたアーリーウープにも失敗したが、すぐにリズムを取り戻していた。
風でバンプが入った難しいセクションも上手くつないで6.53に続けて7.07を重ねてリード。
後半のセスの追い上げもかわして2016年からのキャリアで壁になっていたベルズでのQF進出を決めた。

「これぞクラシックなボウルズって感じだった。子供の頃にこのイベントを見て、まさにこういう波でサーフィンするのが夢だった。この波は本当にユニークで、J-Bayともエルサルバドルみたいなポイントブレイクとは全く違う。独特のリズムがあるんだ。ボウルズで3ターンをして最後にフィニッシュ決めるというクラシックな勝負。でも、あのヒートは潮が上げてきて波数が減っていた。だから2本くらいしか乗れなかったし、何本か逃しちゃったと思う。でも波のキャンパスはしっかりあった。ヒート中に入った大きなセットはこれぞビクトリアという波だった。太陽が出たり、虹が出たり、雨が降ったり、オフショアとサイドショアが交互に吹いたり、もうなんでもありみたいな感じさ。とにかく、ポジションキープして、自分のターンを信じて、良い波をしっかり選ぶ、それだけさ」

QFの対戦相手は2023年にベルを鳴らし、この日はコナー・オレアリーとのヒートでライディングした3本で2つの9ポイント、一つの8ポイントと覚醒したイーサン・ユーイング(AUS)だが、過去の対戦成績は2戦2勝でカノアが上回っている。

両者共にスネークことジェイク・パターソンのコーチで余計な駆け引きはなく、「一緒にアウトに出てノープラインで戦うよ」と話していた。

(QFはチームメイトのイーサンとのヒートになる)
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イタロを倒したワイルドカード

(ゼヴィア・ハックスタブル)
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シーズン序盤は怒涛の勢いで勝利を重ねていたイタロ・フェレイラ(BRA)だったが、ここにきて失速。
彼の弱点の一つでもあるワイルドカードにRound of 32のH9で敗れてしまい、シーズン最悪の17位に…。

対戦相手のゼヴィア・ハックスタブルは序盤にミスをしたイタロを尻目に1本目のファーストセクションで2つのビッグターン。2つ目はイタロに大きなスプレーを浴びせ、インサイドセクションまで綺麗にメイクしてヒートのハイスコアとなる7.33を出し、地元の応援団も大いに盛り上がっていた。
その後もリズムを欠いたイタロはスコアを伸ばせなかったが、なんとか2本をまとめてトップに立つ。
しかし、ゼヴィアはニードスコアが低かった後半に落ち着いて波に乗り、ベルズのディフェンディングチャンピオンであり、イエロージャージを着た最強の相手に勝利し、大金星を挙げた。

PHOTO: © WSL/Cait Miers
PHOTO: © WSL/Cait Miers
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「信じられない。本当に頭で理解できてないっていうか、まだ実感がない。今朝早く起きて、ポイント・デンジャーのANZACデー・パレードを見に行って、すごく心に来るものがありました。そのままここに来て、海に出て、ラッキーにも何本か乗れた。セクションが立ち上がったのが見えて、“これは行くしかない”って思って攻めたのさ。相手はイタロ・フェレイラ、世界最高峰のサーファーだから、“全てのセクションに全力でぶつかっていこう”って決めていた。それがうまくハマって、ライドをメイクした時は嬉しかったね。最後まで乗りきって顔を上げたら、観客席にいた家族や友人がみんな叫んでて、僕も“カモン!”ってガッツポーズした。あの感覚はもう、何にも代えがたい。できればこれからも、ANZACの人たちに敬意を込めて、最高のサーフィンを見せたい」

ゼヴィアは残念ながら次のRound of 16のH5ではチャンスが少なく、グリフィン・コラピント(USA)にあっけなく敗退。
しかし、2023年にロボを倒した経験もあるロコは今年も実力を世界に示していた。

2年連続でQF進出を決めたワイルドカード

(モーガン・シビリック)
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この日活躍したもう一人のワイルドカード、モーガン・シビリック(AUS)はRound of 16のH4で今シーズン好調のレオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)を相手に互角の勝負を繰り広げ、6.50に加え、ヒート中盤に7.17を出してレオを追い込んだ。
残り5分でニード8.17のシチュエーションとなったレオもリズムを崩さず、7.10を返してニードスコアを6.58まで縮めたが、逆転には至らなかった。

「本当に嬉しい。レオとはちょっとしたライバル関係みたいな感じ。彼は激しいコンペティターだし、パドルも結構ある。だから彼に勝てたのは本当に気持ち良いね。トーキーには友達も多くて、コミュニティも本当に温かい。試合中に振り返ると、観客席がパンパンで、みんな立ち上がって応援してくれていた。あれは最高だね。この週末はすごくエネルギーが良くて、今日も朝からANZACデーのドーン・サービスに行って、なんか目が覚めたときから“今日はいい日になる”って感じがしていた。ヒート自体はスローな展開だったけど、それが有利に働いてくれた気がする。だからもう、最高に嬉しい」

QFでは同じく好調のジョーディ・スミス(RSA)と対戦する。

ネクストコールは現地時間4月26日の朝9時45分(日本時間同日朝8時45分)

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Round of 32 Remaining Results (Heats 9 – 16): 
HEAT 9: Xavier Huxtable (AUS) 13.66 DEF. Italo Ferreira (BRA) 9.67
HEAT 10: Griffin Colapinto (USA) 14.60 DEF. Matthew McGillivray (RSA) 13.27
HEAT 11: Samuel Pupo (BRA) 14.66 DEF. Rio Waida (INA) 8.00
HEAT 12: Ian Gentil (HAW) 13.50 DEF. Barron Mamiya (HAW) 11.76
HEAT 13: Yago Dora (BRA) 12.46 DEF. Alejo Muniz (BRA) 11.73
HEAT 14: Jake Marshall (USA) 18.33 DEF. Joao Chianca (BRA) 15.74
HEAT 15: Filipe Toledo (BRA) 15.60 DEF. George Pittar (AUS) 11.90
HEAT 16: Jack Robinson (AUS) 16.13 DEF. Jackson Bunch (HAW) 14.77

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Round of 16 Results (Heats 1 – 5):
HEAT 1: Ethan Ewing (AUS) 18.76 DEF. Connor O’Leary (JPN) 13.34
HEAT 2: Kanoa Igarashi (JPN) 13.60 DEF. Seth Moniz (HAW) 13.03
HEAT 3: Jordy Smith (RSA) 15.50 DEF. Joel Vaughan (AUS) 11.57
HEAT 4: Morgan Cibilic (AUS) 14.10 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 12.60
HEAT 5: Griffin Colapinto (USA) 12.90 DEF. Xavier Huxtable (AUS) 3.00

Rip Curl Pro Bells Beach Men’s Round of 16 Remaining Matchups (Heats 6 – 8): 
HEAT 6: Samuel Pupo (BRA) vs. Ian Gentil (HAW)
HEAT 7: Yago Dora (BRA) vs. Jake Marshall (USA)
HEAT 8: Filipe Toledo (BRA) vs. Jack Robinson (AUS)

Rip Curl Pro Bells Beach Women’s Quarterfinal Matchups:
HEAT 1: Luana Silva (BRA) vs. Lakey Peterson (USA)
HEAT 2: Sally Fitzgibbons (AUS) vs. Brisa Hennessy (CRC)
HEAT 3: Gabriela Bryan (HAW) vs. Isabella Nichols (AUS)
HEAT 4: Bettylou Sakura Johnson (HAW) vs. Tyler Wright (AUS)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

PHOTO: © WSL/Ed Sloane

(黒本人志)

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